ひざまずけ、礼
第1章89話 負けた者の運命やいかに
次の日のこと。
僕達は昨日の作戦を決行すべく、準備を進める。・・・といっても、今回の作戦では特別必要とするものとかはないから、あくまで万一の装備だけど。
比影「さて、と・・・佐和さん、準備は大丈夫?」
佐和「バッチシ!ドンと来いよ!」
比影「頼もしいね、けど無理はしないでね。」
佐和「比影くんもね。やばいと思ったらすぐ呼んでね?」
比影「わかってるさ。」
そして、ついに決行の時間がやってきた。僕は1人で学校を出て、いつもの路地を通る。そして・・・これもいつも通り、やつの気配がした。
不審者「今日こそはぁぁぁぁ!」スッ ガバッ
比影「見え見えなんだよ!」スッ
不審者「ぐっ!大人しく喰われろぉ!」バッ
比影「そうはいくかっての!」ドゴォ
不審者「かはぁっ・・・またみぞおぢ・・・」フラッ
比影「懲りねぇなぁお前も。ここまでしつこいのはお前が初めてだよ。」
不審者「うぐぐ・・・情報は教えたんだ・・・その対価をもらうまで・・・!」
比影「やらねぇって言ってんだろ?もう心に決めてる人がいんだよ。」
不審者「ぐぅ・・・お、覚えてろ!明日こそは・・・!」スゥ
紅き街が開き、やつが消えていく。・・・今だ!
比影「おっと、今日は逃がさねぇよ?」ガシッ
不審者「な、なに・・・!?は、離せ!」
やつの足を掴み、地面に叩きつける。膝をつかせ、準備万端。
不審者「がはっ・・・!」
体半分以上は完全に紅き街へと入っている。こらなら、『ひざまずけ、礼』も使えるだろう。やつの声は、くぐもって聞こえた。
比影「もうお前に、明日なんてない。敗者にふさわしいエンディング・・・いや、絶望を見せてやるよ。」
不審者「こ・・・この!」
比影「触んな変態野郎め!」ガンッ
不審者「がぁっ・・・!」
これを見てイジメだとか、不快だとか思う人もいるのかもしれない。だが、元はと言えばこいつから仕掛けてきたことだ。
それに・・・こんなやつを野放しにしていては、人々が安心して暮らせない。だから、どう思われようと、心を鬼にして、こいつを討つ。
比影「佐和さん!今だ!」
佐和「オッケー!」バッ
不審者「な、なんだと!?お前・・・最初から・・・!」
比影「今更気づいても遅いんだよ。ふん!」
不審者「ぐはっ・・・」
佐和「比影くんからあなたのことは聞いた。悪いけど、許してはおけないわ。」
不審者「た、たす、け・・・」
佐和「ひざまずけ・・・礼!」
不審者「あぁ・・・あぁぁぁぁ!」
ヤツは光の粒子に包まれる。ヤツの声は、紅き街で響いた。
不審者「ワイは・・・ワイはただ・・・幸福を味わいたかっただけなのに・・・」
そう言い残して、ヤツは消え去ったのだった。
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