ひざまずけ、礼

ko-suke

第1章72話 もうひとつの目撃情報




男子「えーっと・・・時間的には今から20分くらい前っすね。さっき言った通り、走り込み中だったんすよ。」

比影「20分前・・・場所はどのあたりでしたか?」

男子「あーっと・・・たしかランニングコースの中間あたり・・・テニスコート裏っすね。」

佐和「テニスコート裏ね。続けて?」

男子「はい。まぁ、続けてって言ってもあとはあんまり内容はないんすけど・・・走り込みしてて、中間あたりで何かに足を引っ張られた様な感覚があって、気づいたら転んで・・・」

保先「それで・・・見たのね?小人。」

男子「はい、見ました。自分の足にロープみたいなものを引っ掛けて、転んだところを見て笑っていました。とっ捕まえようとしたら、逃げ出して・・・」

比影「そう、ですか・・・」

佐和「あ、あの!笑っていたってことは、顔を見たんですか!?」

佐和さんが声を荒らげる。ナイス佐和さん、そこに気づくとはさすが!僕は気づかなかったよ。

男子「え?えぇ、見たっすけど・・・」

佐和「どんなやつでした!?それから、どんな格好をしてました!?」

男子「えっとですね、おじいちゃん・・・とまではいかないくらいの、人間で言うと50代くらいの顔でした。格好は・・・あんまり覚えてないっす。」

佐和「そうですか、ありがとうございます。」

ある程度情報が揃ってきた。まだ正体には迫れそうにないが、それでも有益な情報だ。

男子「じゃあ、自分は戻るんで・・・」

比影「あ、はい。情報提供、ありがとうございました。」

佐和「助かります、ありがとうございます!」

彼は軽く頭を下げて、保健室を後にした。

保先「・・・まさか、小人を見た人が他にも・・・」

比影「これは本格的に、きちんと調べないといけないかもしれないですね・・・」

佐和「小人が何者なのかはわかりませんけど、実害が出てる以上、早めに解決すべきですね。」

保先「そうね・・・保健室の先生としても、怪我する生徒は少ない方がいいもの。2人には手間かけるけど、お願いね?」

比影「はい、わかってます。」

佐和「任せてください!」

保先「ふふ、頼もしいわね。・・・あ、それで、2人が来た用事って?」

比影「あ、それはですね・・・」

僕たちは本来の目的である、先生が商店街で遭遇した場所を聞いた。それにより目撃場所が、目星をつけていたうちの一つ、肉屋の路地裏であることが判明した。

その後、学校を出た僕らは、今後について話し合った。

佐和「肉屋の裏だけじゃなくて、さっきのテニスコート裏もら調べた方が良さそうね。もしかしたら、何かしら痕跡とか残ってるかもだし。」

比影「そうだね・・・よし、じゃあ明日の放課後、二手に分かれて調べてみようか。片方が商店街、片方がテニスコート裏で。」

佐和「早期解決が目標だし、そうしましょうか。何あったら電話するわ。」

比影「わかった。」

こうして、明日の予定が決まった。


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