金髪騎士はオレの嫁

オンスタイン

プロローグ

 そこは酷くすさんだ世界だった。突如現れた魔物という怪物が人々の平穏を脅かし、大陸上に分断された五つの国に住む者たちは、その脅威に怯えながら日々を生きている。
 

「城が近い。ロワール殿、文の用意を頼む」
 雪に覆われた路を進みながら、甲冑に身を包んだ少女は、隣を歩く青年にそう言った。青年は少女の言葉に頷くと、胸の前で力強く拳を握る。
「あぁ、必ず成し遂げよう。僕達で」
 彼女たちの向かう先には、空にも登るような高さの城がある。大陸五国のうちで最も権力を有する大国、デルカの王城だ。他国の者はおろか、自国の者ですらその敷居をまたぐことは簡単ではない。
 街路に降り積もった雪を踏みしだき、男と女は静けさに満ちた城の前へと歩いてくる。
城門の前に佇む二人の門番を見て、男だけが前へと歩みでていく。
「何者だ?」
 牽制をかけるような鋭く冷たい声が
  

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