彼氏が悪の組織の戦闘員Eなんですが…
第76話 全力ケアサポート
「そうか…時奈さんを虐めたあの女が転校してきたのか…。このタイミングでね…」
「恐らくは坊っちゃまの正体がネットに流出したり雪見様との関係がバレたことからの嫉妬と逆恨みでしょうな、ご協力は雪見様のクラス委員長様から証言は取っております。枝利香さんが生憎風邪で休みでしたからな」
「全く…女ってのはどうしてこう陰湿なんだ!」
「しかし、坊っちゃまが昔あの女の父親に手出しをしなければまさかこのようなことにはなっていなかったのではないでしょうかな?」
鳴島が淡々と言う。確かに…時奈さんと出会った頃、過去彼女が虐められ遠くの女子校に引っ越すことになったきっかけだし、僕は何とかしたかった。蔵馬叔父さんの支援で議員当選を果たした虐めっ子の父親に制裁を…。
僕はただ叔父さんと繋がりのあるものを全て壊すことが目的であった。そのことと娘の真理亜のことは関係がなかったかもしれないが、彼女からしたら時奈さんが彼氏である僕に頼んで彼女の家庭も壊したと取れてもおかしくはないだろう。
「僕のしたことは間違いだったのかな?」
「坊っちゃま…しかし当時の笹野原議員は最低でしたよ?表には出ておりませんが坊っちゃまが差し向けた浮気相手だけではなく、派手な夜遊びでキャバ嬢に注ぎ込んだりとボランティアで集めた資金を使い込んだりしてましたからな」
「それをまた叔父さんがもみ消してたんだよね…でも…時奈さんが何も言わないのはやはり僕に迷惑をかけたくないからでしょ?どうしてかな…」
「坊っちゃまが頼りにならないわけではないでしょう。ですが雪見様にも譲れないものがあるのでしょうな。彼女は戦おうとしております…。笹野原…いえ、辰巳真理亜は美人であり雪見様はどう見ても不利な状況でしょう…加えて親衛隊の皆様からも嫌われております」
「…やっぱり親衛隊とか言うのが邪魔だな…」
「その親衛隊のリーダーが辰巳真理亜ですぞ、坊っちゃま」
「はあ!?何だって?」
「彼女の方も坊っちゃまの手回しで家庭を壊されたことは気付いていれど、どうすればいいか解らなかったのでしょう。しかし母親の再婚間近のタイミングで引っ越すことになったり坊っちゃまの正体がバレたことにより親衛隊をあのタイミングで作ったのです。ネットの活動だと正体もバレにくいでしょうし」
「なるほどな…だが辰巳真理亜を潰したところで親衛隊はなくなりそうにないな…」
「坊っちゃまのファンですからねぇ…」
鳴島はホッホッホと笑った。
「ところで辰巳真理亜の母親の有菜の再婚相手となる男ですがこれまた成金の糞爺でしてな…」
と鳴島の周りの空気が一気に真っ黒になった。
「な、鳴島?」
「鈴金角次郎と言いましてな…私の学友でしたな…若い頃の話ですが…妻に何回も振られても諦めずしつこかった男です。蔵馬氏とも仲が良かったようで…ひょっとしたらネットで噂になっている新正義の組織は奴が関わっているのかもしれませんね…」
「あれマジだったのか…。しかし叔父さんと仲が良かったのならあり得るな…美少女戦士とか作ろうとしてるなんて変態だな」
「まぁ、変態ですからな。辰巳有菜とも相当歳は離れているでしょうに」
「…それお前が言うのか?」
おい鳴島お前と枝利香さんは辰巳有菜どころじゃないくらい離れてるぞ!!
