ひざまずけ、礼
第1章 84話 悪魔的な提案
さて・・・と。戦うのはいいとしても、どう戦うべきか。普通にやっても避けられるだろうし、かといって近づくと危ないし。
それに、だ。あんまり暴れることが出来ないということもある。紅き街の中なら現世には何ら影響はないが、あいにくここは紅き街ではない。何かを壊せば、壊れたままだ。
普通に考えれば当たり前なのだろうが、今までずっと紅き街での戦闘だったため、感覚が普通の人とは違うのだ。ここは現世、いつもよりちゃんとしないとな。
不審者「来ないのかい?ならこっちから!」スッ
比影「させるかっての!」サッ
不審者「ほう、これも避けるかぁ。可愛い顔してなかなかやるじゃないか。」スッ
比影「そりゃどうもっ!!」サッ
このままじゃジリ貧だな。あいつは化け物だ、体力も普通の人よりあるだろう。しかも相手は紅き街内を移動してるから、体力切れとか無さそうだ。
・・・そういえば、なぜ奴はあんな俊敏に動けるのだろうか。言う通りに紅き街を通っているとしたら、ここら一体も紅き街へ変貌しているはずだ。後ろに現れたことだってある。
まぁ、ただ単に「化け物だから」と言われれば、それまでなのだろうが・・・。
不審者「なぁに考え事かい?そんなことしてる余裕あるのか・・・なっ!」スッ
比影「っとぉ!」サッ
不審者「ふへへへ・・・相変わらずすばしっこいね。そんな抵抗しなくても、ちょーっと体を預けてくれれば、それで済むんだよ?」
比影「お断りだね!あんたみたいな人に預けられるかっての!」
不審者「傷つくなぁ・・・そうだ、じゃあこうしよう。」
不審者は何かを思いついたかのような仕草をして、言った。
不審者「君の質問に答えてあげるから、数秒間君の体を触らせてよぉ。」
なんとまぁ、気味の悪い交換条件だった。
比影「なんでだよ、嫌に決まってるだろ!」
不審者「じゃあ君の疑問には答えられないなぁ。いやぁ残念、たった数秒間君の体を触らせるだけで、君にとって有益な情報が得られるのに。」
比影「ぐっ・・・」
今は少しでも情報が欲しいところだ。対策を練るためにも、いくつか知っておきたいことがある。
たった数秒間、僕が我慢すれば、佐和さんやみんなの為になる・・・のだろうけど、嫌なものは嫌だ。だって何されるか分かったもんじゃないし。
さて、どうしたものか・・・
不審者「あと5秒の間に、どうするか決めてね~。5、4、3・・・」
・・・迷ってる暇はないようだ。えぇい、ままよ!
不審者「2、1、ゼr」
比影「待ったっ!」
不審者「・・・おや?」
比影「・・・わかった、あんたの策略に乗ってやるよ。」
そう、言ってしまった。
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