ひざまずけ、礼

ko-suke

第1章58話 繰り返されし絶望




比影「・・・なっ!?お前、なにをした!?」

園児?「ひゃひゃひゃひゃひゃ!馬鹿め、無防備で近づいてきやがって!これが俺の得意技なんだよ!」

体が、動かない。さっきまでズカズカと歩けていたのに、一切動かなくなった。これは・・・

比影「か・・・金縛りか!」

園児?「その通り。俺がよく使う技なんだよ・・・人を○す時になぁ?」

比影「き・・・貴様・・・!」

だが、今更金縛りをかけたところで何になるというのだろうか。動けないのはやつも同じはず。

だが、その考えは甘かった。

園児?「おっと、金縛りが得意技とは言ったが、金縛り“だけ”が得意技とは言ってねぇぞ?」

比影「な・・・なんだと?」

園児?「こんなことだってできるんだぜ?」

やつの目が光ったかと思うと、近くにあったボールがひとりでに動きだし・・・そして、浮いた。

比影「これってまさか・・・」

園児?「お察しの通り、念力よ。ただ浮かせるだけじゃなくてな・・・行けっ!」

やつが命令すると、ボールは宙に浮いたまま僕の方に飛んできた。守ることも避けることもできない僕は、ボールが腹に当たることをただじっと見ていることしか出来なかった。

比影「かは・・・っ!」

痛みがじわりと響く。かといって、痛がることも出来ない。あんな柔らかいボールなのに、スピードが乗ると凶器になるのか・・・また1つ勉強した、とか言ってる場合じゃねぇ!

チラッと佐和さんの方を見ると、今にも飛び出して来そうだった。僕はやつに気づかれぬよう、目で佐和さんに来てはならないことを伝える。

今来てしまったら、僕と同じく金縛りと念力の餌食えじきになるだけ。今じゃない。

園児?「そりゃそりゃそりゃあ!」

やつは念力でボールを自在に操り、僕にダメージを与えてきた。勢いよくボールがぶつかるごとに、鈍い痛みが全身に伝わる。腹だけでなく、色々な方向からボールの打撃をくらった。

比影「う・・・ぐ・・・」

園児?「ひゃひゃひゃひゃひゃ!立場逆転だなぁ、傑作だぜこりゃ。これだから人○しはやめられねぇのよ。」

やつは高笑いをし、更にボールでの打撃を浴びせてきた。何とかして逃れたいが、現状逃れる術は見つからない。ただ耐えきるしか方法は無いのか。

だが、その方法さえも儚く砕けることになる。

園児?「さて・・・つまんねぇし、そろそろ○しちまうか。こいつの魂なんざ要らねぇし。」

そう言って、やつは目を光らせる。すると、アパートの自転車置き場の当たりがガタガタと動きだし、飛び出してきたのは・・・なんと、自転車置き場の支柱だった。

しかも、やつはそれを加工し、1本の尖った鉄槍に変えてしまったのだった。


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