父ちゃんと呼ばれるまで

ナカムラ

汚れた子供たち

 今日は、しばらくぶりの休みだ。なんだか子供達がいるせいか疲れた。
彼は、珍しく朝御飯を一緒に食べた。
もちろん、小さなおにぎり1つずつだが。
彼は、あることに気付いた。何か子供達が臭い匂いがする。
「そうか。服も、洗ってないし、体も洗ってない。」
彼は、外にある洗濯機を久しぶりに動かし、子供達の服を洗った。
「こんなにいると、ずいぶん、洗濯しなくてはいけないんだな。」
雄太に、お金を渡し、その間の服を買わせに、行かせた。
彼は、言った。「ああ、ひと苦労だ。」
服を乾かしている間に、子供達を初めて、銭湯に、連れて行った。「ずいぶん、汚れてたな。」
彼は、順番に、洗ってやりながら、言った。
広太と和太は、2人で、ひっそりと、話した。
「久しぶりに、さっぱりしたね。」
帰りに、いつものコンビニに寄り、彼は、2個弁当を買った。
彼は、皆に夕食の弁当を食べながら言った。
「今の生活は、どうだ。楽しいか?」
花子が無邪気に、言った。「楽しいよ。でも、おじさんがいないから寂しい。」
彼は、言った。「そうか。楽しいか?それは、良かった。でも、いい加減おじさんではなく、父ちゃんと呼んでくれないか?」
雄太は、怒って言った。「いや、僕の父ちゃんは、数年前に、病気で死んだ父ちゃんだけだ。」
彼は、言った。「そうだったのか。」
雄太は、続けて言った。「そうだ。それなのに母ちゃんは、男をとっかえひっかえして、ついには、僕らを置いていった。」
彼は、言った。「そうか。悪かったな。辛い話をさせて…。」
気まずい雰囲気の中、皆は、眠りについた。

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