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彼氏が悪の組織の戦闘員Eなんですが…

黒月白華

第107話 三重人格クローン

「お前は何だ!?」
と僕は倒れている白髪の少年に近付いた。

「……流石…悪の組織…と言ったところかな?僕は…相馬…よろしくね、栗生院吉城くん…」

「何だと聞いてるんだ!」

「もう判ってるくせにわざわざ聞くのかい?そうだよ…僕は栗生院蔵馬のクローンだよ…。一番まともでまともじゃないマシなクローンです」

「お前が…薬を作ったんだろ?」

「ええ…まぁそうですね。作りましたよ。命令だったので。でも蔵馬氏は死んだからもう命令されることもないし僕は自由だ!だからもうこうして外に出て時奈ちゃんとも会えるって思った…僕が初めて外の世界で出逢った可愛い女の子…」

「あのさぁ…さっきから思い出話ししてるけど全く興味ない!彼女は僕の大切な恋人だ!君は付き合ってもないのに時奈さんの勝手な妄想をするなよ…殺すよ?」
白髪の相馬と名乗ったそいつは…

「ほんと酷いね…君は…。僕だってさ、何故産まれたのか解らない。ただ…僕にも時奈ちゃんしかいなかったんだよ…他には何も無かった。だからテレビで成長した時奈ちゃんが君の彼氏だって知って僕がどんなに傷付いたか…。君がとても憎い。憎い憎い」
と相馬は言った。

そしてスラリと立ち上がり気配が変わった。
なんだ?こいつ…。

「おいおい…相馬をあんま虐めんじゃねぇよ…俺が出てきちまったじゃねぇか…」
明らかに変だ!?さっきとまるで違う口調。

「何だお前は?」
白髪のしょうねがニヤリと笑った。

「俺は桐谷だ!相馬の中の一つの人格だよ!後一人女の人格がいるけどよ!」
三重人格…だと?

「はっはあ!驚いてるな!俺は二人と違って凶暴なんだよ!相馬が頭を使い、葉月が仕上げをする。俺たちそうやって成り立ってんだ!」

「よくわかんないから病院行った方がいいよ?」
と僕がナイフを構えると彼は笑い椅子の下から日本刀を出してきた!

「ししししし!これ真剣だぜ?俺が相手してやるよ!栗生院吉城!気をつけないと首が飛んじまうだろうがな!」

「なるほどね…叔父さんは日本刀マニアだったのかな?」

「さあな?しっくりくるだけだよ…じゃあやろうぜ?殺し合い!」
と桐谷という人格になった白髪少年が一気に間合いを詰め刀を素早く振り下ろす!

キン!キン!と刀とナイフが当たり時折火花が散った!

「ははは!楽しいなぁ!やるなお前ええ!」

「……」
勢いだけは凄い。刀の腕もいい。だが僕には判った!こいつは…遊んでいる!

桐谷は間合いを詰めてとうとう僕のナイフを弾き飛ばした!
僕の手には血が滲み床に滴り落ちた。

「どうした?栗生院吉城くんよぉ?もっと楽しませてくれよ?つまんねぇだろ?お前の力はそんなもんじゃねぇだろ?」
と挑発する桐谷に僕は言った。

「約束したんだよ…。君を…殺すなってね…。彼女…時奈さんが」
それに桐谷はビクリと反応して止まった。
そしてガクリとまた停止すると今度はまた違う雰囲気になった。

「やだ!?時奈ちゃんが?良かったー!相馬のこと考えてくれたのねっ!?葉月応援しちゃうんだから!!」
女みたいな喋り方…葉月と言う人格か…。

「時奈ちゃんが相馬のこと…忘れるはずないもの」

「いや、彼女君のことは本当にうろ覚えだったよ?」
と言うと

「ふーん?もしかして相馬に嫉妬してる?可愛い子は私好きよ?吉城ちゃん?」
と笑いいつの間にか葉月は指の間に何本も細い注射器を挟みそれを一斉にこちらに投げた!

僕はそれを全て高速で交わし一本を掴み葉月に投げ返す!

「やーん!やーん!交代ー!」
と葉月が言うと瞬きをして一瞬でまた桐谷と言う人格になる。

「葉月!すっ込んでろ、こいつは俺の獲物だ!」
と再び構えて走り出す!

