ひざまずけ、礼
第2章7話 喧嘩するほど
あれから数日後のこと。
佐和「だーかーらー!ここには本棚があるべきだって言ってるでしょー!」
アス「・・・本棚なら、あっちにあるべきです、はい。ここは作業場のスペースをですね・・・」
秘密基地内にて、ちょっとしたイザコザにより2人が衝突していた。え、僕?離れたところで2人を見ながら優雅にティータイム(ただしコーヒー)だよ。
佐和「作業場なら、もう結構広いじゃないのよ!そんな必要ないでしょう!?」
アス「もう8割型埋まってて、作業場として使えるスペースがないです、はい。」
佐和「それはあなたが片付けないせいでしょう!?」
アス「・・・片付け面倒臭いです、はい。あぁ、作っている時はあんなに楽しいのに、片付けとなるとこうもやる気がでないのは、何故なのでしょうか。これもイザレア様の影響でしょうか・・・はい。」
遠い目でそういうナーテアさん。チラッと横に目線をずらすと、そこには連日の工作で徐々に積み上がっていった、廃材だの工具だの製作品だの・・・。まさに「塵も積もれば山となる」を体現していた。
佐和「あなたがサボり癖なだけでしょ!これびっかりはイザレア様のせいにしないの!ほらさっさと片付ける!」
アス「・・・ちっ、神様に命令とは、いいご身分ですね、はい。」
佐和「神様"見習い"でしょう?それに今は、神様じゃなくて同級生で、私は学級委員長なんだから。みんなをまとめるのが仕事なの。」
アス「・・・はぁ、へいへい片付けますよ~。はい。」
佐和「へいへいじゃないの!もう・・・」
ブツブツと文句を垂れながら、片付けを始めるナーテアさんと、クドクドとお説教をしながらも、片付けを手伝う佐和さん。いやぁ、やっぱり・・・
比影「2人とも、仲良いなぁ。」
2人「どこが!?」
2人揃ってそういう。そういうところがだよ、と言ってやると、2人は顔を見合わせて、フンッとお互いそっぽを向いた。だが、それでも片付けを一緒にやっているあたり、そういう事なのだろう。
佐和「ほら、比影くんも!やる事ないなら手伝ってよ!」
アス「・・・1部、比影さんが出した廃材もありますからね、はい。きちんと片付けてくださいね。」
佐和「あなたは決して言える立場じゃないけどね!」
アス「はて、なんの事やら。」
佐和「こいつ・・・」
比影「あはは、わかったよ手伝うさ。皆でやればすぐ終わるだろうし。」
こういうのほほんとした日々が流れていくのが、どれだけ幸せなことなのか、この生活になってからつくづく気付かされている。この平和な日々を迎えられなかった人が、この世の中にはごまんと居る。
だからこそ僕達は、この何でもない日を楽しく暮らすのだ。人生、楽しまなきゃ損ってね。
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