ひざまずけ、礼

ko-suke

第1章96話 水を得た魚のように




新たなる武器を手に入れた次の日、その瞬間は偶然を装った必然であるかのように、唐突に訪れた。

その日の放課後、今度は佐和さん用の武具を作ってもらおうと、相談していた矢先の事だった。

秘密基地内に、電話が鳴り響く。しかも2つ、同時に。僕たちは顔を見合わせて、ため息をついてから電話に出た。

レア「やぁ2人とも、元気にしてるぅ?」

佐和「あ、そういうのいいんで、早く要件言ってもらっていいですかね。と言っても、想像はつきますが。」

レア「ガーン、クソガキだけじゃなくて、まさかあんたにまで言われるとは・・・世知辛い世の中やでほんま。」

比影「ほーん、なんだって?」

レア「あ、いやその・・・ほ、ほら紅き街が出現したヨ!場所はね─」

ごまかしやがった。

ともかくイザレアから情報を得た僕たちは、さっさと準備に取り掛かるのだった。昨日進化した パチンコを携えて。



学校の近くであったが故に、そこまで時間がかからずに現場へと到着した。時間も相まって、形容し難い雰囲気をかもし出していた。

比影「・・・今回ばかりは、逆に好都合だ。こいつを早速試せるからね。」

佐和「比影くん、楽しみなのはいいけど・・・」

比影「わかってる、油断はしないさ。実際に効くかどうかも分からないしな。」

佐和「それならいいけど・・・」

比影「それに、今回はぶっつけ本番だからな。余計に緊張するし、ナーテアさんのためにも、ヘマはしないようにするさ。」

佐和「うん、気をつけてね。」

比影「佐和さんもね。」

僕たちは、2人して紅き街へと入った。いつもの通り、重苦しい空気が僕たちを包み込む。

どうやら敵は僕たちを、入口付近で待ち伏せしていたらしい。入った瞬間に、今回の敵が目に入った。

槍を持った、鉄仮面。風格としては、教科書で見た中世の兵士に近い。

敵もこちらに気づいたようで、槍を構えて突進してきた。僕は佐和さんに合図を出し、別々の方向に避け、相手の出方を待つ。好都合なことに、僕に対して槍を向けてきた。

2回目の突進が来る前に、僕はパチンコを構えた。小型の標準器が展開し、レーザーサイトが敵のど真ん中を指す。

比影「・・・今っ!」バシュン

トリガーを引いて、敵めがけて玉を発射する。玉は敵に当たる直前で分裂し・・・敵を捕縛した。

兵士「・・・!・・・!」ミシッ

どうやら1発成功したらしい。敵は身動きが取れないようだった。僕は奴から槍を奪い、膝をつかせた。

比影「佐和さん!」

佐和「待ってました!さぁ行くよ~!ひざまずけ・・・礼っ!!」

兵士「・・・!!」

あっさりと佐和さんの必殺技(?)が決まり、粒子となって消える兵士。最後の消え際に「そうか・・・もう戦う必要は無いのか・・・」という幻聴が聞こえたような気がした。

何はともあれ、作戦&新武器は大成功という形で幕を閉じた。


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