404号室の旅人
第一話 「引きこもりおじさん」
とあるマンションの一室、、、白黒の部屋で男がソファーに横たわりながらTVゲームをしている。その部屋には十分な家具や家電が揃っていて、12畳ほどの洋室である。
テーブルの上はコンビニ弁当の空箱やペットボトルなどで多少散らかってはいるが、リビングは割と綺麗に整頓されていた。
部屋が白黒、、という訳ではなく、まるで昔のモノクロ映画さながらに景色も人間さえも全てが白黒になっている。
男はTVに映るゲーム画面をメガネ越しに見つめながら想いを巡らせる。
(この世界はイカれてる。外の世界は怖い事ばかりだし、人間関係もわずらわしい、、。めんどくさい、、。外の世界とは繋がりたくない。誰とも関わりたくない。昔、、預言者ノストラダムスが言っていた様に、いっその事世界が滅んでしまえば良いとさえ思っている。そう考える様になって数日経ったある時、不思議なことが起きた。
僕の部屋から色が消えた。
ネットや携帯、TVさえも受信しなくなった。
でも不自由は無い。食事も近所のコンビニで調達出来る。ずっとTVゲームも出来る。
この部屋が唯一の安全地帯、僕の城、、いや、この世界の全てだ。
もうこの生活になってから3年は経つ。)
男の名前は『藤田』
この部屋の住人である。
40歳。身長は176cm。体型は小太り。髪は短髪で黒。メガネをかけている。
剃り残しの髭がポツポツと生えている。
どどどんっっ!!!! 『能力 絶対領域』
藤田はコントローラーを置いてメガネを少し上げると、疲れた目頭を親指と人差し指で摘んだ。
そしてふと壁に目をやると『2枚の画』と時計があった。
藤田(父は有名な画家だった。数々の名作を世に放ったが、5年前に他界した。
同じ遺伝子が僕にもある訳だが、、そんな才能は特に無く、、、父の残してくれた財産でなんとか家賃は払ってる。
ただ、それもあと数年で底をつく。)
藤田は壁の2枚の絵を見つめた。
藤田(あとはこの画、、、これにどのくらいの価値があるかも判らないが、いざとなったらこれをお金に変えればいくらかしのげる、、。ただ、、、。)
もう1枚の画に目を向けた。
藤田(この画だけは、、父が僕に直接書いてくれた最初で最後の画、、、これだけはお金に変えられない、、。それをやったらいよいよクズだ。)
藤田は再びゲーム機のコントローラーを手にするとゲームを再開した。
藤田「あぁ〜働きたくねぇ〜!!!」
眩しい午後の昼下がり。
日差しが街を彩っている。
まだ残暑が厳しい秋口の季節。
東京都板橋区の住宅街にある小さなコンビニの前で男と女が待ち合わせをしていた。
男性は『鍵屋』。29歳。髪は金色で短髪。無精髭があり、ダボダボの深緑のツナギを身に纏っていた。身長は約170cm。体型は標準。
女性は管理会社の者で『管理人』。32歳。茶髪のロングヘアー。リクルートスーツを着ていた。身長は158cm。体型は細身である。ハーフの様な顔立ちの美人だ。
鍵屋「お待たせしました。はじめまして、、鍵屋の者です。」
管理人「管理人です。今日は宜しくお願いします。」
管理人は手を出して握手を求めた。
鍵屋「あ、、宜しく。」
二人は握手をする。
管理人「、、では早速参りましょうか。」
挨拶を交わすと、そそくさと歩き始めた。
鍵屋「今日伺う方はどういった方なんすか?」
管理人「えっとですね、、、ちょっと変わった住人みたいでして、、、。」
管理人はカバンからスマホを出すと藤田が写っている写真を鍵屋に見せた。
鍵屋「あ、写真あるんすね、、、。」
