404号室の旅人

夕暮G太郎

第六話 「誰かいますか?」

鍵屋は砂丘から顔を出している洞窟の入り口まで来た。

恐る恐る中を確認する。

洞窟は岩で出来ていて、地下へと繋がっているようだった。


鍵屋「、、、お〜〜〜い!誰か居るのか?」

鍵屋は大声を出したが返事は無い。


鍵屋「、、、くそ、、、訳がわかんねぇが、、、入ってみるか、、。」


鍵屋は洞窟に足を踏み入れた。


洞窟の中は驚くほど冷たくて、鍵屋の火照った身体を癒した。

鍵屋「あぁ〜〜〜涼しい、、、。」


地下へと続く洞窟を慎重に進む。
足場は岩でゴツゴツしていたが砂よりは幾分歩きやすく感じた。

洞窟内はかなり広くて大人の男が通るには十分なスペースがあった。



入り口の明かりがいよいよ届かなくなりそうな深さまで進んだ時だった。


鍵屋「、、、なんだこれ?、、、牢屋?」


前方には岩の中に作られた牢屋があった。
砂漠に来て初めて人工物を目にした。


鍵屋「、、、なんでこんな所に、、、?」


鍵屋は牢屋を覗き込むと

ガシャンっっっ!!!!!!

と音が鳴った。

驚いて腰から倒れ込む鍵屋。

牢屋の中から女性が顔を出した。


鍵屋「うゎああああ!!!なんだお前!!」


女性「あぁ!!!!良かった!!!本当に人が来た!!助かったわ!!!」


鍵屋「お前、、、日本語、、喋れるんだな?」


女性「何言ってんのよ!!早くここから出してよ!!」


鍵屋「はぁ?お前誰だよ!!ここ何処だよ?」


女性の顔は薄暗くて上手く確認出来ない。


女性「あなたこそ誰よ?どうせあいつらの仲間なんでしょ?こんなところに監禁して!!警察に通報するからね!!」

鍵屋「ちょ、、ちょ、、待って!!あいつらって?仲間って何だよ?」


女性「あんた達がこんなとこに連れてきたんでしょ?言ってたわよ!さっきのおじさんが!!何でも鍵を開けてくれる金髪の青年に助けてもらえって!」

鍵屋「はぁ?おじさん?」

女性「そう!!とにかくここを開けて!!あなたなんでしょ?その金髪の青年って!!どうすんの?開けるの?開けないの?」

女性は怒っている様子だった。


鍵屋「おいおい、、落ち着けって、、、わかった、、わかったよ!!開けるって、、。」


鍵屋は牢屋の鍵穴に右手をかざした。

ガチャン という音が洞窟内に響き渡った。

女性は牢屋の中から扉を開けようとしたが上手く開かない。

女性「ちょっと、、あんたも手伝ってよ!!」

鍵屋「俺も?、、あぁ、、、わかったよ!」

鍵屋も扉を引っ張った。


錆びていた牢屋の扉は耳障りな音を立てて少しずつ動いた。



女性「はああああ〜〜やっと出られた、、、。助かったわ、、!!」


鍵屋「、、、はぁはぁ、、、あんた、、、なんでこんな所に閉じ込められてたんだ?」


入り口の光が洞窟内を照らし出した。女性の顔がはっきりと確認出来た。
女性はOLの様なリクルート姿だった。

鍵屋「ん??お前は、、、あれ?、、、管理人さん?」


女性の顔を見て鍵屋は驚いた。1ヶ月前に一緒に藤田のマンションを訪れた管理会社の女性だった。


女性「はぁ?誰それ?」

鍵屋「俺だよ!鍵屋だよ!覚えてない?一ヶ月前にあの引きこもりのおっさんのマンションに一緒に行った、、。」

女性「、、、人違いじゃない?私はあなたの事なんて知らないわよ。会ったこともない。」


鍵屋「、、そんな、、だって顔がそっくりだし、、。じゃあ、、何でこんな所にいるんだよ?」


女性「、、、あなた、、、本当に何も知らないのね?あのおじさん達の仲間じゃないのね?」

鍵屋「だから、、そのおじさんとか知らないって!」

女性「、、、信じてもらえないかもしれないけれど、、、いつもと同じ電車に乗って仕事から帰ってたの、、、そしたら知らない駅に着いて、、、そこでおじさんに言われて車に乗ったの。そしたらおじさんが変な事を頼んできたの。」

鍵屋「は?エッチな事?」

女性「違うわよ!!、、、今から向かう場所で金髪の青年に助けてもらってって、、鍵を開けてもらえって、、、。」

鍵屋「はあ?それが俺か?」

女性「、、、そうなんじゃない?、、、そしたらもう一人助けが来るからその人の指示に従えって、、、そうすれば金髪の青年も助かるって、、。」

鍵屋「俺も助かるって??誰なんだよ!!そのおっさんは?」

女性「そんなの私が聞きたいわよ!!気がついたらあんな牢屋に置き去りにされて、、。」

鍵屋「、、、訳がわからない、、、。それで、、あんた、、名前は?」


女性「私はハスミ、、、。」

鍵屋「ハスミちゃんか、、、、あれ?、、なんかつい最近聞いた名前だ、、、?」

ハスミ「、、、、ここはどこなのよ?静岡から近いんでしょうね?」

鍵屋「、、、、、ハスミちゃんが降りた知らない駅って、、何駅?」

ハスミ「、、、『きさらぎ駅』っていう知らない駅よ。」

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