9月9日11時

みゆたろ

繋がり

沢口望が通っていたと思われる高校の近くには、高校生が沢山いるおかげで、情報を聞きやすい。
周りを見渡せば、すぐそこに歩いている女子高生がいるのだから。

「すいません。ちょっといいですか?」

俺が声をかけた事で、いぶかしげな顔を浮かべながら、女子高生が俺の全身を見回す。
その表情には、何このおっさん?と言う感情が現れている。

「俺、こーゆー者です!」

名刺を差し出す。
そこにはジャーナリストであると言う事、そして、名前、電話番号などが書かれている。

「ーージャーナリスト?」

名刺に視線を落としていた彼女が、また顔を上げ、俺に視線を向けた。

「ジャーナリストの人が私に何の用ですか?」

「あの、この子の事知らないかな?」

俺は沢口望の写真を差し出した。
高校生は不思議そうに差し出された写真の中の人物に目をやる。
しばらく黙っていると、女子高生が言った。

「あ、のぞみじゃん?ーーおっさんが、どうして望の事を調べてんの?」

この女子高生、口が悪すぎる。
そう思ったがまぁ仕方ない。

「彼女が亡くなった事は、知ってるね?」

「うん。自殺したんでしょ?」

「俺、その現場を見ちゃったんだーーでも、彼女には死を匂わすような行動はなかったんだ。少しもーーだから、調べてる。どうしても自殺と思えなくて」

「そうなんだ。実は私も自殺には思えないんだよね?望は友達も多かったし、特に悩んでるような様子もなかった。それに成績だっていつも上位だった。それなのに自殺するなんて思えないよ」

「望さん、人に恨まれるような事はあったと思う?」

「それはない。望は人に恨まれるなんて、そんな子じゃないよ!」

彼女は本気で怒っている様子で、そう言い切った。

「そうか。じゃ、この子たちは見た事があるかな?」


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