父ちゃんと呼ばれるまで

ナカムラ

子供たちの存在

 また、数日経って、彼は、小さなおにぎりを9個握り、子供達と挨拶をし、出かけようと、ドアを開けた。
すると、隣の奥さんが、出てきた。
そして、彼に話しかけてきた。「最近、子供達の声がお宅から、聞こえてくるような気がするんだけど、あと、近くの公園に行くのも、見かけたわ。あの子たちは、一体…。」
彼は、焦って言った。「あの子たちは、私の親戚でして、仕事の関係で、その親戚が、外国にいるので、預かっているんですよ。」
彼は、胸の鼓動が、止まらなかった。
隣の奥さんは「そう。別にいいけど…。」と、言って出掛けていった。
彼は、内心思った。「良かった。普段から近所付き合いがなくて、これで、近所の人と仲良かったら、根掘り葉掘り、聞かれていた。」
私は、気を取り直して、仕事に向かった。
今日は、ピッキングの仕事だった。
ピッキングというのは、商品をリストを見ながら、カートに棚から、取り出していく作業だ。
日雇いの仕事で、多い作業なのだが、場所によってやり方がだいぶ変わる。
初めての場所でのピッキングは、やはり、要領を得ず、やはり、作業は、遅れてしまった。おまけに、方向音痴で、本当に向いていない作業だ。同じ所を何回も、まわったりした。その為、無駄に人より歩く。おかげで、昼休みは、へとへとになり、小さなおにぎり1つ、1人きりで、こっそり食べた。
また、2時間ほど、残業して、帰ってきた。
子供達は、また、小さな声で「お帰りなさい」と言って出迎えた。
子供たちが、寝静まると、今朝のことを思いかえした。
「今日は、本当に危なかった。これから、どうしよう。」

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