箱庭の魔王様は最強無敵でバトル好きだけど配下の力で破滅の勇者を倒したい!
19・色の見えかた
俺はハートジャックの案内で森の中を歩いていた。
俺、キルル、ハートジャックの三名で森林を進む。
この三名で人間は一人も居ない。
俺は魔族でキルルはゴーストだ。
ハートジャックはコボルトだからな。
俺たち三名でゴブリンの住み家を訪ねに行くところであった。
森の裏山にある古びた遺跡にだ。
目的は、ゴブリンたちを魔王軍に勧誘するためである。
おそらく平和的に勧誘が進むとは思ってもいない。
むしろ平和的に話が進まないほうが俺的には楽しそうだと思っている。
愉快に越したことはないのだ。
俺向きの展開を期待している。
とにかく暴れたいのが本心だった。
だって、まだまだワンパクな年頃なんだもの。
てへぺろ☆
それはさて置いてだ。
右側に小さな山が見えていて、その山を回り込むように俺たちは森林を進んでいた。
鉈を振るいながら前を進むコボルトのハートジャックに俺は質問する。
「ハートジャック、ゴブリンの住み家まで、あとどのぐらいで到着するんだ?」
ハートジャックが首だけで振り返ると鉈を振るいながら俺に答えた。
「古びた遺跡までは、もう少しで到着しますよ~」
「分かった、もう少しだな」
ハートジャックの言葉を信頼している俺はひたすら彼女の後ろに続く。
そんな感じで俺たちが森の中を進んでいると、キルルが俺に話し掛けてきた。
『あの~、魔王様……』
「なんだ、キルル?」
俺が振り返り後ろを見ると、フワフワと浮きながら付いてきていたキルルが可愛らしい口調で話し掛けてくる。
『あのですね、魔王様……』
キルルは前を歩くハートジャックの背中を見詰めながら何やら考え込んでいた。
言葉をどう紡ごうか悩んでいるようである。
「うぬぬ、キルル。ハートジャックの背中に何か付いているのか?」
『いえ、あのですね……』
何か歯切れが悪い言いようだった。
「はっきり言えよ、キルル。どうかしたのか?」
『あのですね。色が変わったのですよ。ハートジャックさんの……』
「ハートジャックの色が変わった?」
またなんだか可笑しなことを言い出したよ、この僕っ子幽霊少女はさ。
ちょっと天然臭いところがあるから仕方がないか。
まあ、話は聞いてやるよ。
「なんの色が変わったんだ? ハートジャックはモフモフだから肌色なんて見えないぞ? 毛並みでも変わったのか?」
『毛並みとか肌色じゃあなくて、オーラの色が変わったんですよ』
「オーラの色?」
『はい……』
「お前はオーラが見えるのか?」
『はい、左目のオッドアイで見ると、人や動物、それに魔物の色がオーラとなって見えるんですよ』
「変わったオッドアイだな。そもそもオーラが見えるから目の色が違うのか?」
『その辺は詳しく分かりませんが、オーラの違いで人の特性とかが分かるんですよ、僕には』
「へぇ~、便利だな。それでお前にはどう見えているんだ?」
『それで、ハートジャックさんの色は狩人のカラーなんですよね』
「狩人?」
また、具体的なことを言い出したな。
『はい、狩人のカラーです』
「キルルは色で職業が分かるのか?」
『最初に森で出合ったときのハートジャックさんは、魔物の色で真っ黒だったんですが、魔王様の鮮血を舐めてからは色が薄らいで無色に変わって、更に時間が過ぎたら狩人の色に染まりだしたんですよ』
「時間が過ぎてから判別ができるようになったのかな?」
『はい……』
「じゃあ、村のコボルト連中も真っ黒から無色に変わっていたのか?」
『はい、僕にはそう見えてました』
「それが時間が過ぎたら職業の色が見え始めたと?」
『はい、そうなんですよ。こんなの初めてです。こんなに短時間で生き物のカラーが次々変化するなんて初めて見ました』
こいつ、もしかして能力鑑定持ちなんじゃあねえのか?
いや、職業鑑定かな?
この世界のオッドアイって魔眼の一種なんじゃねえの。
この推測は当たっているかもしれんぞ。
「じゃあキルル。キングたちのところに戻ったら、もう一度他の連中もオッドアイで見てみてくれないか。もしかしたら、他の連中も変化があるかも知れないからよ」
『はい、分かりました!』
キルルは明るく可愛く微笑み返した。
すると突然にハートジャックが足を止めてしゃがみ込んだ。
ハートジャックは俺やキルルにも身を屈めろと手で合図を送って来る。
俺はハートジャックの指示に従い身を屈めて気配を消した。
ハートジャックは上を向いて鼻をヒクヒクさせている。
犬の嗅覚で臭いを探っているのだろう。
「どうした、ハートジャック?」
空を見上げたままハートジャックが答える。
「ゴブリンの臭いが風に乗って漂って来ます~。ですが、ゴブリンの遺跡までは、まだ距離があるはずですから、おそらく巡回のゴブリンではないでしょうかね~」
臭いだけで、そこまで分かるとはコボルトの嗅覚も舐めたもんでもないな。
もしかして警察犬並みなのかな?
何せ頭はシベリアンハスキーだもの。
てか、これも狩人の能力なのだろうか?