管理人「40代前半の男性で、、何年も部屋から出てこない、要は引きこもり状態なんです。家賃がかなり滞納していて、、数回の振り込みはありましたので生存はしていると思うのですが、、、ご近所様の目撃例で、食糧等は何日かに一度にあのコンビニで買い物を済ませている様です。かくいう私も前任の担当者から引き継いだばかりで判らない事が多いのですが、、」
鍵屋「へえ〜大変ですね。厄介な住人で。」
管理人「えぇ、ただ、、彼のお父さんは生前とても有名な画家だったみたいなんですよ。」
鍵屋「画家?」
管理人「藤田吾郎ってご存知ですか?」
鍵屋「えぇ〜?!めちゃくちゃ有名じゃないすか!そこに住んでる人、そこの息子さん?それなら財産とかめちゃくちゃ持ってんじゃないすか?」
管理人「そうなんです。しかも遺作の数枚の画も息子さんに引き継がせたそうで、、そのうちの一枚は生前最後に書いた作品で、、、息子へ送った画だそうで、、なかなかの値打ちがあるとか、、、。」
鍵屋「え?いくらくらいなんすか?」
管理人「あまり大きな声で言えないんですが、、、。」
管理人は小声で鍵屋に伝えた。
鍵屋「えぇぇぇぇ〜!そんなに!?」
管理人「あくまでも推定ですよ。」
数分歩くと藤田の住まうマンションに着いた。
鉄骨造りで茶色いタイル貼りの4階建。ごく一般的なマンションだ。
管理人「このマンションですね。え〜っと、、、4階の404号室です。」
鍵屋「へ〜、、。意外に普通なとこに住んでるんすね。」
そのマンションにはエレベーターが無い為、二人は階段で4階まで登った。
404号室のドアの前に来ると表札には 藤田 と記載されていた。
それを確認すると管理人はガンガンっとドアをノックし始めた。
管理人「藤田さ〜んいらっしゃいますか??藤田さ〜〜ん、ご在宅でしたら出てきてください〜。溜まってる家賃の件です〜藤田さ〜ん!」
その音に気付いた藤田はコントローラーを置くとめんどくさそうにため息をついて立ち上がった。ダボダボのスウェットに手を突っ込んで尻を掻きながら玄関へと歩いていった。
藤田「ったく、、うるさいな〜いつもいつも、、、。」
玄関のドアの覗き穴から外を確認する。藤田からは白黒にしか見えていないが、女性と男性の顔は確認出来た。
藤田「ちゃんと毎月払ってるでしょ〜?帰って下さいよ!」
藤田は玄関越しに大声を出した。
玄関の外側で管理人はドアを叩き続けた。
だが応答は無かった。
鍵屋「、、、、留守なんじゃない?鍵開ければ良いんじゃないすか?」
管理人「それが、、、鍵をいつの間にか変えていたみたいで、合鍵が合わないんですよ、、。」
鍵屋「あぁ〜だからウチを呼んだんですか?」
管理人「はい、、以前に他の鍵屋さんにも診てもらったんですけど、どちらの業者さんもここの鍵が開けられないって、、それで開錠率No1と謳われてるそちら様にお願いできたらと思いまして、、。」
鍵屋「えぇ!うちは優秀ですよ!どんな鍵でもちょちょいっと、、、。」
鍵屋がドアノブを触る。
鍵屋「ん、、、、なるほど、これはね、、、、まさか、、、。」
鍵屋は少し難しそうな顔をしていた。
管理人「どうです?開けられそうですか?」
鍵屋の顔を覗き込む管理人。
鍵屋「、、、無理ですね。これは、特別な道具が無いと。」
管理人「えぇ〜?」
鍵屋「、、、、こんな事あるんだな、、、、まあまあ、、、後日もう一回準備してから再チャレンジで良いですか?任せて下さい!」
管理人「はあ、、、そうですね。」
鍵屋「とりあえず特別な道具が必要なんで、用意できたら管理人さんの会社にこちらから連絡しますんで、、その時に改めましょう!」