「私のことより坊っちゃまはどうしたいのです?辰巳真理亜を潰すのですか?」
「いや…時奈さん自身けじめはつけたいだろう…?彼女が戦うなら僕は全力でケアサポートするだけさ」
「全力でケアサポートですか…」
「僕って女装したら綺麗なんだよね?山根博士に女の声でも作って貰おうかな」
「確かに…しかし坊っちゃま…自分の学校は…」
「そんなもん山根に僕を作らせとけばいいだろ…アホみたいに精巧な人形作るしあいつ」
「変な攻撃ツール作らないでしょうな?」
「それはちょっと心配かなぁ?まぁ大丈夫だろうゴリラに見張らせとけば」
「ゴリラがもう一体坊っちゃまを作らせるかもしれませんな」
「怖いこと言うなよ!!」
と僕はゾッとした。
それから山根博士に協力を頼み僕の人形が完成したのはそれから1週間ほどだった。
彼が天才なのは認める。
*
朝…。私は憂鬱だったけど、毎朝イケメンを見ると元気になれるから頑張ろうと決めて起き上がる。
あの日から毎日地味に嫌がらせは続いて枝利香さんも委員長も応戦してくれるけど吉城くんにはバレないようにしている。ボイスレコーダーも隠している。
私が虐められてるなんて知ったらまた爆破なんてされかねない。女王様達もボイスレコーダーがあるおかげであまり派手な動きはしないが教師にバレないよう証拠を残さず自然に転んだように見せかけたり自然に私の机の中からカビたパンが出てきたり、体操服に小さな穴が開いてたり、教科書を開くとページがバラバラになったり、上履きがホッチキスで留められてたり…とにかく地味で陰湿で小さい嫌がらせを積み重ねている!ガキかっ!!
でも直接には言ってこずこちらの精神を潰そうとしてくるのだ。そんなことで負けない!
枝利香さんもいるし委員長もいる!昔とは違うんだ!1人じゃない!!
私は着替えてキッチンに行ってお弁当と朝食を作る。珍しく早めに起きていた吉城くんが
「ごめん、ちょっと今日は早く出なきゃいけないんだ!日直だからね!」
と言いお弁当を受け取った。朝食もバクバク食べて
「じゃあ、僕を送ったらすぐまた鳴島が迎えに来るから待ってるんだよ?」
「そんな…鳴島さんも大変だから今日は私枝利香さんと行こうかな…」
と言うと吉城くんは思案して
「じゃあ途中まで桃華と昴と一緒に行って途中から枝利香さんと行けばいいよ!」
と微笑んだ。
「うん!そうだね!そうする!」
歩いて学校行くのもいいかも!
ていうか本来なら歩きでも行けるんだけど。
「それじゃ僕はもう行くよ!ごめんね時奈さん…」
玄関でキスして彼は手を振る。
はあ、幸せ!今日も一日頑張るぞー!イケメンにパワーをチャージしてもらい私は枝利香さんに電話して桃華ちゃんや昴くんとも連絡した。
そして途中まで桃華ちゃんと昴くんのイチャイチャを見ながら登校しつつ、枝利香さんと合流する。
「あいつらめっちゃイチャコラしてんな。ガキのくせによ」
「いや一応年上だよね?」
「そうだったな…あれで一個上だもんな…。それより時奈!今日もあいつら地味な嫌がらせしてくんだろうな!気にすんじゃねぇぞ!物理的になんかしてきやがったらぶっ飛ばしてやる!」
今のところ物に被害が出ているけど見る人から見たら本人の不注意くらいになってるし誰がやったか解らないから犯人の特定は不能。まぁ犯人は辰巳真理亜や西園寺綺羅里とかファンクラブの人等に決まっているけども。親衛隊に先生が入っていることも知ってるからその先生が色々もみ消して証拠も中々提示できないのだ。
相手も中々やりおる!!女の闘いは静かに火を切っている!
学校について靴箱を恐る恐る開ける。
前は蜘蛛が入ってたもんな…。
今日は何の虫がいるのか?
「あ、入ってない」
「ん?何もいないのか?」
枝利香さんは既に虫殺しスプレーを手に構えていた。
「いや入ってなくて良かったんだけどね」
「まぁな、虫入れるとかほんと小学生かよ!」
と私達は教室まで行く。
とりあえず席に着くけど、画鋲も濡れた雑巾もカビたパンも入ってない。うむ、どうした?今日は?
と思ってるとガラリと担任が入ってきて顔を赤らめて
「ええ!今日は転校生を紹介する!美咲くん!」
するとそこでとんでもない美少女が入ってきて挨拶する。その顔に私と枝利香さんは震えた。
「…美咲美子です…よろしくお願いします」
とカナリアのような声で喋った!!
「おい…あれ何だ?どうしたあれ?」
「し、知らないよ…何であんな声なの?」
私と枝利香さんは震えて彼女を見る。
彼女って言うか!
