ひざまずけ、礼
第1章80話 静かなる日常を
1週間後、戦闘での傷(主に佐和さんにポカスカ殴られたアザ)もある程度癒えた。
僕としては、筋トレの成果がやっと出てきたということもあり、とても嬉しい気持ちになっていた。こういう、目に見える形で成果がでると、やる気も上がるというものだ。
それはそれとして、こういう戦法・・・というより、戦術がが通じない者も多いだろうから、何かしら取り回しやすい武器を考えないとなぁ・・・なんて考えている、今日この頃。
そんなわけだから、100円ショップに行って色々買ってきた。こちらのパーツをツギハギして、武器を作ろうかな~なんて。
佐和「・・・んで、これは何?」
比影「えーっとですね・・・これはその、副産物と言いますか・・・失敗作と言いますか・・・」
秘密基地には、色んなパーツがあたりに転がっていた。マジックハンドのアーム、おもちゃの銃の残骸などなど、様々なものが所狭しと散らばっていた。
・・・まぁ、全部ぼくがやったんですけどね?うん。
佐和「こんな散らかして、いったいこれらのパーツで何を作るのよ?」
比影「いやその・・・なんでも作れるように買ってきてまして。作ってる間にアイデア浮かぶかな~って、あはは・・・ハイゴメンナサイ。」
そう、僕には「こんな感じのものが作りたいな~」とか、「絶対作ってやるぞ!」という、ざっくりとした考えと意気込みは十二分にあるのだが、如何せんそれを実現させる能力・・・いわば、モノづくりの才能が皆無だったのだ。
10数分後、すっかり残骸は片付き、2人でコーヒーを啜っていた。佐和さんの作るコーヒーは格別だ。同じ豆・・・どころか、同じインスタントコーヒーなのに、何故こうも違いが出るのだろう?
久しぶりにのんびりとした時間を過ごせた。ココ最近事件続きで、2人でゆったりとした時間を過ごすことなんて、ほぼ無かった。
佐和「ふぅ・・・えへへ、なんかいいねこういうの。2人でいるだけなのに、すごく楽しいんだ。」
比影「僕もだよ。佐和さんと一緒に、ゆったりと放課後を過ごせるなんて。この部に入ってよかったよ。」
佐和「そう言ってもらえると嬉しいな。あ、コーヒーまた飲む?」
比影「じゃあお願いしていいかな。佐和さんがつくるコーヒー、僕好きだよ。」
佐和「褒めてもコーヒーしか出ませんよ~」
佐和さんはまた、コーヒーを作り始める。鼻歌交じりで、楽しそうに。この風景が、ずっと見れたらいいな、なんて思った。
けれど、今の僕には告白する勇気も、ましてや結婚云々なんて話をし出す勇気も、存在しなかった。
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