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彼氏が悪の組織の戦闘員Eなんですが…

黒月白華

第68話 E様親衛隊

吉城くんがテレビでセントユニバースの屋上で正体を明かしたことは私も後でネットで見たから知ってる。あそこはまだ全世界に中継されてたし。

ネットでも話題になっただろうな。
それにしてもまさかファンクラブがうちの女子校にできてるなんて知らなかった!何でよ!アイドルでもないのに!

「ふふっ、雪見さん…あなたは知らないかしら?この1ヶ月で紅様親衛隊とE様親衛隊が主に世界の女性の間で作られたの!派生として一応蒼様親衛隊もあるわね…。活動は主にネットだけど!」
ええええ?何それ!?いつの間にそんなの作ってたんだろ?親衛隊って…。

「だからうちの学校でも正式にファンクラブを作ることになったの!実際に他所の学校でも至る所にファンクラブは作られているでしょうね!もちろん栗生院様の学校にもね!」
凄い!流石イケメン!!

「親衛隊の鉄の掟は彼を街で見かけたら応援する!抜け駆けしない!ただしバレンタインや誕生日などイベント時はプレゼントを2人以上で渡しても可能。個人的に写真を撮る場合E様の許可が必要。二人以上で行動。ストーカー行為は禁止」
え?まじでっ?鉄の掟って…それ吉城くんの為に作られてるの?

「そして!雪見時奈!あなたは彼に相応しくないことは親衛隊でも話題になっています!そこでこの学校では私、西園寺綺羅里が筆頭としてファンクラブ会長になり任命されたの!雪見時奈と彼を引き剥がし別れさせることをね!」
ひいいいいっ!つまりカップルクラッシャーじゃないか!!何なのこの人たち!

「ご自分でも気付いてらっしゃるでしょ?あなた…冴えないし美人でもない!胸もない、彼女として失格なのよ!!皆から祝福される価値などひとかけらも見当たらない!見ていて不快!地味!」
ぎゃあああっ!メンタルが崩壊しそう!ズバリ言われたよ!そんなの解ってますううう!!解り過ぎてますううう!!

「そーよ!そーよ!さっさと別れなさいよ!」

「E様は私たちが愛し愛でる存在!あんたみたいな奴が側に居るなんて許されないのよ!」
と口々に口撃される。

その時ガアンと竹刀の音がした。

「おい、お前ら!親衛隊だがファンクラブだが知らねぇけどよ、あたしの親友の時奈に何かしたら許さねぇぞ?あ?こら!」
と枝利香さんがやってきた。

「で、出たわねこの不良娘!ヤンキーを味方につけるなんて雪見時奈!やるわね!でも私たちは負けないわ!次のバレンタインが勝負!あなたを別れさせてもっと相応しい女性が彼の隣に立てるようにしてやるわ!皆からも祝福されるような女神こそ彼に相応しいのです!…この私のようなね!!」
結局自分かーい!!抜け駆け禁止なんじゃないんかーい!…あ、バレンタインの時はいいのか…。ていうか別れさすとか無理だよね?
だって私たち愛し合ってるし…。

(ふふっ…時奈!あんた言うようになったじゃないの!)
(当たり前よ!私だって生半可に彼の女じゃないのよ!?)
(こんな出来たばっかのイケメン狩り共に負けてなるものですか!それに彼の心はもはや私のもの!おーほほほほほ!)
(出た!雪見時奈の必殺技!【彼女の余裕】が!)
(今朝もラブラブだったしぃ!)
と脳内会話が進む中、西園寺さんは

「見てなさい!私たち親衛隊やファンクラブはいつでもあなたなんかを祝福しない!世界中のE様親衛隊があなたの敵ってことを覚えておくことね!ほほほほほ!」
とそこでチャイムが鳴りファンクラブの皆さんはザッザッと校舎に向かった。

「世界中のE様親衛隊…」

「どんだけイケメン力まき散らしてんだあいつはよ、ちょっとチラッとテレビに映った程度だぞ?」
と枝利香さんが呆れた。

「しし…仕方ないよ…全部事実だし…」

「時奈しっかりしろぉ!あんな女共に負けんじゃねぇ!それに栗生院が浮気するわけねーだろ?お前にベタ惚れなのに!」

「枝利香さん!!」
そ、そうだ!負けてられない!私は!普通にチョコ作って渡す!!
と決意した。



時奈さんを女子校前で下ろし僕は街の風景をぼんやりと見た。なんてことだ。バタバタしていてあまり気にして無かったけどもうすぐバレンタインだ!

