ひざまずけ、礼

ko-suke

第1章5話 汝ら、影なる者を追うか(3)




次の日。完全に両足が筋肉痛になっており、歩く度悲鳴をあげている。

今日が休みだからよかったものの、学校で体育なんかがあった日にゃ、オワタとしか言いようがないだろう。

とりあえず、体を休めるためにも二度寝を決行することに。そうと決まればレッツラ布団の中へ─

ピンポーン

チャイムが鳴った。まぁ、誰かでてくれるだろうし、僕はさっさとおふとぅんへ・・・

母親「比影ー!佐和さんよー!」

比影「うせやろ・・・」

まさかの佐和さんだった。なぜ休みの日まで家に来るのか。

とりあえず、この服装では格好がつかない。パジャマンから脱せねば・・・

比影「今から着替えるから待っててもらって!」

階段で母にそう伝える。直ぐに部屋に戻り、ささっと着替えを用意。あんまり女の子を待たせちゃいけないからね。また怒られるだろうし・・・。

とりあえず上の服を脱ぎ捨て、下も脱ごうと手をかけた瞬間、それは起きた。

佐和「こんにゃろ!逃げようったってそう・・・は・・・」

比影「・・・え」

佐和「ひ・・・ひゃぁぁぁぁっ!?」

比影「ひえええぇぇぇっ!」

乗り込んできた。こやつ、人の部屋に勝手に乗り込んできたぞ!?

なんで乗り込んできたの!?母さんはなんで止めなかったの!?色んな疑問が頭を駆け巡る・・・が、まずは出てってもらう事を優先した。

佐和さんは顔を真っ赤にして、コクコクと頷き、そそくさと出ていった。僕もすぐに着替えを済ませ、もう一度佐和さんに入ってもらった。

比影「・・・で、なんで乗り込んできたんですかね?」

佐和「ご、ごめんなさい・・・その、逃げようとしてるのかと思って・・・とっ捕まえてやろうと・・・」

比影「僕、ちゃんと着替えるって言ったんだけどな・・・母さんめ・・・」

佐和「いやその・・・お義母さんはちゃんと伝えてたよ。私が勘違いして、乗り込んじゃっただけで・・・ほんとごめんなさい・・・」

結構反省しているようなので、許してあげることにした。僕も鍵かけてなかったし、まぁ起きたことは仕方ないし。

にしても、「着替えるから待って」から「逃げ出そうとしてる、追いかけなきゃ」に発展させるとは、なかなかの想像力だな。この人、小説とか書いたら結構いい線行けるのでは?なんてね。

比影「・・・そっか。とりあえず、なんで来たのか教えてもらってもいいかな。」

佐和「その・・・ね、昨日言ってたことが引っかかってて」

比影「昨日って言うと・・・退治云々の話か。」

佐和「うん。・・・その、さ。比影くん、やめたりしないよね・・・?」

比影「・・・?どういうこと?」

佐和さんの言ってる意味がよくわからなかった。

佐和「だから、その・・・あぁもう!紅き街の化け物退治を辞めたりしないよねってことよ!!察しなさい!」

比影「えぇ・・・なんで怒られてるの僕・・・」

理不尽にも怒られてしまった僕だけど、佐和さんの質問に対する答えは決まっている。

比影「やめないよ。やめたら、生きることを辞めることになるからね。」

佐和「・・・!そ、そう!ならいいの!」

佐和さんはなんだか嬉しそうだった。

ただ、そうは言ったけど、レア様の話に対する疑問は拭えていない。とりあえずは、この話は保留とすることにした。


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