404号室の旅人
第十話 「帰るべき場所」
藤田「、、、、20年、、、??」
藤田のコップを持つ手が震えていた。
管理人「、、失礼ながら、藤田さんのお父様、吾郎様が亡くなられたのはいつでしょうか?」
藤田「、、、5年前です。」
管理人「、、、、吾郎様は25年前に亡くなられております。」
藤田「そんな、、、、じゃあ、、、今って、、、?」
鍵屋「、、、よくわかんねぇけど、今年は2019年だぞ!」
藤田「そんな、、僕は、、僕にとっての今年は1999年だ、、、。」
部屋を見渡すと カレンダーは1999年の10月になっている。
管理人が買い物袋の中から競馬新聞を取り出す。
管理人「藤田さん、、これ、、今日の新聞なんです、、。」
競馬新聞を見ると『秋の天皇賞2019年』と記載されている。
藤田「なんで、そんな、、、どうして、、。」
管理人「多分、、藤田さんの能力、、部屋が空間だけではなくて時間までも超越してしまっているのではないかと、、鍵屋さんが見た砂漠にも、スカイツリーがあったと言う事は、、、未来なのではないかと、、、。」
鍵屋「何?あれが未来?あんな悲惨な世界が、、、?」
管理人「あくまで推測ですよ、、ただ、、藤田さんは実際にこの部屋と共に時空を断続的に生きてる、、この部屋の数分が外だと何週間、、この部屋の数時間が外だと何ヶ月にもなっていると思われます。」
藤田「、、僕はただ、、誰とも関わらずに生きていきたかっただけなのに、、、。」
管理人「藤田さん、、、そんなにも他人との接触が嫌なんですね、、。」
藤田「そうですよ、、、他人と関わったって良い事なんて何もないじゃないですか?面倒が増えるだけで、、ならばいっそ、、社会から、世界から切り離された方が楽です、、。あなた達は良いですよね、、仕事もあって、、きっと友人も、、恋人や家族だっている、、、十分この世界でやっていけるんですもの、、、皆は幸せ者ですよ、、。僕とは違うんです、、。」
コップを持つ手がまた震えていた。
藤田「、、、どうやったら他人と上手くやれるんですか、、?」
鍵屋と管理人は顔を合わせた。
お互いに困った様子だった。
鍵屋「あのさ、、おっさんの過去に何があったのかとか知らないけどさ、、俺はあんたを見張ってた時、、幸せだろうな、、羨ましいな、、と思ったぜ?」
藤田「僕が幸せ者?羨ましい?」
鍵屋「そう、、、だって働かなくても生きていけるし、、こんな立派な住む所だってある、、親父に愛されてたんだろ?画だって書いてもらってるし。」
藤田「、、、どうでしょう?」
鍵屋「俺はさ、、、親とか居ないから、、捨て子なんだよね、、だから血の繋がった家族もいないし、、、施設の仲間が家族かな、、。」
藤田「そう、、なんですね、、。」
管理人「多分、今のこの部屋の空間は藤田さんが望んだ世界なのだと思います。そして望めばどの時代にも何処へでも行ける。ならば、、このままで本当に良いんですか?あの砂漠がもし私達の未来なら、、いつか滅びてしまうのだとしても、、、このままこの世界で生きていくんですか?」
藤田「、、、。」
鍵屋「、、誰とも関わらずに生きていくのはね、、難しいと思うよ。生きていくってのはね、少なからず誰かに迷惑かけたり、かけられたりすんだよ。家族とか友達、恋人、他人と関わるのって、すげぇめんどくせぇけどさ、、、世界がもし終わるなら、、一人きりは俺はイヤだね、、、さっきのあの砂漠で思ったわ、、、。」
藤田「、、世界の終わりに一人ぼっち、、、、か、、。」
管理人「、、、『きさらぎ駅』からあの砂漠に迷い込んだ時、最後に鍵屋さんが私に言った言葉があります。こんな所に居ちゃダメなんだ。今は帰るべき所に帰ろう、、、と。」
鍵屋「あ、、確かにハスミちゃんにさっき言ったかも。」
管理人「、、、これ、、『ある人』に言われた事なんですけどね。私にとっての幸せは帰るべき場所がある事です。今まで仕事で『色々な場所』に行って来たから断言出来ます。帰るべき場所があるからこそ旅立てるのだと、、。きっと人生って、その帰るべき場所に帰る為にあるのではないかと、、。そしてそれは家とかそういう建物じゃなくて、、、『人』だと思うんです。」
藤田「、、、人。、、、それなら尚更、、僕に帰る場所なんて、、、無いですよ、、。」
管理人「無いなら作るんです。今からでも遅くないと思いますよ。いってらっしゃい、いってきます、ただいま、おかえり、おつかれさま、、そういう事が言える人って、、誰にでも一人は居ると思います。そして、、そう言える人が居る場所が帰るべき場所なんじゃないかと思います。」
藤田「、、、そうかな、、。」
管理人「あなたには人生をやり直せる能力があるんです。どの時代にもジャンプ出来るのかは判りませんが、あなたの意思にこの部屋が準じているのは確かです。あなたの人生はあなたが選んで下さい。」
藤田「僕は、、、、、。僕は、、、、、、、、。」
藤田は壁の時計の画を見つめた。