管理人「はぁ、、、仕方がないですね、、。引き続き宜しくお願い致します、、。」
テーブルの上はコンビニ弁当の空箱やペットボトルなどで多少散らかってはいるが、リビングは割と綺麗に整頓されていた。
部屋が白黒、、という訳ではなく、まるで昔のモノクロ映画さながらに景色も人間さえも全てが白黒になっている。
男はTVに映るゲーム画面をメガネ越しに見つめながら想いを巡らせる。
(この世界はイカれてる。外の世界は怖い事ばかりだし、人間関係もわずらわしい、、。めんどくさい、、。外の世界とは繋がりたくない。誰とも関わりたくない。昔、、預言者ノストラダムスが言っていた様に、いっその事世界が滅んでしまえば良いとさえ思っている。そう考える様になって数日経ったある時、不思議なことが起きた。
僕の部屋から色が消えた。
ネットや携帯、TVさえも受信しなくなった。
でも不自由は無い。食事も近所のコンビニで調達出来る。ずっとTVゲームも出来る。
この部屋が唯一の安全地帯、僕の城、、いや、この世界の全てだ。
もうこの生活になってから3年は経つ。)
男の名前は『藤田』
この部屋の住人である。
40歳。身長は176cm。体型は小太り。髪は短髪で黒。メガネをかけている。
剃り残しの髭がポツポツと生えている。
どどどんっっ!!!! 『能力 絶対領域』
藤田はコントローラーを置いてメガネを少し上げると、疲れた目頭を親指と人差し指で摘んだ。
そしてふと壁に目をやると『2枚の画』と時計があった。
藤田(父は有名な画家だった。数々の名作を世に放ったが、5年前に他界した。
同じ遺伝子が僕にもある訳だが、、そんな才能は特に無く、、、父の残してくれた財産でなんとか家賃は払ってる。
ただ、それもあと数年で底をつく。)
藤田は壁の2枚の絵を見つめた。
藤田(あとはこの画、、、これにどのくらいの価値があるかも判らないが、いざとなったらこれをお金に変えればいくらかしのげる、、。ただ、、、。)
もう1枚の画に目を向けた。
藤田(この画だけは、、父が僕に直接書いてくれた最初で最後の画、、、これだけはお金に変えられない、、。それをやったらいよいよクズだ。)
藤田は再びゲーム機のコントローラーを手にするとゲームを再開した。
藤田「あぁ〜働きたくねぇ〜!!!」
眩しい午後の昼下がり。
日差しが街を彩っている。
まだ残暑が厳しい秋口の季節。
東京都板橋区の住宅街にある小さなコンビニの前で男と女が待ち合わせをしていた。
男性は『鍵屋』。29歳。髪は金色で短髪。無精髭があり、ダボダボの深緑のツナギを身に纏っていた。身長は約170cm。体型は標準。
女性は管理会社の者で『管理人』。32歳。茶髪のロングヘアー。リクルートスーツを着ていた。身長は158cm。体型は細身である。ハーフの様な顔立ちの美人だ。
鍵屋「お待たせしました。はじめまして、、鍵屋の者です。」
管理人「管理人です。今日は宜しくお願いします。」
管理人は手を出して握手を求めた。
鍵屋「あ、、宜しく。」
二人は握手をする。
管理人「、、では早速参りましょうか。」
挨拶を交わすと、そそくさと歩き始めた。
鍵屋「今日伺う方はどういった方なんすか?」
管理人「えっとですね、、、ちょっと変わった住人みたいでして、、、。」
管理人はカバンからスマホを出すと藤田が写っている写真を鍵屋に見せた。
鍵屋「あ、写真あるんすね、、、。」
管理人「40代前半の男性で、、何年も部屋から出てこない、要は引きこもり状態なんです。家賃がかなり滞納していて、、数回の振り込みはありましたので生存はしていると思うのですが、、、ご近所様の目撃例で、食糧等は何日かに一度にあのコンビニで買い物を済ませている様です。かくいう私も前任の担当者から引き継いだばかりで判らない事が多いのですが、、」
