箱庭の魔王様は最強無敵でバトル好きだけど配下の力で破滅の勇者を倒したい!
31・アイテムの鑑定
広場での会議が終わって皆が解散すると、俺はキングとアンドレアを連れて墓城の霊安室に戻ってきていた。
おまけのゴブロンもついて来ている。
「エリク様、わっちらを呼び出してなんのようでありんすか?」
俺は実験で並べた武器の前に立つとゴブリンシャーマンのアンドレアに言う。
「なあ、アンドレア。このアイテムを見てどう思う?」
俺の前には九本の武器が並んでいる。
ダガーが三本、ショートソードが三本、ロングソードが三本だ。
「アイテムでありんすか?」
アンドレアは細い首を傾げていた。
俺は背後のキルルを親指で指しながら説明してやる。
「キルルはオーラを見極めて、他者のクラスがカラーとして見えるんだ」
「職業鑑定でありんすね」
俺の言葉にキルルがニコリと微笑んだ。
それとは対照的にアンドレアは眉をしかめている。
「キルルの見立てだと、アンドレアのカラーはアイテム鑑定士だそうなんだわ」
「わっちが、アイテム鑑定士?」
「そうだ。そして、俺の鮮血を浴びた武具はマジックアイテムに進化するんじゃあないかと実験しているんだよ。まあ、少なくとも強化には繋がることは分かってきている。だから、アイテム鑑定士のお前に、これらのアイテムを鑑定してもらいたくってな。能力が知りたいのだ」
「は、はあ……。それが、わっちの呼ばれた理由なのでありんすね」
俺は床に並べられた武器の前にアンドレアを導いた。
「まあ、これらの武器を見てもらえないか」
アンドレアは言われるがままに並べられた武器を眺めて回る。
「どうだ、アンドレア?」
アンドレアは床の上の武器を凝視しながら言った。
「確かにこれらの武器からは魔力を微量ながら感じるでありんす。でも、まだマジックアイテムと呼べるほどの代物でもありませんでありんすね」
やはりだ。
ほんの数時間前である。
武器に俺の鮮血を垂らしたのは会議の前だ。
そして、会議から帰ってきた短時間で効果が現れ始めている。
「それじゃあ、こっちの物はどうだ?」
今度は石棺の上に並べられた物を見せた。
砂の山、雑草の束、木の枝、小石、それに陶器のワイングラスだ。
アンドレアは順々に観察した後に答える。
陶器のワイングラスを指しながら言った。
「このワイングラスだけは、凄い魔力を感じますが、その他の物からは微塵も魔力を感じないでありんす」
「そうか……」
陶器のワイングラスは何度も鮮血の儀式に使ってるから一番魔力を感じられるのだろうか?
まだ、その辺はなんとも言えないな。
更にアンドレアがアイテム鑑定の続きを語る。
「しかもこのワイングラスにはヒーリング効果がありんすね」
「ヒーリング効果?」
どうやらアンドレアにはマジックアイテムの効果が見えているらしい。
期待した通りである。
「このグラスに注がれた液体にヒーリングポーションの効果を与えるって力でありんす」
「おおっ!」
やはりそうだ。
俺の鮮血を浴びた道具はマジックアイテムに変化するんだ。
このグラスで鮮血の儀式を行えば、魔物の進化だけでなく、回復効果も追加されるってことなのかな?
いやいや、それどころか、このカップで鮮血の儀式を繰り返せば、更に更にと追加効果がカップに増えていくってことだろうか?
これって、まさに聖杯だな!
アンドレアが言う。
「ですが、その他の物には魔力の片鱗すら見えぬでありんす」
砂の山、雑草の束、木の枝、小石のことかな。
「これらはマジックアイテムに変化しないってことなのか?」
「さあ、それはわっちには分からないでありんす」
何が聖杯と違うのだ?