運転席の助手席にいた鳴島に

「鳴島…もうすぐバレンタインだ…」
と真顔で厳しい顔になった。

「そうですね坊っちゃま…街にハートのオブジェが増殖していたりチョコレート商戦も始まっております…」
鳴島も真顔になった。
バレンタイン…恐ろしい行事!!
時奈さんと出会う前は毎年毎年苦痛だった!!
幼稚園の頃から女の子や先生まで何故かチョコを渡されて謎のホワイトデー倍返しをしなくてはならず、余計な予算になった。
小学生に上がる頃はもうホワイトデーのお返しは無視し、なるべく断ってきたが知らんうちに下駄箱とかにギッシリ余す所なく詰まり僕の上履きは紛失していたし、下駄箱に食べ物を入れるなんてあり得ない!結局捨てることになる。
バレンタインは休むことにしようと学校を休むが、前の日か、その次の日に同じことが起こるだけだった。
紙袋はパンパンで男子に異様に睨まれて知らん奴から果たし状を送られたり生卵を投げられたこともあった。
ついに紙袋も破れて道路に転がってトラックに潰れたチョコもあった。

僕の心は次第に死んでいった…。
そしてバレンタインはもはやチョコを拒否するのが不可能になり私物が紛失する覚悟ももう慣れ、貰ったチョコは全部まとめてカンボジアに毎年寄付することにしたのだ。
カンボジアの子供達がチョコの箱を開けてそこに栗生院くんラブとか書いてあってももう知らん!日本語の読める子供ならともかく大体が読めないことを祈りとにかく送りまくる。輸送費よりお返し10倍返しの方が面倒くさいし何よりもはや誰がくれたのか覚えていられない。

「ところで坊っちゃま…E様親衛隊と言うのをご存知でしょうか?」

「なんだそれは?」

「ネットで爆発的に広まった坊っちゃまの親衛隊で世界中にファンが出来ております…紅様の親衛隊に並ぶ勢いかと」

「なっ…何だと!!?おい待て!僕はチラッと映っただけで戦闘シーンは撮られなかったはずだ!何故そこまで!!」

「…先のゼリー怪人の時の話題や屋上で蔵馬氏の悪事が暴露したことやEの正体が坊っちゃまとバレてしまったことに結びつき悲劇のイケメンとして女性達の心に火が着いたと予測されます」
僕は頭を抱えた。

「何という失態だ!!ただでさえこれでも学校中の女子から告白される程度だったのに!バレンタインなんて!どうなるんだ!?街中の僕ファンがゾンビみたいにチョコを持って押しかけるじゃないか!!」
恐ろしい!なんて恐ろしい日なんだ!!外出禁止だ!怖いっ!!

「坊っちゃま…でも雪見様から貰えるではありませんか!」
との言葉に僕は一筋の光を見た!
そうだ!今年は彼女がいる!!時奈さんのチョコがあれば他なんてドブに捨てたっていいんだ!…ドブが氾濫するけど気にしない!

「しかし…雪見様も大変ですな…」

「どう言うこと?」

「恐らく坊っちゃまの為にチョコレートの材料を入手しようとするでしょう…しかし…親衛隊の皆様が街中に潜んで監視され、邪魔をする可能性も無きにもあらず!」

「なっ…何だと?」

「坊っちゃま…枝利香さんだけでは流石にバレンタインは乗り切れないかもしれません…精鋭を護衛につける手配をしましょう!」

「判った!よろしく頼む!」
と僕はバレンタインから時奈さんを守ると言う前代未聞の闘いの準備を始めたのだった。

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