鍵屋「へえ〜大変ですね。厄介な住人で。」
管理人「えぇ、ただ、、彼のお父さんは生前とても有名な画家だったみたいなんですよ。」
鍵屋「画家?」
管理人「藤田吾郎ってご存知ですか?」
鍵屋「えぇ〜?!めちゃくちゃ有名じゃないすか!そこに住んでる人、そこの息子さん?それなら財産とかめちゃくちゃ持ってんじゃないすか?」
管理人「そうなんです。しかも遺作の数枚の画も息子さんに引き継がせたそうで、、そのうちの一枚は生前最後に書いた作品で、、、息子へ送った画だそうで、、なかなかの値打ちがあるとか、、、。」
鍵屋「え?いくらくらいなんすか?」
管理人「あまり大きな声で言えないんですが、、、。」
管理人は小声で鍵屋に伝えた。
鍵屋「えぇぇぇぇ〜!そんなに!?」
管理人「あくまでも推定ですよ。」
数分歩くと藤田の住まうマンションに着いた。
鉄骨造りで茶色いタイル貼りの4階建。ごく一般的なマンションだ。
管理人「このマンションですね。え〜っと、、、4階の404号室です。」
鍵屋「へ〜、、。意外に普通なとこに住んでるんすね。」
そのマンションにはエレベーターが無い為、二人は階段で4階まで登った。
404号室のドアの前に来ると表札には 藤田 と記載されていた。
それを確認すると管理人はガンガンっとドアをノックし始めた。
管理人「藤田さ〜んいらっしゃいますか??藤田さ〜〜ん、ご在宅でしたら出てきてください〜。溜まってる家賃の件です〜藤田さ〜ん!」
その音に気付いた藤田はコントローラーを置くとめんどくさそうにため息をついて立ち上がった。ダボダボのスウェットに手を突っ込んで尻を掻きながら玄関へと歩いていった。
藤田「ったく、、うるさいな〜いつもいつも、、、。」
玄関のドアの覗き穴から外を確認する。藤田からは白黒にしか見えていないが、女性と男性の顔は確認出来た。
藤田「ちゃんと毎月払ってるでしょ〜?帰って下さいよ!」
藤田は玄関越しに大声を出した。
玄関の外側で管理人はドアを叩き続けた。
だが応答は無かった。
鍵屋「、、、、留守なんじゃない?鍵開ければ良いんじゃないすか?」
管理人「それが、、、鍵をいつの間にか変えていたみたいで、合鍵が合わないんですよ、、。」
鍵屋「あぁ〜だからウチを呼んだんですか?」
管理人「はい、、以前に他の鍵屋さんにも診てもらったんですけど、どちらの業者さんもここの鍵が開けられないって、、それで開錠率No1と謳われてるそちら様にお願いできたらと思いまして、、。」
鍵屋「えぇ!うちは優秀ですよ!どんな鍵でもちょちょいっと、、、。」
鍵屋がドアノブを触る。
鍵屋「ん、、、、なるほど、これはね、、、、まさか、、、。」
鍵屋は少し難しそうな顔をしていた。
管理人「どうです?開けられそうですか?」
鍵屋の顔を覗き込む管理人。
鍵屋「、、、無理ですね。これは、特別な道具が無いと。」
管理人「えぇ〜?」
鍵屋「、、、、こんな事あるんだな、、、、まあまあ、、、後日もう一回準備してから再チャレンジで良いですか?任せて下さい!」
管理人「はあ、、、そうですね。」
鍵屋「とりあえず特別な道具が必要なんで、用意できたら管理人さんの会社にこちらから連絡しますんで、、その時に改めましょう!」
管理人「はぁ、、、仕方がないですね、、。引き続き宜しくお願い致します、、。」
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