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彼氏が悪の組織の戦闘員Eなんですが…

黒月白華

第59話 ゲームだから

栗生院蔵馬はこちらを睨む若い自分に似たゴミ共を眺めていた。
それに加えて仲間も数人。こちらは白服が30人。
いずれも精鋭だが、元ヒーローなどをやらせていた孤児共も今はそれに追いつくか…。

しかしこちらにも手はある。

「ふ…お前達こちらには人質がいることを忘れてやしないか?小高夫妻も元ヒーローの親達もな、そして吉城、お前の彼女とか言う子娘もだ」
と言うと暁雄は笑い、

「こちらにも切り札はある!」
と懐からタブレットを取り出して見せた。そこには縛られた妻や息子がいた。

「取引だ、奥さんと子供を解放してほしかったらそちらも人質の解放を要求する!」

「あなた!助けてください!お願いです!」
タブレットの中の妻は必死に助けを訴えている。

「ほぉ…それがどうした?」

「は?」
暁雄の顔色は変わる。予想外だったか?

「何言ってる?自分の妻と息子がどうなってもいいと?」

「私を強請ろうとしても無駄だ。そんなものただの飾りだからな…女は金で買えるし息子も金で買える」

「…愛してないと?」

「ただの演技だからな?それにお前達はこいつらを殺せやしないね。優しいんだろう?だが私はお前達の家族恋人など簡単に殺せるぞ?命令一つですぐにでもな」
暁雄は睨んだ。交渉が使えなくなったのだから当然だろう。

「母さんを殺したのは何故だ?ちーちゃんも吉城の両親もだ」

「ただのゲームだな、退屈だったんだよ何もかも」

「ゲームだと?」
暁雄と吉城の顔色が変わり震えた。

「そうだ、ゲームだよ…。子供の頃から私は兄にゲームで負け続けてな。それも汚い手を使って勝ち私はよく恨んだよ。そして私が好きになった唯一人の女も結局は兄に取られた…」

「父さんと母さんは純粋に恋したと聞いたよ…。単に叔父さんが負けたんでしょ?」
と甥が淡々と言うところが兄にそっくりで腹わたが煮え繰り返る。

「吉城…お前は年々兄に似てきて嫌になる」

「そんなことで殺されてたまるか」

「兄とあの人との間にお前ができた時は呪ったよ。やけになりいろんな女と関係を持ち産まれたのが今の障害を持った息子で私はその女と結婚した。それから見せかけの家庭を持ち、いい父親も演じたよ。裏では暁雄の母親と遊んでいたがね。どうでもよかったね。そして暁雄の母親が妊娠したことを知ると私は彼女を殺そうとした。しかしあいつは逃げた。そして何処かでひっそりと暁雄を産みまた逃げてやっと見つけた…」

「それで殺したのか!母さんを!!」
と暁雄は怒った。昔の私にどこか似ているな。

「ああ、お前の母親の友人…千佳子と言ったな…あいつは金に困っていたから大金を渡してやったらあっさり喋ったよ…だが、お前を殺すなと散々泣きつかれてな。それならと千佳子が代わりに死ぬと言って聞かなかった。そして一度だけ息子の顔を見てやってくれとしつこかったからな」

「それが…あの日…俺を施設に入れに来た日か!
母さんを殺したその足でよくも来れたな!ちーちゃんまで利用しやがって!」
暁雄は握った拳から血を滴らせた。

「そうだ…お前を見ても何も感じなかった。ゴミの子など誰が興味を持つ?そして約束通り千佳子を殺そうとゲームを開始した。数日の鬼ごっこだな。しばらく逃げ回ったがあっさり捕まってね。面白くないから瀕死の状態でも千佳子はフラフラと最後にお前に会いに行くと言った。あの状態ではすぐに死ぬだろうし私は興味もなくなりそのまま見送ってやったよ」

「くっ…クソ野郎!」
と暁雄は銃を向ける。白服が壁になり立ちはだかる。

「吉城…兄の透馬と綾乃さんが旅行に行った時もな、私は二人とゲームをしようと持ちかけたよ。透馬は隙が無くいつも暗殺に失敗したからね。このゲームに負けたら私は素直に身を引こうと、今後関わらないと約束したよ」
吉城は冷静に話を聞いていた。

「二人は旅行中必死で逃げまくったね。しかし最後は私が勝ったのさ。迎えの車に小型の爆弾をセットした。車のシートの中にね。だから外見では分からずにドカーンとね!綾乃さんも逝ってしまったが私はスッキリしたよ。ようやく私の恋は終わったとね」