まあ、その辺は追々考えてみよう。
次だ。
「キング、ゴブロン。お前らの武器を見せてくれ」
「畏まりました、エリク様」
「はいでやんす」
キングとゴブロンが武器を鞘から抜いた。
光るシミターとダガーだ。
「アンドレア、この二本をどう見る?」
アンドレアは一目で答えた。
「立派なマジックアイテムでありんす」
やはりだ。
キングの光るシミターは前々からマジックアイテムだったんだろうが、ゴブロンのダガーは俺の鮮血を浴びてマジックアイテム化したのだろう。
「どんな能力だ?」
まずは光るシミターについてアンドレアが答えた。
「コンティニュアルライトと敏捷度強化魔法が施されたマジックアイテムでありんす」
キングが声に出して驚いた。
「まことですか、アンドレア殿。以前のこのシミターは、敏捷度強化の魔法なんて掛かっておりませんでしたぞ!!」
俺は驚いているキングにドヤ顔で言ってやった。
「だから、俺の鮮血を受けて強化されたんだ」
「まことですか!!」
「じゃあじゃあ、あっしのダガーも強化されているでやんすか!?」
ゴブロンがはしゃぎながらダガーを前に出す。
「このダガーだって、何度かエリク様を攻撃して鮮血を吸っていやすからね!」
「イラッ!!」
俺はゴブロンからダガーを取り上げると顔面をぶん殴ってやった。
俺の拳が深く顔面にめり込むと、ゴブロンが飛んで行って壁に激突して倒れた。
おそらく死んだだろう。
ざまー!!
俺はダガーで体を刺されたことを思い出してムカついたのだ。
キングにも何度か殺されたが、それ以上にゴブロンにも殺されたと思うとなんだかムカつくのである。
「ちっ、死んだか」
そしてゴブロンが死んでいる間に俺は取り上げたダガーをアンドレアに見せる。
アンドレアはダガーを手に取ると即座に答えた。
「このダガーもマジックアイテムでありんす」
「やはり変化しているのか。それで能力は?」
「ダガーで影を刺すと本体の動きを束縛する能力でありんす」
『影縛りのダガーですね!』
キルルが嬉しそうに言った。
影縛りって言うネーミングをつけられて嬉しいのだろう。
まさに設定厨だな。
「なるほど、影縛りか」
すると復活したゴブロンがぼやきながら歩み寄ってきた。
「エリク様、酷いでやんすよ。いきなり殺すなんてさ~」
俺は問答無用でゴブロンの影にダガーを突き立てた。
「ぎぐっ!?」
ダガーがゴブロンの影ごと床石を貫く。
すると、ゴブロンが硬直しながら固まった。
麻痺魔法でも掛けられたかのように顔を引きつらせている。
動けないようだ。
声も出せない様子である。
「おお、固まった」
『固まりましたね』
「これ、なかなか使えるマジックアイテムだな」
こうしてアンドレアの鑑定が終わった。
おそらく実験中の武器がマジックアイテムとして覚醒するのには時間が掛かるのであろう。
まあ、ハートジャックの偵察が終わって帰ってくるまで三日もあるのだ。
まだまだゆっくり様子見して行こうと思う。
焦ることはないのだから。
おまけのゴブロンもついて来ている。
「エリク様、わっちらを呼び出してなんのようでありんすか?」
俺は実験で並べた武器の前に立つとゴブリンシャーマンのアンドレアに言う。
「なあ、アンドレア。このアイテムを見てどう思う?」
俺の前には九本の武器が並んでいる。
ダガーが三本、ショートソードが三本、ロングソードが三本だ。
「アイテムでありんすか?」
アンドレアは細い首を傾げていた。
俺は背後のキルルを親指で指しながら説明してやる。
「キルルはオーラを見極めて、他者のクラスがカラーとして見えるんだ」
「職業鑑定でありんすね」
俺の言葉にキルルがニコリと微笑んだ。
それとは対照的にアンドレアは眉をしかめている。
「キルルの見立てだと、アンドレアのカラーはアイテム鑑定士だそうなんだわ」
「わっちが、アイテム鑑定士?」
「そうだ。そして、俺の鮮血を浴びた武具はマジックアイテムに進化するんじゃあないかと実験しているんだよ。まあ、少なくとも強化には繋がることは分かってきている。だから、アイテム鑑定士のお前に、これらのアイテムを鑑定してもらいたくってな。能力が知りたいのだ」
「は、はあ……。それが、わっちの呼ばれた理由なのでありんすね」
俺は床に並べられた武器の前にアンドレアを導いた。
「まあ、これらの武器を見てもらえないか」
アンドレアは言われるがままに並べられた武器を眺めて回る。
「どうだ、アンドレア?」
アンドレアは床の上の武器を凝視しながら言った。
「確かにこれらの武器からは魔力を微量ながら感じるでありんす。でも、まだマジックアイテムと呼べるほどの代物でもありませんでありんすね」
やはりだ。
ほんの数時間前である。
武器に俺の鮮血を垂らしたのは会議の前だ。
そして、会議から帰ってきた短時間で効果が現れ始めている。
「それじゃあ、こっちの物はどうだ?」
今度は石棺の上に並べられた物を見せた。
砂の山、雑草の束、木の枝、小石、それに陶器のワイングラスだ。
アンドレアは順々に観察した後に答える。
陶器のワイングラスを指しながら言った。
「このワイングラスだけは、凄い魔力を感じますが、その他の物からは微塵も魔力を感じないでありんす」
「そうか……」
陶器のワイングラスは何度も鮮血の儀式に使ってるから一番魔力を感じられるのだろうか?