藤田のコップを持つ手が震えていた。
管理人「、、失礼ながら、藤田さんのお父様、吾郎様が亡くなられたのはいつでしょうか?」
藤田「、、、5年前です。」
管理人「、、、、吾郎様は25年前に亡くなられております。」
藤田「そんな、、、、じゃあ、、、今って、、、?」
鍵屋「、、、よくわかんねぇけど、今年は2019年だぞ!」
藤田「そんな、、僕は、、僕にとっての今年は1999年だ、、、。」
部屋を見渡すと カレンダーは1999年の10月になっている。
管理人が買い物袋の中から競馬新聞を取り出す。
管理人「藤田さん、、これ、、今日の新聞なんです、、。」
競馬新聞を見ると『秋の天皇賞2019年』と記載されている。
藤田「なんで、そんな、、、どうして、、。」
管理人「多分、、藤田さんの能力、、部屋が空間だけではなくて時間までも超越してしまっているのではないかと、、鍵屋さんが見た砂漠にも、スカイツリーがあったと言う事は、、、未来なのではないかと、、、。」
鍵屋「何?あれが未来?あんな悲惨な世界が、、、?」
管理人「あくまで推測ですよ、、ただ、、藤田さんは実際にこの部屋と共に時空を断続的に生きてる、、この部屋の数分が外だと何週間、、この部屋の数時間が外だと何ヶ月にもなっていると思われます。」
藤田「、、僕はただ、、誰とも関わらずに生きていきたかっただけなのに、、、。」
管理人「藤田さん、、、そんなにも他人との接触が嫌なんですね、、。」
藤田「そうですよ、、、他人と関わったって良い事なんて何もないじゃないですか?面倒が増えるだけで、、ならばいっそ、、社会から、世界から切り離された方が楽です、、。あなた達は良いですよね、、仕事もあって、、きっと友人も、、恋人や家族だっている、、、十分この世界でやっていけるんですもの、、、皆は幸せ者ですよ、、。僕とは違うんです、、。」
コップを持つ手がまた震えていた。
藤田「、、、どうやったら他人と上手くやれるんですか、、?」
鍵屋と管理人は顔を合わせた。
お互いに困った様子だった。
鍵屋「あのさ、、おっさんの過去に何があったのかとか知らないけどさ、、俺はあんたを見張ってた時、、幸せだろうな、、羨ましいな、、と思ったぜ?」
藤田「僕が幸せ者?羨ましい?」
鍵屋「そう、、、だって働かなくても生きていけるし、、こんな立派な住む所だってある、、親父に愛されてたんだろ?画だって書いてもらってるし。」
藤田「、、、どうでしょう?」
鍵屋「俺はさ、、、親とか居ないから、、捨て子なんだよね、、だから血の繋がった家族もいないし、、、施設の仲間が家族かな、、。」
藤田「そう、、なんですね、、。」
管理人「多分、今のこの部屋の空間は藤田さんが望んだ世界なのだと思います。そして望めばどの時代にも何処へでも行ける。ならば、、このままで本当に良いんですか?あの砂漠がもし私達の未来なら、、いつか滅びてしまうのだとしても、、、このままこの世界で生きていくんですか?」
藤田「、、、。」
鍵屋「、、誰とも関わらずに生きていくのはね、、難しいと思うよ。生きていくってのはね、少なからず誰かに迷惑かけたり、かけられたりすんだよ。家族とか友達、恋人、他人と関わるのって、すげぇめんどくせぇけどさ、、、世界がもし終わるなら、、一人きりは俺はイヤだね、、、さっきのあの砂漠で思ったわ、、、。」
藤田「、、世界の終わりに一人ぼっち、、、、か、、。」
管理人「、、、『きさらぎ駅』からあの砂漠に迷い込んだ時、最後に鍵屋さんが私に言った言葉があります。こんな所に居ちゃダメなんだ。今は帰るべき所に帰ろう、、、と。」
鍵屋「あ、、確かにハスミちゃんにさっき言ったかも。」
管理人「、、、これ、、『ある人』に言われた事なんですけどね。私にとっての幸せは帰るべき場所がある事です。今まで仕事で『色々な場所』に行って来たから断言出来ます。帰るべき場所があるからこそ旅立てるのだと、、。きっと人生って、その帰るべき場所に帰る為にあるのではないかと、、。そしてそれは家とかそういう建物じゃなくて、、、『人』だと思うんです。」
藤田「、、、人。、、、それなら尚更、、僕に帰る場所なんて、、、無いですよ、、。」
管理人「無いなら作るんです。今からでも遅くないと思いますよ。いってらっしゃい、いってきます、ただいま、おかえり、おつかれさま、、そういう事が言える人って、、誰にでも一人は居ると思います。そして、、そう言える人が居る場所が帰るべき場所なんじゃないかと思います。」
藤田「、、、そうかな、、。」
管理人「あなたには人生をやり直せる能力があるんです。どの時代にもジャンプ出来るのかは判りませんが、あなたの意思にこの部屋が準じているのは確かです。あなたの人生はあなたが選んで下さい。」
藤田「僕は、、、、、。僕は、、、、、、、、。」
藤田は壁の時計の画を見つめた。
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