私の彼氏の超絶美少女の女装姿なんだけどー!!!
「恐らくは坊っちゃまの正体がネットに流出したり雪見様との関係がバレたことからの嫉妬と逆恨みでしょうな、ご協力は雪見様のクラス委員長様から証言は取っております。枝利香さんが生憎風邪で休みでしたからな」
「全く…女ってのはどうしてこう陰湿なんだ!」
「しかし、坊っちゃまが昔あの女の父親に手出しをしなければまさかこのようなことにはなっていなかったのではないでしょうかな?」
鳴島が淡々と言う。確かに…時奈さんと出会った頃、過去彼女が虐められ遠くの女子校に引っ越すことになったきっかけだし、僕は何とかしたかった。蔵馬叔父さんの支援で議員当選を果たした虐めっ子の父親に制裁を…。
僕はただ叔父さんと繋がりのあるものを全て壊すことが目的であった。そのことと娘の真理亜のことは関係がなかったかもしれないが、彼女からしたら時奈さんが彼氏である僕に頼んで彼女の家庭も壊したと取れてもおかしくはないだろう。
「僕のしたことは間違いだったのかな?」
「坊っちゃま…しかし当時の笹野原議員は最低でしたよ?表には出ておりませんが坊っちゃまが差し向けた浮気相手だけではなく、派手な夜遊びでキャバ嬢に注ぎ込んだりとボランティアで集めた資金を使い込んだりしてましたからな」
「それをまた叔父さんがもみ消してたんだよね…でも…時奈さんが何も言わないのはやはり僕に迷惑をかけたくないからでしょ?どうしてかな…」
「坊っちゃまが頼りにならないわけではないでしょう。ですが雪見様にも譲れないものがあるのでしょうな。彼女は戦おうとしております…。笹野原…いえ、辰巳真理亜は美人であり雪見様はどう見ても不利な状況でしょう…加えて親衛隊の皆様からも嫌われております」
「…やっぱり親衛隊とか言うのが邪魔だな…」
「その親衛隊のリーダーが辰巳真理亜ですぞ、坊っちゃま」
「はあ!?何だって?」
「彼女の方も坊っちゃまの手回しで家庭を壊されたことは気付いていれど、どうすればいいか解らなかったのでしょう。しかし母親の再婚間近のタイミングで引っ越すことになったり坊っちゃまの正体がバレたことにより親衛隊をあのタイミングで作ったのです。ネットの活動だと正体もバレにくいでしょうし」
「なるほどな…だが辰巳真理亜を潰したところで親衛隊はなくなりそうにないな…」
「坊っちゃまのファンですからねぇ…」
鳴島はホッホッホと笑った。
「ところで辰巳真理亜の母親の有菜の再婚相手となる男ですがこれまた成金の糞爺でしてな…」
と鳴島の周りの空気が一気に真っ黒になった。
「な、鳴島?」
「鈴金角次郎と言いましてな…私の学友でしたな…若い頃の話ですが…妻に何回も振られても諦めずしつこかった男です。蔵馬氏とも仲が良かったようで…ひょっとしたらネットで噂になっている新正義の組織は奴が関わっているのかもしれませんね…」
「あれマジだったのか…。しかし叔父さんと仲が良かったのならあり得るな…美少女戦士とか作ろうとしてるなんて変態だな」
「まぁ、変態ですからな。辰巳有菜とも相当歳は離れているでしょうに」
「…それお前が言うのか?」
おい鳴島お前と枝利香さんは辰巳有菜どころじゃないくらい離れてるぞ!!
