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彼氏が悪の組織の戦闘員Eなんですが…

黒月白華

第57話 鳴島の思い出

「E様!大丈夫ですか!?まだ20階ですよ?後10階は登らなければ!」

「いや…僕より付いてきてるカメラマンの体力がやばくない?」
と僕は後ろを振り返りゼェゼェ言ってるカメラマン二人を見た。

「ちょっと…休憩しません??」
一般人だし…仕方ないかな?

「そんな暇はありませんが…」
とそこで20階に着いた時大量のドローンがまた小型爆弾を積みやってきた。

「ちっ!」
と僕は舌打ちしたが仮面の老紳士鳴島がバッグからマシンガンを取り出し、

「ここは私めがやりましょう、後はE様…分かりますね?」

「だ、だが、な…老紳士よ!」

「奥にまだ何か潜んでおります。行ってください!このような所で立ち止まってはいけない方です!あなたは!」

「俺もここに残って老紳士さんの活躍をネットに映します!」

「え、ずるい!戸田さん!もう登りたくないからって!」

「うるせえ!お前のが若いだろが!俺はもう限界なんだよ!」
と若いカメラマンを僕に押し付け年配のカメラマンはこのフロアに残ることにした。

仕方なく僕は若いカメラマンを連れて行くことにした。

「死ぬなよ!!」
と声をかけ上に向かった。

「死ね!戸田!」
と若いカメラマンは戸田と呼ばれた年配のカメラマンに向かって言い、それから後を付いてきた。

鳴島はマシンガンでドローンを撃墜させる。爆風で下のフロアは熱風が吹き荒れた。



スプリンクラーが発動しフロアに水が降りつけました。
まるで雨のようですね…。
坊っちゃまのお父様やお母様が亡くなった日も。

ドローンを全て撃ち落とした私は奥から響いてくる音に身を傾けます。
そこには不格好な金属の子供のロボットのような物が歩いてきました。
そしてそれはギラリと目を赤く光らせ

「排除スル、悪イ奴排除スル!」
と両手から光線を出してきました。
それを私は交わしましたが、対象の動きを予測し次の光線がすぐに私の場所に撃たれますのでこれは少々厄介な相手でございますね。
老人に機械の操作など苦手でございますよ。
坊っちゃまの為に一応は勉強しておりますが、こんな最先端のロボット小僧は見たこともありません。それに私めは年寄りでございますよ?

私はロボット小僧を見て思いをはせた。

「坊っちゃま、もうすぐお父様とお母様が旅行からお戻りになると連絡がございましたよ!」

「ほんと?鳴島!」
パッと子供らしい愛らしい笑顔で坊っちゃまは輝かんばかりのわくわくを全身から溢れてさせておりました。
今日は両親に幼稚園で作ったおよそ幼児とは思えないディテールの怪獣を作ったので褒めてもらいたかったのです。

「ええ、きっとこれを見たらとても驚いてくれますよ!」

「そっかあ!これに色でも塗ってもっと素材もいい物にしたらかなり良くなるよね」

「それはもうフィギュア職人の領域でございますよ?坊っちゃま…もっと子供らしいもので充分かと」

「あ…そうだね…」
このハイスペックな幼児はなんとも父親の栗生院透馬様に似ております。血ですかね。透馬様は奥様の綾乃様を溺愛しており、休みにようやくお二人で旅行に行ってきて帰って来る所でした。飛行機に乗る前に坊っちゃまにお土産を買ってきたからまだ内緒にしておいてくれと連絡がありましたが。

そわそわしながらまだかと待ちわびているのはやはり子供らしいとも感じます。
坊ちゃまはご両親が大好きで奥様も旦那様も坊ちゃまを愛しておられました。
しかしその時私の携帯に電話が鳴り緊急事態が告げられました。
空港から出た迎えの車が交差点で爆発炎上したとのこと。後で調べたところ車に爆弾が積まれていたらしいとのことでした。そしてそれをしたのは弟の栗生院蔵馬様だと言うことも。

坊っちゃまは訃報を聞きべちゃりと持っていた怪獣を落として潰してしまいました。

輝いていた目も暗く淀み雨の中葬儀に参列した親戚に涙一つ見せず前を向いておられました。

莫大な資産を受け継ぎ坊っちゃまはいろいろな方から命を狙われました。時にはご学友を使って毒を盛られようとしたり…。

成長する度に心は死んでいくようになりました。表向きはとても爽やかに偽善を振りまいていましたが、何も信じないという硬い決心をされておりました。

「ねぇ、鳴島…ちょっと父さんって呼んでいい?」
そんなことを言われたことがありましたが私は首を振りました。

「私では坊っちゃまの父親にはなれませんよ…もうすぐ50歳ですからなぁ…お爺ちゃんですよ」

「そんな強い爺さんがいるかよ…冗談だよ…」
と坊っちゃまは覚えたての空手で拳を振るいます。

時が経ち、悪の組織の総帥をやりながら何とか叔父である蔵馬氏のことを探っていましたがこれといって情報を掴むのも難しく、流石というか蔵馬氏は中々隙を見せずにいます。おまけにヒーローまで出てきてイライラしてきた坊っちゃまは暇つぶしと憂さ晴らしに下っ端の戦闘員Eに変装して遊びだしました。ヒーローから毎日馬鹿みたいにやられて傷をつくりました。

それはもはや私には誰か自分を殺してくれと言っているようにも見えました。

そんなある日…雪見様が現れて坊っちゃまはようやく目を覚しました。瞳に輝きが戻り毎日がとても楽しそうになりました。


「それを…また奪うというのですか…」
私はロボット小僧の光線を避けながらロボットが予測出来ない速さで陽動の為のガラス玉を四方八方に投げてそれに反応したロボット小僧の目にハンドガンを二発放ち視界を奪います。視界にカメラが入っていることは何となくわかりました。こちらの動きを分析しているのでありましょう。

動きを止めたロボット小僧は自爆しようと私を感知して走り出しました。

「げっ!!」
カメラマン様も青ざめて逃げ出そうとしています。
私はロボット小僧を引きつけフロアの反対側に走りました。着いてきてくださいよ。

ロボット小僧は手を長く伸ばして私の足を捕まえました。ほう、私を道連れに自爆しますか…。
しかしそんなわけにはいきませんね!

どんな金属で出来ているのか簡単には外せそうにないし時間もありませんね。
仕方なく私は自分の足の骨を折り切り落とし突っ込んできたロボット小僧を足ごと窓から落としました。ロボットは下に落ち爆発したようです。

私はキツく足を結び血を止めましたが老体ですからね…少し無茶をしましたね…
意識はここまでです。

カメラマンの戸田が駆け寄り

「爺さん!しっかりしろおおおー!クソ!下に降りなきゃ!救急車を誰か呼んでくれ!!」
それにSNSが反応して誰かが電話をかけたようだ。

(老紳士死ぬなよ!!)
(救急車呼んだ!)
(おっさんカメラマン頑張れ!!)

そこでフロアに怪我をした怪人達が何人か現れて
「爺さん!!」

「おい!手を貸すぞ!下のドローンやゴリラも一緒に運んでんだ!」

「怪人!!老紳士を助けてくれるのか!」

「仲間だから当たり前だ!さぁ、いくぞ俺の勇姿をカメラに撮っとけよ!」
と怪人達は老紳士を丁寧に運び出した。

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