ひざまずけ、礼

ko-suke

序章1話 彼と彼女




普通って素晴らしい。平凡って素晴らしい。平和な世の中で過ごす日々で、常々そう思う。

中にはつまらないって言う人がいるだろうけど、それでいいんですよ。だって、人生面白くなきゃいけないなんて誰が決めたんですか。

機械的に、マニュアル的に生きてたって、別にいいじゃんか。考えながら生きた方がめんどくさいよね。

だから僕は、このライトノベルの主人公みたいに女の子にモテモテじゃなくて構わない。・・・構わない、からね!うん!決して強がりじゃないぞ!

??「・・・はぁ」

ふいに、ため息をつく。

朝早くに学校に来て、ライトノベルを読みながらそんなことを思う、高校2年の僕、高梨たかなし比影ひかげ。こうして現実逃避していないと、身が持たないのですよ。

その原因というのが、これ。

??「よー比影くん?今日も今日とてオタクしてんねぇ!」ガシッ

??「名前通りに、日陰生活満喫中ってとこか?えぇ?」ガシッ

比影「い、いや・・・その・・・」

いつも飽きずに、僕のことをいじってくる奴らがいるせい。軽いウェイ系の佐賀美さがみ君と、見た目からヤンキーの箕浦みうら君。ノリについていけないから、苦手だ。

佐賀美「お前こんなの読んでて恥ずかしくないのかよ?萌え萌え~ってか?」

箕浦「いつも同じの読んでて飽きねぇよなぁ。なんなら本貸してやるか?俺の愛読書だぜ、『喧嘩上等!男の生き様』って漫画さ。」

比影「い、いやぁ・・・僕には合わないからいいよ・・・」

陽の者はどうしても苦手意識がある。自分自身が陰の者だからなんだろうなぁ・・・はぁ。

ふと、2人が止まった。その視線は、僕の胸元へと注がれる。・・・別に変な意味じゃないからね?

2人が見ていたのは、僕がみにつけているアクセサリー。今となっては珍しい、ロケットペンダントだ。僕は瞬間的に察し、2人の手が伸びる前に隠す。

比影「これはダメ、触っちゃ・・・」

佐賀美「そういうのって、ダメって言われると、やりたくなっちゃうよなぁ?」

箕浦「ちょっとくらいいいだろ?見せろっての。」

比影「ダメ、絶対に・・・!」

何とか阻止するものの、2人が僕の腕を引っ張る。と、その時。

??「おはよう!・・・ってそこぉ!なにやってるの!」

突然、横槍が入った。声の方を見ると、眼鏡をかけた少女が、そこに居た。・・・まぁ、クラスが一緒だから知ってる人なんだけどね。

佐賀美「げっ・・・まずい、学級委員長サマの登場だ。」

箕浦「ちっ・・・いつもいつも・・・」

その一言で、2人は僕に対するちょっかいをやめた。

彼女はこのクラスの学級委員長であり、クラス1の切れ者、七瀬ななせ佐和さわ。ちなみに、切れ者というのは別に、話の回しが上手いとかそういうのじゃなくて、「クラス1キレたら怖い」という意味である。

佐賀美「邪魔すんなよ、いいところなんだから。」

佐和「何がいいところよ!つかみかかろうとしてたでしょう?」

箕浦「いやあれはスキンシップというやつでさ・・・」

佐和「問答無用!人が嫌がることはしない!」

強い人だと思う。少なくとも、僕なんかよりは何倍も。

2人は委員長の活躍(?)により、僕の元から離れたのだった。めでたしめでたし。

・・・いやまぁ、何も始まってないんだけどね?何もめでたくないし。

ただ、これから起こる奇想天外な日々に比べりゃ・・・今が、この何も無い日々が、めでたいと思うほどにはなるだろうけど。


コメント

  • ノベルバユーザー601444

    テンポよく進んでいくのでとっても読みやすかったです!
    続きが気になります!

    1
  • ノベルバユーザー602526

    読みながら勇気やポジティブももらいました。良かった!

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  • ホワイトチョコレート

    タイトルはなんだろうって感じでしたが面白いです。

    1
  • ラム&ロム

    おや、いつの間にか新作が始まってる。
    またお付き合いしますぜ!

    1
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