まだ、その辺はなんとも言えないな。
更にアンドレアがアイテム鑑定の続きを語る。
「しかもこのワイングラスにはヒーリング効果がありんすね」
「ヒーリング効果?」
どうやらアンドレアにはマジックアイテムの効果が見えているらしい。
期待した通りである。
「このグラスに注がれた液体にヒーリングポーションの効果を与えるって力でありんす」
「おおっ!」
やはりそうだ。
俺の鮮血を浴びた道具はマジックアイテムに変化するんだ。
このグラスで鮮血の儀式を行えば、魔物の進化だけでなく、回復効果も追加されるってことなのかな?
いやいや、それどころか、このカップで鮮血の儀式を繰り返せば、更に更にと追加効果がカップに増えていくってことだろうか?
これって、まさに聖杯だな!
アンドレアが言う。
「ですが、その他の物には魔力の片鱗すら見えぬでありんす」
砂の山、雑草の束、木の枝、小石のことかな。
「これらはマジックアイテムに変化しないってことなのか?」
「さあ、それはわっちには分からないでありんす」
何が聖杯と違うのだ?
まあ、その辺は追々考えてみよう。
次だ。
「キング、ゴブロン。お前らの武器を見せてくれ」
「畏まりました、エリク様」
「はいでやんす」
キングとゴブロンが武器を鞘から抜いた。
光るシミターとダガーだ。
「アンドレア、この二本をどう見る?」
アンドレアは一目で答えた。
「立派なマジックアイテムでありんす」
やはりだ。
キングの光るシミターは前々からマジックアイテムだったんだろうが、ゴブロンのダガーは俺の鮮血を浴びてマジックアイテム化したのだろう。
「どんな能力だ?」
まずは光るシミターについてアンドレアが答えた。
「コンティニュアルライトと敏捷度強化魔法が施されたマジックアイテムでありんす」
キングが声に出して驚いた。
「まことですか、アンドレア殿。以前のこのシミターは、敏捷度強化の魔法なんて掛かっておりませんでしたぞ!!」
俺は驚いているキングにドヤ顔で言ってやった。
「だから、俺の鮮血を受けて強化されたんだ」
「まことですか!!」
「じゃあじゃあ、あっしのダガーも強化されているでやんすか!?」
ゴブロンがはしゃぎながらダガーを前に出す。
「このダガーだって、何度かエリク様を攻撃して鮮血を吸っていやすからね!」
「イラッ!!」
俺はゴブロンからダガーを取り上げると顔面をぶん殴ってやった。
俺の拳が深く顔面にめり込むと、ゴブロンが飛んで行って壁に激突して倒れた。
おそらく死んだだろう。
ざまー!!
俺はダガーで体を刺されたことを思い出してムカついたのだ。
キングにも何度か殺されたが、それ以上にゴブロンにも殺されたと思うとなんだかムカつくのである。
「ちっ、死んだか」
そしてゴブロンが死んでいる間に俺は取り上げたダガーをアンドレアに見せる。
アンドレアはダガーを手に取ると即座に答えた。
「このダガーもマジックアイテムでありんす」
「やはり変化しているのか。それで能力は?」
「ダガーで影を刺すと本体の動きを束縛する能力でありんす」
『影縛りのダガーですね!』
キルルが嬉しそうに言った。
影縛りって言うネーミングをつけられて嬉しいのだろう。
まさに設定厨だな。
「なるほど、影縛りか」
すると復活したゴブロンがぼやきながら歩み寄ってきた。
「エリク様、酷いでやんすよ。いきなり殺すなんてさ~」
俺は問答無用でゴブロンの影にダガーを突き立てた。
「ぎぐっ!?」
ダガーがゴブロンの影ごと床石を貫く。
すると、ゴブロンが硬直しながら固まった。
麻痺魔法でも掛けられたかのように顔を引きつらせている。
動けないようだ。
声も出せない様子である。
「おお、固まった」
『固まりましたね』
「これ、なかなか使えるマジックアイテムだな」
こうしてアンドレアの鑑定が終わった。
おそらく実験中の武器がマジックアイテムとして覚醒するのには時間が掛かるのであろう。
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