「遊びは終わりだ!栗生院吉城!お前の首を跳ねて雪見時奈を連れて行く!」
動きが今までより格段に早くなり避けるのに苦しくなり僕は傷を作っていく。

「本気出せよ!栗生院吉城!つまんねえって言ってんだろ!」

「嫌だよ…出したら君が死ぬ。僕は約束を守る男だ」

「ちっ!なら、死ね!!俺の前から消えてしまえ!」
とうとう首目掛けて刀が振り下ろされるがその一瞬で僕は刀を素手で受け止めて靴の先に仕込んだ麻酔針を動けない桐谷の足に飛ばした。
針はしっかり刺さった。

「なるほど…俺を最初から動けなくする目的でか?くくく!」
桐谷は麻酔針を抜いた!

「俺は…いや、相馬は様々な実験をしてきた。時には自らの身体を使い、苦痛に耐え耐性ができてるんだよ、こんなもの効くか!バーカ!まぁそのおかげで俺や葉月なんて人格が生まれちまったがな!」

「そうか…」
耐性か…。厄介だな。

「栗生院吉城!俺と真剣に戦え!相馬が戦えないなら俺が相馬の代わりを務める!俺はずっとお前を殺す為に作られた人格で俺はこの時を待ってたんだ!刀の練習もアホみたいに何年も続けてきたんだよ?なぁ?判るだろ?俺がどんなに楽しみにしていたか!」

「僕を殺すのが目的なら…その後君はどうなるんだ?もし僕が死んだら…君はもう目的をあしなっちゃうね?」
と言いと桐谷は止まった。

「は?そんなの…関係ねぇよ…。これは俺の祈願だ!お前を殺す!必ずここで殺してみせる!」

「はぁ…みせると言われても…僕もやすやすと死ぬ気はないし、時奈さんが悲しむ。僕と彼女は相思相愛だからね?邪魔する奴は誰であろうと僕は容赦しないけど、優しい彼女に殺さないでって言われちゃったから…仕方なく…半殺しにしてやるよ…」
と僕は意地悪く笑った。
それからは桐谷の猛攻が始まった。

僕は刀を避けつつ冷静に素手で奴の急所を突いて行くことに切り替えた。奴は刀の技術は凄いが僕も回避能力をフルで使い確実に急所を突く。ゴリラとの練習が少しは役だったな。

刀を受け流した隙をつき、大腿を思い切り蹴り衝撃でよろめく桐谷の顎に掌底を放つと桐谷はグラグラと脳震盪を起こしかけよろめいた。まだ立ってるなんてこいつ…。

「…いいね、素手で急所をついてくるとはな!だが俺も負けられねぇ!!」

桐谷は集中して抜刀し回避が遅ければ僕は真っ二つだろう。しかし腕に少し掠って血が吹き出した!
ちっ!

「おおー!やっとか!もっと見せろ!それ!次は腹がいいな!」
しかし相手もダメージはある!やはりフラフラしているから効いてはいる!麻酔は効かなくとも人体の急所は効くはずだ!

腕の痛みを無視して蓮撃してくる刀を避けつつやはり接近戦に持ち込む。近寄らせまいと頑張る桐谷に一瞬隙ができ、僕はそれを見逃さなかった!

懐に潜り込み強い衝撃でみぞおちを殴る。

「がはっ!」
桐谷は刀を落として床に倒れた!
呼吸が上手くできないらしく苦しんでいたので少し介抱してやるとどう言うつもりかと睨まれた。

「殺す気はないと言っただろ?」
だが、もう桐谷は動けなくなりふっと笑うと
目を閉じて相馬になった。

「桐谷を…ゲホっ!……倒したのか…」

「………相馬だね?君を殺すわけにはいかない。死は逃げだ。どんなに罪深いことをしてもあっさり死に逃げる。叔父さんもそうだった。君はクローンだ…。君も被害者であるには変わらないが…同情はしないよ。桐谷を使って俺を殺そうとしたみたいだけど無理だったろ?君の負けだ」
相馬は僕を見て…

「ようやく…ゲホッ!…死ねると…思ったのにな…僕の考えは見透かされていたんだね…」
と静かに気絶した。

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