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見上げる月夜の照らす者

八つの蜜

13.第拾参話 テストと有名な先輩


颯の怪我は異常なスピードで良くなり、一週間後、退院する事ができた。巳津さんの言う事を守ってさえいれば治るのは早い。

「俺、復活!!」

教室に入ってからの第一声がそれか…
先生からは風邪をひいて休んでいると連絡されていて他の生徒も心配していた。
この時間は俺たち4人しか居らず、まあ大きい声を出しても多少は問題無いと思う…たぶん。

「朝から五月蝿いわよ鼠入くん?」

「そうだ、そうだ、五月蝿いぞ鼠」

「身体は大丈夫ですか…?」

「八城さんと凪だけだよ!?俺に優しいの!!牛呂とトトさんもうちょい優しくッ!!」

「でもトトさんも牛呂さんも颯の事心配してたよ?この前の事件もトトさんが知らせてくれたし、その後の颯捜索も牛呂さんが一緒にさがしてくれてさ」

「ちょ!?」「にゃ!?」

「ほほ〜ん。そうかそうか〜」

「凪坊それは黙っておくのだ…」

「?」

「凪くん、鼠入くんはすぐ調子に乗るから…」

「あれ?でも今日って確か…」

八城さんが思い出すよう天を見上げ、悪魔の言葉を口に出す。

「“テスト”ですよね?」

な「え?」は「は?」う「あ…」ト「?」

1時間目、“数学”の時間割を見て悟る。もうどうあがいても無理だと言う事を…

学校に入学して1ヶ月弱、バタバタしていた所為で勉強という勉強をしていなかった…

天の声)『はい!いつも突然失礼します!この学校では体育祭、文化祭の両方をする学校なのですが、その影響で中間テストが4月の終わりにあります!!以上補足でしたッ!!』

テストは…うん、聞かなくても分かるくらい散々な結果になりました…

「テスト、どうだった…?」

「聞かないでくれ…」

「なんでテストと言うものがあるのかしら」

「人間は難儀だな。“てすと”というものに振り回されるとは」

八城さんの肩でくつろいでいるトトさんが欠伸をしながら他人事のように言う。実際トトさんには関係ないのだがこの大変さを分かってほしい…

後日、テストの結果が返ってきた…

「凪くん、どうだった…?」

「得意科目以外赤点…」

特に数学が終わってる…

「私も同じよ…悲惨だわ」

牛呂さんは科学がダメのようだ。

「2人とも顔が死んでるぞ?」

「颯(鼠入くん)はどうだったんだよ(のよ)」

「じゃあ〜ん」

目の前に颯のテスト結果のプリントが置かれる。
数学87点、国語90点、科学88点、社会86点、英語87点。
目の前に置かれたテスト結果に愕然とする。

「颯(鼠入くん)なんで点数高いんだよ(のよ)!!」

「天才だからかな?」

「く、屈辱よ…鼠入くんに点数が負けているだなんて…」

「八城さんどうだった?」

数学99点、国語100点、科学97点、社会92点、英語90点。

「ひ、人に点数見られるの恥ずかしいね」

「八城さんすご!?」

「でも、みんなは妖怪関連で勉強できてなかっただけだよ。私教えるから次の期末テスト頑張ろ?」

「鼠入くんに教えてもらうなんて屈辱だから琥珀に教えてもらうわ!!」

颯と牛呂さんが言い合っているがそれが普通の日常って感じがして心地いい。最近妖怪関連での問題が多かったから余計にそう感じるのかもしれない。


テストの後は5月になる。5月は体育祭がありこれでまた勉強どころでは無くなりそうだ。
応援団の練習、各組のパネル描き、やる事、する事山積みな忙しい季節に入った。

颯は応援団、牛呂さんと八城さんはパネルへ。
俺は何も入らず3人とは別に行動し、放課後の今に至る。

(この前のテスト散々だったから静かな図書室で勉強するか…)

図書室に入り、机の方へ足を進める。机には数人の生徒が居り、同じように勉強をする人や本を読みに来ている人とで分かれていた。

空いている席を探し、座る。窓際の席は窓から入る風が心地よくて好きだ。勉強道具を広げ、取り掛かろうとすると目の前の空いている席に女子生徒が座る。その女子生徒は丸眼鏡かけていて、こちらをじっと見つめる。上履きの色は赤だったので一つ上の先輩だということが分かるがそれ以外分からない。何で見つめてくるんだろう…

「あのう…何かありました?」

「何もないよ。遠くから“少し見えちゃってさ”」

そう言い指差す方に視線をずらすと俺の数学のテストの点数に目がいく。

「あ!」

「別に恥ずかしがらなくても」

「べ、勉強する時間が無くて…」

言い訳だと分かっていても言ってしまう。何でだろう…

「教えてあげようか?」

「良いんですか!?」

「私はここに避難してるだけだから匿ってくれるなら良いよ?」

「匿う…?」

「もう少しで分かるよ、私は机の下に隠れるからあとよろしくね」

そう言い先輩は机の下に潜り込んだ。その数秒後、図書室の扉が開き外から同じく赤い上履きの2年生が入ってきた。すごい形相だ…
目を合わせないようするが時すでに遅く、目が合ってしまった。スタスタとこちら向かってくる。

「勉学中すまぬ、ここで眼鏡をかけた“有名な先輩”を見なかったか?」

「有名な先輩…?」

あの先輩の事を言っているのかな…?眼鏡をかけたなら合ってるか…?
頭に疑問符を浮かべていたのが分かったようでそれ以上は聞かなかった。

「知らないならいい。ここにその先輩が来たら教えてほしい」

では失礼した、そう言い男の先輩は図書室から去っていった。

「相変わらず律儀だね、凌ちゃん」

「凄い圧がありました…」

「あの子は私の幼馴染の猿飛凌さるとびしの。顔というか目が怖いけど優しい子だからそれは覚えておいてあげて?」

「はい」

きちんとしてる人っていうのはすぐに分かった。でも怖いんだよな…

「あ、自己紹介してなかったね。私は鳥居珠とりいたま、よろしくね?えっとー」

「真季波凪です」

「凪くんね。また明日ここでね?」

そう言い、鳥居先輩図書室を後にした。不思議な先輩だったけど、“有名な先輩”って言う言葉の意味が分からずにいた。


図書室を後にした鳥居は胸ポケットから“忘れちゃダメな事”と書かれた小さいノートを取り出し記入する。

[後輩くんの名前は真季波凪。放課後、図書室で勉強を教える!]

ふふと笑い、ステップを踏みながら廊下を歩く。
凪が彼女の“秘密”を知るのはもう少し後の話…

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