ひざまずけ、礼
第1章95話 変わり者が生みせし武具
その後も、よく言えば独特性がある、悪く言えば奇抜すぎるアイデアを持つ、ナーテアさんの武具作成に、僕たちは頭を抱えていた。
そんなこと言ったら可哀想だろう、とか思われるかもだけど・・・流石にこれはというようなものが連続して出てくるもんだからさぁ。
さっきの閃光弾発射装置もそうだけど、爆発して花びらが舞い散る「満開手榴弾」だとか、多種類フレーバーで思わず自分から咥え出すとかいう「ガム式ゴムパッチン」だとか。ほんと、奇抜すぎるとしか言いようのない思考の持ち主だよ。
しかもそんなカワイイ系で来るかと思いきや、オイルを敵にぶっかけてから砲弾が自然発火する「オイルミサイル」とかいう物騒なものまで作り出そうとするから、なおタチが悪いのだ。しかもこれ、自動追尾式にしようとか言ってたよ。なんて物騒な。
ただ驚くべきは彼女の考えだけではなく、その再現性だ。最初に思い描いた理想通りに、武具を作り上げてしまうのだ。
これがどれだけ異常なことなのか。普通は理想と現実に挟まれ、形を変えざるを得ないだろう。だが、この人は違かった。全てにおいてほぼ理想通りに作り上げる。
これは普通にできることではない。だからこそ、貴重なのだ。
だけど、本人のアイデアは・・・と考えた結果、僕たちが基礎アイデアを出して、それを作ってもらおうという結論に行き着いた。それなら、何とかなりそうだし。
で、本題に入るわけだけど、今の僕たちに必要な武具は、敵の捕獲・束縛ができるもの、だ。
それを伝えると、ナーテアさんは目を輝かせて武具の作成に取り組んだ。1度のやり直しを経て、携帯可能なサイズへと行き着いた。・・・やり直しの前?バズーカ砲だったよ。
ものとしては、パッと見はパチンコそのもの。最初は拳銃の形だったが、流石に見た目が拳銃のものを持ち歩くのは、色々と問題があるし面倒だと思ったため、僕が持っているパチンコを改造することにしたのだ。
・・・だけど、改造というよりかは"魔"改造という方がふさわしいだろう。木製から機械仕掛けのものへとパワーアップを果たし、玉も原案が拳銃タイプだったということもあり、コストカットの観点からカートリッジ式になっている。
・・・いや、コストカットて。神様がコストカットて。そのくらい不思議パワーで何とかならないのかね。なんで不可思議な存在が、へんなところで人間じみてるのよ。
比影「これで、敵を捕獲・束縛できるんだね?」
アス「ある程度の大きさのやつまでなら、可能です、はい。でも、本当にそれだけでいいのですか?殺傷能力があった方がいいと思うけれども・・・」
比影「いいんだよ、これで。」
僕は新武器の感触を味わいながら、そう言った。
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