「なるほど…ゲームね…それでもまだ僕を殺しに来たのは僕が父に似ているからですか叔父さん」
と静かに怒りを込めて吉城は言う。

「ああ、お前は優秀過ぎた…私の息子は使い物にならないがお前を生かしておくと面倒なことになるから早めに始末しようと頑張ったんだがな?中々自然に殺せる手も尽くして飽きてきた頃だよ。正義の組織を作り私は世の中と遊び始めた、お前もそれにノッて来ただろう?吉城」
と私は笑う。

「くだらない…全てがただのゲームとはね…まるで子供だ…」
吉城は可哀想なものを見る目で私を見る。やはり兄に似ている。いつも私がゲームに負けた時にしていた顔。

「だが、今日でそれも終わりだよ、あんたの悪事は全部ネットにも流れてる!他にもいろいろと悪どいことをしてるだろう?薬を売ったり、人体実験で怪人を生み出してそれを吉城に押し付けたんだ。吉城は怪人達を保護せざるを得なかったからな!」
と暁雄が言う。

「怪人達は自分がどうやって生まれたのか記憶がなかったからね…目覚めたら怪人だったしまさか正義の組織が怪人を作ってるなんて世間は誰も思いつかないだろう?」

「悪の組織には怪人が不可欠だろう?昔よくテレビで兄とヒーローごっこをしたんだ。私が負けたがね!兄はいつも悪役になってくれたのにヒーロー役の私に容赦なく勝った…おかしいだろう?正義が負けるなど?そんな話聞いたこともない」
そんな私に吉城は静かに口を開いた。

「ああ…父さんはいつも言ってたな…僕は悪役の方が性に合ってるって!」

「吉城…お前は大福ちゃん達を助けに行け!俺はこいつを止める…これ以上ゲームなんて言わせない!遊びは終わりにしようか」

「でも暁雄さん…」

「ああ…隆も連れてく?邪魔だからこいつ」

「おい!聞こえてんぞ!!」

「おい、隆!俺の巫女に手を出したら我が呪いが貴様を蝕むこと忘れるなよ!」

「ああ、はいはい…お前の彼女も無事に助けろってことだろ?ったく!行くぞ!吉くん!」
と二人がヘリに向かおうとしたところを私は

「何をしてる!奴等を行かせるな!殺せ!」
と精鋭に命じる。
白服は彼等を追い銃撃するがそれを防ぐ桃華と昴が

「行かせないぞぉ!あんた達なんかあたしと昴の愛にのぼせてぶっ倒れちゃえばいいんだからぁ!」
と手榴弾を投げて爆発させる桃華。

「素敵だ桃華!今の投げ方100点満点!僕も君に良いところを見せないとね!」
と正義の組織からパクってきたと思われるビーム砲弾を担いで派手にぶっ放す!

「ぎゃあああ!!」
白服達は吹っ飛ぶが私は笑う。そして手元のコントローラーのボタンを押して迫り上がってくる檻の中の産まれたばかりの怪人達を出した。

「これは…まだこんなに…犠牲者を…」
暁雄は痛々しげに怪人を見る。

「こいつらは短期間で洗脳済みだ。お前らを敵だと認識させている。檻を開けると一斉に襲いかかるよ…」
と私は高笑いする。

「ふ…元ヒーローを舐めるなよ!行け!吉城!ここは任せて早く行くんだ!!」
と暁雄が叫んだ!
そこで私はボタンを押す。怪人達は飛び出してゴミ共に襲いかかる。

「暁雄さん!!叔父さんを譲ってやるんだからちゃんとしろよ!」

「は!俺は悪の総帥紅だ!何、親子喧嘩に巻き込み過ぎたね!さっさと君の大福姫を助けに行くと良い!」

「ちっ!やっぱり後で殺すからな!!」
と甥はヘリの梯子に飛び移り離れていく。

「私を親と呼ばないでほしいね、ゴミの子が!」
と言われて暁雄は真剣な顔になり

「俺はゴミなんかじゃないよ…母やその友人を誇りに思う。死んでいった彼女たちや全世界の女性の為に俺はあんたと戦う!!」
との台詞にネットで中継を見ていた全世界の女性たちから悲鳴にも似たメロメロな書き込みが寄せられ、全世界の男性たちはそれに対して

(いや、男は無視かよおおおお!!!)
と突っ込みのコメントが寄せられた。

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