元最強のおっさんすべて失ったけどもう一回世界荒らします

外典

まずは一勝


「負けちゃいましたね、でもあれが正解ですよ」

 綾瀬が校舎裏で食べてなかった昼食を食べていた俺に話しかけてきた。

「見てたのかよ、てか話しかけてきていいのか」

「今ここには私たち以外いないですし、あの訓練結構な人みてましたよ」

 大勢の前で負けたのめっちゃ恥ず!死にてぇ!
 俺は顔を抱えた。

「こんなんでへこたれてもこまりますよ、取り戻すんですよね、大事な人」

 彼女が珍しく真剣な顔をしていった。

「・・・本当に取り戻せるんだな、あいつを」

 昔の、彼女との記憶を思い出す。


 ~~~

「いつも強いからって偉そうにしてるね、伊吹は、、それじゃいつか仕返しされちゃうよ」

 思い返してみればいい出会いではなかった。彼女との出会いは暗部の会議の時だった。

「お前こそ、この俺に対して指示するなよ、殺すぞ」

「ふーん、そんなこというんだ、私も結構強いけど君こそ大丈夫?負けたら二度とその偉そうな態度誰にもとらないことね!」

 名前は桜七海、最初は力の差もわからないバカだと思った。陽気で、破天荒、そして何より頭が悪そう。最初はうっとおしい彼女のことが嫌いだった。

「うわーーーーーん、また負けたーーー」

 彼女はかなり強かった、だが俺との力量差は明確だ。何度も俺に挑んで俺を改心させようとしてきた、今思えば彼女の言うとおりだった。俺という強すぎる存在を民衆が知り犯罪者の数が激減した、そんなときに事件は起こった。傲慢で強気な態度をとる最強の俺の暴走を上層部が恐れたのだ、上層部はシックによる犯罪を終息させた後、暗部を用済みだと考え、危険分子の俺を排除しに大掛かりな作戦をねったのだ、ほかの暗部に、その後の生活を保障する代わりに俺の殺害を命じた。俺は仲間全員に裏切られ、死にかけた。

「なんでだよ!お前らぁ!」

 絶望に打ちひしがれ、後悔した、自らの行動を悔いた。なんでこうなったんだろうって。そんなときぼろぼろの俺を助けてくれたのが七海だった。七海は俺を説得し、上層部との直接交渉を提案してきた、

「伊吹、、、まだやり直せるよ、、」

「うるさいな!気持ち悪いんだよ!」

 あきらめていた俺にはもう生きる気がなかった、彼女の温かい手を振り払ったのだ。この言葉を今でも後悔している、いつまでも、いつまでも。


 ~~~



「おーい、聞いてますか~、まーた昔のこと考えてるんですね、もう過ぎ去ったことより今のことを考えましょう!」

 綾瀬の陽気な姿は今思い出しているからかどこか七海に似ている気がした。しかし彼女とは顔も性格も胸の大きさも違う、彼女はこんな大きくなかった。

「うわ、変な視線で見ないでくださいよ、、素直にきもいです、、ってそんなこといってる場合じゃなかった。そろそろ一か月たつので新しいミッションです武田総司が持っている、隕石を回収せよ、とのことです」

「武田総司って誰?」

 彼女は大きなため息をついた。

「武田総司はこの学園を支配している武田グループのトップで、この学園最強のペーシェント
 でもあります」

「え、俺そいつからどうやって、隕石取り返すの?てかなんでそいつが隕石もってんの?」

 首をかしげてそう言った。

「私もそこまでは武田総司さんについては知りません。ただ言えることはそうとうの切れ者ということです」

「というと?」

「彼は2年の時に武田グループを作り上げていました、幹部の忠誠が深く、名前も相まって武田家とかって呼ばれたりもします。3年生が集団で殴り掛かったそうですが一瞬で返り討ちにされたそうです。そこから武田グループの名が学園中に広まったそうですが、あれは自作自演だったと言う噂もあるそうです、クラスのイケてる皆さんは武田グループに所属しているらしいですよ」

「何人もの相手を一瞬で倒すか、、、、できなくもないかもな、、俺も昔はーーー」

「ああーいいですからそういう、おじさん特有の昔自慢話、とにかく武田総司さんの情報をしることが大事です、真壁さんは武田グループのは幹部らしいですよ、武田さんに歯向かったほかの派閥を一人で壊滅させたって話もあります、話を聞いてみてはいかがでしょう、ほら昨日の敵は明日のともっていいますし」

 真壁はこのまえ殴り合った相手だ、さすがにすぐ仲良くなるのは無理がある、というかああいうプライドの高そうなあいつに自分と対等な相手だと認識させないと、話をまともに聞いてくれないだろう。やるしかねえ。

「綾瀬お前の人脈を見込んで頼んでおきたいことがある」

 ~~一週間後~~



「おい、リベンジだ、てめえの顔面揺らしてやるよ」

 1週間後夕方帰り道の真壁を追い、勝負をいどんだ。前回のようにはいかない、今度こそ本気で行かせてもらう。俺は眼鏡をはずし、ぼさぼさに長い髪をワックスでオールバックにした。俺が昔本気を出すときにしていた髪型、この髪型にすれば昔の強気な自分を思い出せる。

「お前普段そうしてたほうがイケてるぜ?狙いはなんだ?グループの幹部の座か?それとも最近でてきた反武田派のやつがだったのか?」

「いいや、、、友達になりに来た」

「は?」

 某ジャンプ主人公のようなセリフに真壁は驚いている、まずは一勝!


コメント

コメントを書く

「文学」の人気作品

書籍化作品