異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。
第19話:鉄壁の護り
皇紀2216年・王歴220年・秋・エレンバラ王国男爵領
「率直に聞くが、国王の刺客に俺を殺す力はあるか」
俺は暗殺のプロである影衆のアイザックに聞いてみた。
「閣下の探知魔術を搔い潜って接近できる影衆などおりません。
まして影衆でもない王の手の者に、閣下を殺す事など不可能です」
「エクセター侯爵家にはアフリマン衆とダエーワ衆という、有名な影衆がいるが、彼らが集団で襲ってきても大丈夫か」
俺はエクセター侯爵が国王に影衆を貸す事を恐れていた。
エクセター侯爵が俺の能力を知っていたら、どのような手段を使ってでも必ず殺そうとする。
「腐っても影衆ですから、彼らも集団で襲い掛かる不利は知っております。
集団で暗殺など企んでも、警備の兵に見つかってしまうだけです。
さきほども申し上げましたが、腕利きの影衆が襲ってきたとしても、閣下の探知魔術で見つけられ、近づく間もなく閣下に殺される事でしょう。
いえ、閣下が見つけられる前に、我らイシュタムが見つけ出して殺します」
「俺はアイザック達の力を疑ったわけでも挑発したわけではないぞ。
単にどのような警備をするべきか聞きたかっただけだ。
前も言ったが、イシュタムの現役影衆を表にだす気はないのだ。
王やエクセター侯爵ごときのために、大切な切り札を使う気はない。
イシュタムの商売に影響が出たら、大切な資金源がなくなるからな」
俺が四万人の領民に仕事を与え、四千人の兵士を養い維持できるのは、イシュタムが男爵領の産物を高値で売り、魔核を安く集めてくれているからなのだ。
イシュタムが商売を放り出さなければいけないくらい、戦いが激しくなってしまったら、根本的な戦略を立て直さなければいけなくなる。
まあ、今までに蓄えた資金が金貨九十万枚もあるし、領民を喰わせるための魔獣肉も二十年分くらいあるが、まだエクセター侯爵家と正面から戦いたくはない。
「頭領がなかなか決断できない事、心らお詫びいたします」
「アイザックが気にするような事ではない。
それに、男爵家の当主である俺には、アルフィーの気持ちも痛いほど分かる。
一族一門の命を背負っていては、そう簡単に戦場に出る決断はできない。
まして一族が戦う事以外の方法で表にでて豊かに暮らせるようになったのだ。
荒事を嫌って諜報だけをやりたくなって当然だ」
アイザックが心から申し訳なさそうにしている。
アイザックにとって、アルフィーは若くて雄々しい頃のままなのだろう。
だが俺の感じたアルフィーは、年を取り始めた下り坂の男だ。
祖父と同じように、最後の力で夢を叶えようとしている男に見えた。
最初は命懸けで影衆として仕える気だったのだろうが、誰一人傷つく事もなく豊かに暮らせるようになって、自分の夢を捨ててでも一族の安楽を選んだのだろう。
その事を咎める事など俺にはできない。
「俺にはアルフィーの決断がとても勇気あるモノに見える。
俺の祖父の愚行を見たアイザックなら分かるだろう。
一族のために、妄執に囚われずに自分の夢を捨てた漢として称えるべきだ。
アルフィーの夢をアイザックが叶えるというのなら、アルフィーと話し合ってイシュタム内で役割分担すればいいのではないか」
「ありがとうございます、男爵閣下。
頭領と話し合って、表にでる者と商いをする者に分けてみせます」
「おいおい、忘れるなよ、俺はイシュタムをまだ表に出す気はないぞ。
あくまでも将来のための準備だからな、間違えるなよ」
「率直に聞くが、国王の刺客に俺を殺す力はあるか」
俺は暗殺のプロである影衆のアイザックに聞いてみた。
「閣下の探知魔術を搔い潜って接近できる影衆などおりません。
まして影衆でもない王の手の者に、閣下を殺す事など不可能です」
「エクセター侯爵家にはアフリマン衆とダエーワ衆という、有名な影衆がいるが、彼らが集団で襲ってきても大丈夫か」
俺はエクセター侯爵が国王に影衆を貸す事を恐れていた。
エクセター侯爵が俺の能力を知っていたら、どのような手段を使ってでも必ず殺そうとする。
「腐っても影衆ですから、彼らも集団で襲い掛かる不利は知っております。
集団で暗殺など企んでも、警備の兵に見つかってしまうだけです。
さきほども申し上げましたが、腕利きの影衆が襲ってきたとしても、閣下の探知魔術で見つけられ、近づく間もなく閣下に殺される事でしょう。
いえ、閣下が見つけられる前に、我らイシュタムが見つけ出して殺します」
「俺はアイザック達の力を疑ったわけでも挑発したわけではないぞ。
単にどのような警備をするべきか聞きたかっただけだ。
前も言ったが、イシュタムの現役影衆を表にだす気はないのだ。
王やエクセター侯爵ごときのために、大切な切り札を使う気はない。
イシュタムの商売に影響が出たら、大切な資金源がなくなるからな」
俺が四万人の領民に仕事を与え、四千人の兵士を養い維持できるのは、イシュタムが男爵領の産物を高値で売り、魔核を安く集めてくれているからなのだ。
イシュタムが商売を放り出さなければいけないくらい、戦いが激しくなってしまったら、根本的な戦略を立て直さなければいけなくなる。
まあ、今までに蓄えた資金が金貨九十万枚もあるし、領民を喰わせるための魔獣肉も二十年分くらいあるが、まだエクセター侯爵家と正面から戦いたくはない。
「頭領がなかなか決断できない事、心らお詫びいたします」
「アイザックが気にするような事ではない。
それに、男爵家の当主である俺には、アルフィーの気持ちも痛いほど分かる。
一族一門の命を背負っていては、そう簡単に戦場に出る決断はできない。
まして一族が戦う事以外の方法で表にでて豊かに暮らせるようになったのだ。
荒事を嫌って諜報だけをやりたくなって当然だ」
アイザックが心から申し訳なさそうにしている。
アイザックにとって、アルフィーは若くて雄々しい頃のままなのだろう。
だが俺の感じたアルフィーは、年を取り始めた下り坂の男だ。
祖父と同じように、最後の力で夢を叶えようとしている男に見えた。
最初は命懸けで影衆として仕える気だったのだろうが、誰一人傷つく事もなく豊かに暮らせるようになって、自分の夢を捨ててでも一族の安楽を選んだのだろう。
その事を咎める事など俺にはできない。
「俺にはアルフィーの決断がとても勇気あるモノに見える。
俺の祖父の愚行を見たアイザックなら分かるだろう。
一族のために、妄執に囚われずに自分の夢を捨てた漢として称えるべきだ。
アルフィーの夢をアイザックが叶えるというのなら、アルフィーと話し合ってイシュタム内で役割分担すればいいのではないか」
「ありがとうございます、男爵閣下。
頭領と話し合って、表にでる者と商いをする者に分けてみせます」
「おいおい、忘れるなよ、俺はイシュタムをまだ表に出す気はないぞ。
あくまでも将来のための準備だからな、間違えるなよ」
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