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金髪騎士はオレの嫁

オンスタイン

プロローグ

  それは月光が禍々しく輝く夜のことだった。

  受けた衝撃で倒れそうな体を床に突き立てた剣で支える。女の前には、倒すべき敵が2人。

「よく憶測だけで国の王に刃を向けたな? ブルタリアの騎士」

  あかりの消えた城内の空間、視線をあげた先にいる男は、立派な玉座に腰掛けている。その横には長杖を持ったローブ姿の男が一人、フードを深めに被って顔を覆い隠していた。

女騎士は、傷ついた体を奮い立たせ男たちに再び刃を向ける。

「貴様のような憎たらしい魔人が国の王など冗談にもなっていない。 今まで人々を欺いてきた報い、受けてもらうぞっ!」

  鋭い眼光が前の2人を捉える。しかしその姿に覇気はまるでない。ボロボロになった体からは、あちこちに出血が見られ、痛みに耐えかねた2本の足は踊り子のようにふらついている。

「少しは頭をつかえ、そんな状態でどうやって戦う?」

  女騎士は大きく飛び上がった。すでに限界を訴えている体に鞭をうち、残された気力のすべてを刃にこめて斬撃を放つ。男の挑発はそれくらいに彼女の闘争心を煽ったのだ。

「哀れだな」

すかさず構えた男の剣が、放たれた一撃を受け止める。互いの刀身がぶつかり合う音が木霊して、静かだった空間が騒ぎ始めた。

「感情に流されやすいのがお前たち人間の決定的な弱点だ。だから群れの中でしか生きることができない 」

「ならその群れに紛れている貴様はなんだというのだ!?」

  長く続く鍔迫り合いのなか、女の発した怒声に男は不敵な笑みを浮かべる。

「群れを率いる王だ」

その一言と共に、女の剣は強く押し返されてしまった。反動によって両腕は大きく上に上げられ、とうとう剣は女の手を離れてしまう。
床に突き刺さった剣を見て、自身の負けを悟った彼女は、ひどく顔を歪ませた。

「安心しろ、今すぐお前を殺したりはしない」
 
  そんな含みを持たせた言い方をした男は、自身の横に立つローブ姿の男に、「始めろ」と指示を飛ばす。今までこちらに無関心だったその男は、従順に頷きを返し、すぐさま女騎士へと杖を向けた。

「なにを……するつもりだ?」

  向けられた杖先をただじっと見つめる女。しかし、その瞳に宿っていた生気はすでに失われつつあった。

「負けたお前には、俺の駒になってもらう。早死だけはしてくれるなよ?」

  高らかに笑う男を前に、女はプツリと切れた糸のように床に崩れ落ちていった。






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