ひざまずけ、礼

ko-suke

第1章62話 あの時の真相は




レア「紅き街を消滅させないと、この世界は滅びる。そんな事実が世間一般に知れたら、この世は大混乱に陥る。それを防ぐためにも、この事実はうちら含めごく1部にしか知ってはならない。そう、決まってるんや。」

比影「だ、だとしても!あの子のことはお母さんに伝えないといけないんです!」

佐和「私たちには、伝える義務があります!当事者として、共に戦ったとして!」

僕らがそう言うと、レア様は苦笑して言った。

レア「伝える義務?どこにそんなものがあるんや。自分らは人類のために、化け物を倒しただけや。そもそも、どう伝えるつもりや?紅き街のことは一切伝えずに、やぞ。下手すれば自分らが犯人だと思われるで。」

比影「たとえそうだとしても、このままにはしておけませんよ!何かしら行動はしないと!」

佐和「私も比影くんと同意見です!私たちがどう思われようと、あの子の勇気に報いなければ・・・!」

そこまでいったところで、場の雰囲気がガラッと変わったことに気づいた。電話越しだというのに、威圧感がひしひしと伝わる。

レア「あのな、いい加減にせぇよ?自分らはただ、ウチらに従ってりゃええんや。紅き街を消滅させ、この世界を救う。そのためには、多少の犠牲はやむを得ない。それが神々の考えや。」

2人「なっ・・・」

レア「数人の命で世界が救えるなら、万々歳やあらへんか?それとも自分ら、誰の犠牲も出さず、綺麗事のまま世界が救えるとでも思うんか?そんな甘くないで、この世は。」

比影「そりゃ綺麗事で済むなんて思ってませんし、やむを得ず犠牲が出てしまうことだってあるかもしれません。でも、そうして出た犠牲を無視し、割り切って進めるほど、僕は強くありません。」

佐和「あんな小さい子が犠牲になって、あの子のためにできることと言ったら、これくらいなんです。せめてお母さんには・・・」

レア「・・・言っても分からんらしいな。なら教えといてやるわ。もしこの命令に逆らうというのなら・・・」

レア様は、ドスの効いた声でこう言った。

レア「自分らの命も、ここまでや。」

2人「・・・・・・な、な?」

衝撃的な言葉に、僕らはまともな声が出せなかった。



比影「どういう・・・ことですか?」

レア「そのまんまの意味や。もし逆らうなら、自分らの命はここで潰えるのや。」

佐和「・・・神に、○されるということですか?」

レア「ちゃうちゃう。お前ら、既に1回死んで、生き返った身やろ?その命はあくまで、仮で与えられたものなんや。」

2人「か、仮?」

レア「本当に生き返るには、紅き街を消滅させ、この世界を救う必要があるってわけや。」

比影「な・・・そんなこと聞いてないです!」

レア「せやろな、言ってへんからな。」

佐和「レア様・・・あなたって人は・・・!」

レア「どうとでも言えや。さて、ここで命が潰えてもいいなら、ご自由にどうぞ?ただ、そうしたら世界は救えんけどなぁ。」

2人「・・・」

実質、選択出来る道はひとつしか無かった。


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