「私のことより坊っちゃまはどうしたいのです?辰巳真理亜を潰すのですか?」
「いや…時奈さん自身けじめはつけたいだろう…?彼女が戦うなら僕は全力でケアサポートするだけさ」
「全力でケアサポートですか…」
「僕って女装したら綺麗なんだよね?山根博士に女の声でも作って貰おうかな」
「確かに…しかし坊っちゃま…自分の学校は…」
「そんなもん山根に僕を作らせとけばいいだろ…アホみたいに精巧な人形作るしあいつ」
「変な攻撃ツール作らないでしょうな?」
「それはちょっと心配かなぁ?まぁ大丈夫だろうゴリラに見張らせとけば」
「ゴリラがもう一体坊っちゃまを作らせるかもしれませんな」
「怖いこと言うなよ!!」
と僕はゾッとした。
それから山根博士に協力を頼み僕の人形が完成したのはそれから1週間ほどだった。
彼が天才なのは認める。
*
朝…。私は憂鬱だったけど、毎朝イケメンを見ると元気になれるから頑張ろうと決めて起き上がる。
あの日から毎日地味に嫌がらせは続いて枝利香さんも委員長も応戦してくれるけど吉城くんにはバレないようにしている。ボイスレコーダーも隠している。
私が虐められてるなんて知ったらまた爆破なんてされかねない。女王様達もボイスレコーダーがあるおかげであまり派手な動きはしないが教師にバレないよう証拠を残さず自然に転んだように見せかけたり自然に私の机の中からカビたパンが出てきたり、体操服に小さな穴が開いてたり、教科書を開くとページがバラバラになったり、上履きがホッチキスで留められてたり…とにかく地味で陰湿で小さい嫌がらせを積み重ねている!ガキかっ!!
でも直接には言ってこずこちらの精神を潰そうとしてくるのだ。そんなことで負けない!
枝利香さんもいるし委員長もいる!昔とは違うんだ!1人じゃない!!
私は着替えてキッチンに行ってお弁当と朝食を作る。珍しく早めに起きていた吉城くんが
「ごめん、ちょっと今日は早く出なきゃいけないんだ!日直だからね!」
と言いお弁当を受け取った。朝食もバクバク食べて
「じゃあ、僕を送ったらすぐまた鳴島が迎えに来るから待ってるんだよ?」
「そんな…鳴島さんも大変だから今日は私枝利香さんと行こうかな…」
と言うと吉城くんは思案して
「じゃあ途中まで桃華と昴と一緒に行って途中から枝利香さんと行けばいいよ!」
と微笑んだ。
「うん!そうだね!そうする!」
歩いて学校行くのもいいかも!
ていうか本来なら歩きでも行けるんだけど。
「それじゃ僕はもう行くよ!ごめんね時奈さん…」
玄関でキスして彼は手を振る。
はあ、幸せ!今日も一日頑張るぞー!イケメンにパワーをチャージしてもらい私は枝利香さんに電話して桃華ちゃんや昴くんとも連絡した。
そして途中まで桃華ちゃんと昴くんのイチャイチャを見ながら登校しつつ、枝利香さんと合流する。
「あいつらめっちゃイチャコラしてんな。ガキのくせによ」
「いや一応年上だよね?」
「そうだったな…あれで一個上だもんな…。それより時奈!今日もあいつら地味な嫌がらせしてくんだろうな!気にすんじゃねぇぞ!物理的になんかしてきやがったらぶっ飛ばしてやる!」
今のところ物に被害が出ているけど見る人から見たら本人の不注意くらいになってるし誰がやったか解らないから犯人の特定は不能。まぁ犯人は辰巳真理亜や西園寺綺羅里とかファンクラブの人等に決まっているけども。親衛隊に先生が入っていることも知ってるからその先生が色々もみ消して証拠も中々提示できないのだ。
相手も中々やりおる!!女の闘いは静かに火を切っている!
学校について靴箱を恐る恐る開ける。
前は蜘蛛が入ってたもんな…。
今日は何の虫がいるのか?
「あ、入ってない」
「ん?何もいないのか?」
枝利香さんは既に虫殺しスプレーを手に構えていた。
「いや入ってなくて良かったんだけどね」
「まぁな、虫入れるとかほんと小学生かよ!」
と私達は教室まで行く。
とりあえず席に着くけど、画鋲も濡れた雑巾もカビたパンも入ってない。うむ、どうした?今日は?
と思ってるとガラリと担任が入ってきて顔を赤らめて
「ええ!今日は転校生を紹介する!美咲くん!」
するとそこでとんでもない美少女が入ってきて挨拶する。その顔に私と枝利香さんは震えた。
「…美咲美子です…よろしくお願いします」
とカナリアのような声で喋った!!
「おい…あれ何だ?どうしたあれ?」
「し、知らないよ…何であんな声なの?」
私と枝利香さんは震えて彼女を見る。
彼女って言うか!
私の彼氏の超絶美少女の女装姿なんだけどー!!!
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