彼氏が悪の組織の戦闘員Eなんですが…

黒月白華

第98話 様子見

今日は二人の人形達が登校して行く。
ほんといつもよくバレないものだ。

「吉城くん、人形たちちゃんとやってるのかな?何でバレないんだろう…?」

「そんなに気になるならちょっと内蔵カメラのスイッチを入れようか」
とテレビ画面が二つに区切られた映像が映る」

「左が時奈アイで見たやつで右が僕ね。じゃあみようか」
とソファーに座った。そんで私は当然の如く彼の膝に乗せられている。
逃げられないようがっちりホールドされている!!
このサイコこの体制じゃないと見れんのか!!

「時奈さん…逃げようとしたら…」
あむっと彼は私の耳を齧る。

「きゃっ…」

「こういう刑です♡」
いや、どんな甘噛み刑執行なの!?
とりあえず画面を見てると左の私のアイでは学校が映っている。
どうやら到着したみたいだ。
ちなみに吉城アイは私を見ている。
ん?なんか私が拡大されてない?
いやどんどん近づいてるな…まさか…。
私のアイも吉城人形を捉えている。
そこで二人の画面に同時に

【これより口付けを20秒開始します】
と出た!
なんやて!?
そして数字が画面に現れてお互いの口がアップになり暗くなった。

「…いや、ちょっとおおおお!何してんのこの子たち!!」

「僕等の真似だね」
20秒が終わると画面が切り替わり顔を赤くした生徒達の驚きと興味深々とE様ファンの女生徒の悲鳴が響いた。

「何してんのー!!皆に見られたじゃない!!いやああ!!」
私は思わずジタバタしてしまい耳を齧られた。

「きゃっ!」

「まあまあ…朝の挨拶みたいなもんだよ…見せつけてやればいいんだ…くくく…」
吉城くんが悪い顔で笑った。これでファンが減ると思ってるのか?逆効果だと思うけど!?
その証拠に私人形が吉城人形と別れたすが後、女生徒が二人駆け寄ってきた。
名前が表示される。

【近藤春海…18歳。3年生。煙草所持。栗生院吉城のスクリーンショット保存。体温36度5分平熱。知能指数10段回中3。力55。】
と出た。

「おはようございます近藤さん」
と挨拶すると

「ああ…雪見さんちょっと顔貸してくれない?」
と近藤さんが怖い顔をしている。

「顔は貸し出しできないです、ごめんなさい」
うんそりゃできないよね!!

「いいからちょっと着いてきなぁ!!」
と今度は別の女生徒が映る。

【山崎奈緒…18歳。3年生。禁煙パイプ所持。栗生院吉城の体操着スクリーンショット保存。体温36度5分平熱。知能指数10段回中5。力45】

「おい!僕の体操着スクリーンショット保存ってどういうことだ!いつの間に2年に忍び込んだ?こら!」
と吉城くんが突っ込んだ!いや乙女なら体操着くらい保存したいんだろうな…。
私の人形はどこかに連れて行かれるようだ。集団リンチか!?
しかしそこで田淵さんが前方に現れた。
笑顔で

「皆さんどこへ行かれるの?これから授業ですよ?」
と言った。流石委員長!と思っていたら危険を知らせるあの黄色い三角のビックリマークの印が現れた。

【田淵玲子…18歳。3年生。雪見時奈の友達。劇物所持。栗生院吉城の生写真の売上金本日1万5千円。体温36度2分。平熱。知能指数7。力15】

「劇物所持!?」

「いや、僕の写真の売上金ってどういうことだこら!朝から何人に売ってんだこの女!!」
続けて見ていると田淵さんは

「もしかしてまさか!早弁ですか?なら私作ってきたのでどうぞ!!」
と田淵さんが弁当箱を取り出した!!

「ひっ!いやっ!!来ないで!」

「いやお前それ!危険だからっ!…ちっ雪見時奈!覚えてろよ!」
と二人は去った。良かった。

「あ、残念です。一応雪見さんのお弁当もあるのに」
ひいいいい!!身代わりで良かった!!
危ないとこだった!!
二人は私のクラスに行くようだ。

「まぁ安心かなこれで」
と吉城くんがフッと耳に息を吹きかける。
こっちはこっちで何の拷問なの!?

吉城くんの方を見るとまた危険のマークがそこら中に現れた。

【デンジャーゾーン突入!】
えええええ!?
ただの廊下だ。誰もいない。
いや!いる!カメレオンかよ?というくらい不自然な壁の盛り上がり!忍者がよく使うあれ?
さらに教室のドアの隙間に光る目がいくつもある!何とゴミ箱にも隠れてる人がいた!怖っ!
さらに後ろからサイン色紙を持った女生徒たちがわらわらとゾンビのように迫っていた。

「何これ!?」

「毎朝こんなもんだよ?」
ひいいいいっ!とんだ死地だな!
吉城人形はダッシュでフラッシュを交わしながら教室へと向かった。

「流石吉城くん人形…完璧だわ」

「あれは人形だよ?本物は僕…」
と耳をまた齧られた。

「きゃっ!」
ついでに頰にキスされる。
殺される!!本物のオリジナル吉城くん
に殺される!!

それからは真面目に授業を受ける二人。とそこで枝利香さんが後ろの扉からそろそろと四つん這いになりながら登校した。遅刻じゃん!
そしてズルリと自分の席に着いて。寝出した!!
ええっ!!
さも当然のようにそこにいましたよ!みたいな!

「何という隠密スキル!!流石枝利香さんだね!」
と吉城くんが感心したけどただの遅刻だよ!!

【舞川枝利香…18歳。3年生。雪見時奈の友達。鳴島京一郎のスクリーンショット保存。竹刀所持。体温36度8分微熱。知能指数3。力90】

「鳴島さんの下の名前は京一郎って言うの!?初めて知ったよ!!」

「あれそうだっけ?でも他の男の下の名呼んじゃダメだよ?」
となんだかんだ理由をつけて耳を齧る。

「きゃんっ!」

「くっ!可愛い声出したから死刑ね」

「ええっ!?」
と彼は我慢できず口付けしようとするので

「ままま!待って勉強は?勉強しましょう!!??」

「くくく…してるよ…恋の…ね?」
うがっ!!こいつ!!私を留年させる気なの!?それが狙いやっぱり!!?
って…はい、もうキスされましたーー!!
いやもう留年どころじゃない!!私を溶けさせてスライムにして飼う気だね?くそー!このイケメン冒険者め!

【バカップル雪見時奈&栗生院吉城今日もラブラブ♡】

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