異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。
第5話:亡命
皇紀2211年・王歴215年・秋・エレンバラ王国男爵領
俺は生き残るために色々と考えた。
祖父や母からこの国の状況や魔力と魔術の事を教わりながら考えた。
俺には前世の知識があって、アニメやラノベの事を参考に魔力を高められる。
だが、魔力を高めて強くなる前に殺されては何の意味もない。
だから前世の知識を生かして、火縄銃や三間槍を導入しようかとも考えた。
しかしながら魔力で優位な俺が、一時の不利を補うために魔力を圧倒しかねない銃器を開発して、自分の優位を自分から捨てていいのかとも深く悩んだのだ。
「世話になるぞ、宮中伯」
だがそんな俺の悩みなど無用なモノとなった。
俺には理解できない有力貴族間の駆け引きで、国王が我が家に亡命してきたのだ。
今まではベリアル教団の宗教都市に亡命していた国王を、我がエレンバラ男爵家が受け入れるという、信じられない状況になった。
祖父や母の話しでは、この地方を支配している大貴族が、ベリアル教団の力が強くなる事を恐れて、費用を負担するから我が家で預かって欲しいと言ってきたそうだ。
「お任せください、国王陛下。
陛下に御不自由をおかけする事などありません」
やれ、やれ、亡命してきた国王と側近の面倒みるとなると、金がかかる。
この地方の大貴族が全ての費用を負担すると言っているが、その約束がいつまで守られるか分からないし、細々とした費用までは請求し難い。
弱小とはいえ、我が家にだって男爵家としての面子があるのだ。
それに周囲に国王と敵対する敵がいないから、国王一行を領内に匿う事で我が家が受ける利益も大きい。
少なくともこれでロスリン伯爵家が攻め込んで来る事はない。
「うむ、頼んだぞ」
俺は表向き傀儡でしかなく、全ての会話は祖父がしてくれる。
祖父とは昨日のうちにどうするべきかを全て話し合っている。
まだ三歳児でしかない俺は、国王が住む離宮まではついていかない。
俺にはまだまだやらなければいけない事があるのだ。
我が家を富まして経済力と戦力を高めなければいけない。
そのためには、仮想戦記を読み漁って蓄えた知識を試さなければいけない。
「母上、城に戻って書を教えてください」
椎茸の人工栽培や練炭豆炭を作る事は、養蚕や機織りと同じように、急がずに徐々に領内に広めていく心算なのだ。
秘密がもれたら困るから、信頼できる家臣を先に選ばなければいけない。
今信頼できると分かっているのは、祖父と母、それに大叔父の一族だけだ。
彼らを使って徐々に経済力を高めていく。
それと同時に、母からは皇国貴族の嗜みを教えてもらう。
母の実家は多芸なようで、地方に逃げて行っても優遇されるそうだ。
字が上手く、詩や唄はもちろん、古代から続く蹴球の名家でもあるそうだ。
蹴球はともかく、習字はぜひとも習いたい。
前世の俺は字があまりにも汚くて恥をかいてきたから、今生こそは達筆になる。
母に字を教われば、達筆は無理でも字が汚くて恥をかく事だけはなくなるだろう。
国王が亡命してくれたお陰で時間ができたのだ、学べることは全て学んでおく。
問題は魔力と魔術だ、これが意外と分からない事が多い。
前世の仕事が東洋医学関係だったから、経絡経穴の事はよく知っている。
アーユルヴェーダや西洋医学の事も理解している。
それらの知識を魔力器官や魔力路に反映させて、魔力器官の魔法袋化を行えば、俺は無尽蔵の魔力を手に入れられるのではないだろうか。
明日にでも祖父と母に確かめてみよう、今日はもう眠くなってしまった。
「母上、眠くなってしまいました、お膝、お膝で眠らせてください」
「まあ、まあ、まあ、ハリーは当主になっても甘えたさんですね」
俺は生き残るために色々と考えた。
祖父や母からこの国の状況や魔力と魔術の事を教わりながら考えた。
俺には前世の知識があって、アニメやラノベの事を参考に魔力を高められる。
だが、魔力を高めて強くなる前に殺されては何の意味もない。
だから前世の知識を生かして、火縄銃や三間槍を導入しようかとも考えた。
しかしながら魔力で優位な俺が、一時の不利を補うために魔力を圧倒しかねない銃器を開発して、自分の優位を自分から捨てていいのかとも深く悩んだのだ。
「世話になるぞ、宮中伯」
だがそんな俺の悩みなど無用なモノとなった。
俺には理解できない有力貴族間の駆け引きで、国王が我が家に亡命してきたのだ。
今まではベリアル教団の宗教都市に亡命していた国王を、我がエレンバラ男爵家が受け入れるという、信じられない状況になった。
祖父や母の話しでは、この地方を支配している大貴族が、ベリアル教団の力が強くなる事を恐れて、費用を負担するから我が家で預かって欲しいと言ってきたそうだ。
「お任せください、国王陛下。
陛下に御不自由をおかけする事などありません」
やれ、やれ、亡命してきた国王と側近の面倒みるとなると、金がかかる。
この地方の大貴族が全ての費用を負担すると言っているが、その約束がいつまで守られるか分からないし、細々とした費用までは請求し難い。
弱小とはいえ、我が家にだって男爵家としての面子があるのだ。
それに周囲に国王と敵対する敵がいないから、国王一行を領内に匿う事で我が家が受ける利益も大きい。
少なくともこれでロスリン伯爵家が攻め込んで来る事はない。
「うむ、頼んだぞ」
俺は表向き傀儡でしかなく、全ての会話は祖父がしてくれる。
祖父とは昨日のうちにどうするべきかを全て話し合っている。
まだ三歳児でしかない俺は、国王が住む離宮まではついていかない。
俺にはまだまだやらなければいけない事があるのだ。
我が家を富まして経済力と戦力を高めなければいけない。
そのためには、仮想戦記を読み漁って蓄えた知識を試さなければいけない。
「母上、城に戻って書を教えてください」
椎茸の人工栽培や練炭豆炭を作る事は、養蚕や機織りと同じように、急がずに徐々に領内に広めていく心算なのだ。
秘密がもれたら困るから、信頼できる家臣を先に選ばなければいけない。
今信頼できると分かっているのは、祖父と母、それに大叔父の一族だけだ。
彼らを使って徐々に経済力を高めていく。
それと同時に、母からは皇国貴族の嗜みを教えてもらう。
母の実家は多芸なようで、地方に逃げて行っても優遇されるそうだ。
字が上手く、詩や唄はもちろん、古代から続く蹴球の名家でもあるそうだ。
蹴球はともかく、習字はぜひとも習いたい。
前世の俺は字があまりにも汚くて恥をかいてきたから、今生こそは達筆になる。
母に字を教われば、達筆は無理でも字が汚くて恥をかく事だけはなくなるだろう。
国王が亡命してくれたお陰で時間ができたのだ、学べることは全て学んでおく。
問題は魔力と魔術だ、これが意外と分からない事が多い。
前世の仕事が東洋医学関係だったから、経絡経穴の事はよく知っている。
アーユルヴェーダや西洋医学の事も理解している。
それらの知識を魔力器官や魔力路に反映させて、魔力器官の魔法袋化を行えば、俺は無尽蔵の魔力を手に入れられるのではないだろうか。
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