俺はハートジャックの背中に向かって訊いてみた。
「どっちにゴブリンたちは居るんだ?」
ハートジャックは指で森の奥を指しながら答えた。
「私の前方20メートルほど先を右から左に移動中ですね~」
「なるほど」
それじゃあゴブリンとのファーストコンタクトは俺の輝かしい奇襲からスタートしちゃおうかな。
まずは奇襲で度肝を抜かせて、それから続いて本体を襲撃だ。
プラン的にはコボルトと同じだな。
パターンは単純だが、まだ二回目だもの、まあ、いいだろう。
俺はハートジャックの肩に手を乗せると彼女に言った。
「ハートジャック、お前はあとからついて来い。俺はゴブリンを襲って驚かせてくるからよ」
俺は悪ガキっぽく微笑んだ。
するとハートジャックも嫌らしく微笑み返す。
「私のときと同じパターンですね~!」
「ああ、そうだよ……」
こいつ、状況の把握が正確だな……。
ちょっと悔しさを感じますがな。
ワンパターンだと言われているような気がしてならない。
「分かりました~。私は後ろから慌てるゴブリンを眺めながら微笑ましく見守っていますよ~!」
「おまえ、いい性格してるな……」
「そうですかぁ~?」
ハートジャックはハアハア言いながら微笑んでいた。
尻尾をバタバタと振ってやがる。
テンションが上がってるな~。
俺、キルル、ハートジャックの三名で森林を進む。
この三名で人間は一人も居ない。
俺は魔族でキルルはゴーストだ。
ハートジャックはコボルトだからな。
俺たち三名でゴブリンの住み家を訪ねに行くところであった。
森の裏山にある古びた遺跡にだ。
目的は、ゴブリンたちを魔王軍に勧誘するためである。
おそらく平和的に勧誘が進むとは思ってもいない。
むしろ平和的に話が進まないほうが俺的には楽しそうだと思っている。
愉快に越したことはないのだ。
俺向きの展開を期待している。
とにかく暴れたいのが本心だった。
だって、まだまだワンパクな年頃なんだもの。
てへぺろ☆
それはさて置いてだ。
右側に小さな山が見えていて、その山を回り込むように俺たちは森林を進んでいた。
鉈を振るいながら前を進むコボルトのハートジャックに俺は質問する。
「ハートジャック、ゴブリンの住み家まで、あとどのぐらいで到着するんだ?」
ハートジャックが首だけで振り返ると鉈を振るいながら俺に答えた。
「古びた遺跡までは、もう少しで到着しますよ~」
「分かった、もう少しだな」
ハートジャックの言葉を信頼している俺はひたすら彼女の後ろに続く。
そんな感じで俺たちが森の中を進んでいると、キルルが俺に話し掛けてきた。
『あの~、魔王様……』
「なんだ、キルル?」
俺が振り返り後ろを見ると、フワフワと浮きながら付いてきていたキルルが可愛らしい口調で話し掛けてくる。
『あのですね、魔王様……』
キルルは前を歩くハートジャックの背中を見詰めながら何やら考え込んでいた。
言葉をどう紡ごうか悩んでいるようである。
「うぬぬ、キルル。ハートジャックの背中に何か付いているのか?」
『いえ、あのですね……』
何か歯切れが悪い言いようだった。
「はっきり言えよ、キルル。どうかしたのか?」
『あのですね。色が変わったのですよ。ハートジャックさんの……』
「ハートジャックの色が変わった?」
またなんだか可笑しなことを言い出したよ、この僕っ子幽霊少女はさ。
ちょっと天然臭いところがあるから仕方がないか。
まあ、話は聞いてやるよ。
「なんの色が変わったんだ? ハートジャックはモフモフだから肌色なんて見えないぞ? 毛並みでも変わったのか?」
『毛並みとか肌色じゃあなくて、オーラの色が変わったんですよ』
「オーラの色?」
『はい……』
「お前はオーラが見えるのか?」
『はい、左目のオッドアイで見ると、人や動物、それに魔物の色がオーラとなって見えるんですよ』
「変わったオッドアイだな。そもそもオーラが見えるから目の色が違うのか?」
『その辺は詳しく分かりませんが、オーラの違いで人の特性とかが分かるんですよ、僕には』
「へぇ~、便利だな。それでお前にはどう見えているんだ?」
『それで、ハートジャックさんの色は狩人のカラーなんですよね』
「狩人?」
また、具体的なことを言い出したな。
『はい、狩人のカラーです』
「キルルは色で職業が分かるのか?」
『最初に森で出合ったときのハートジャックさんは、魔物の色で真っ黒だったんですが、魔王様の鮮血を舐めてからは色が薄らいで無色に変わって、更に時間が過ぎたら狩人の色に染まりだしたんですよ』
「時間が過ぎてから判別ができるようになったのかな?」
『はい……』
「じゃあ、村のコボルト連中も真っ黒から無色に変わっていたのか?」
『はい、僕にはそう見えてました』
「それが時間が過ぎたら職業の色が見え始めたと?」
『はい、そうなんですよ。こんなの初めてです。こんなに短時間で生き物のカラーが次々変化するなんて初めて見ました』
こいつ、もしかして能力鑑定持ちなんじゃあねえのか?
いや、職業鑑定かな?
この世界のオッドアイって魔眼の一種なんじゃねえの。
この推測は当たっているかもしれんぞ。
「じゃあキルル。キングたちのところに戻ったら、もう一度他の連中もオッドアイで見てみてくれないか。もしかしたら、他の連中も変化があるかも知れないからよ」
『はい、分かりました!』
キルルは明るく可愛く微笑み返した。
すると突然にハートジャックが足を止めてしゃがみ込んだ。
ハートジャックは俺やキルルにも身を屈めろと手で合図を送って来る。
俺はハートジャックの指示に従い身を屈めて気配を消した。
ハートジャックは上を向いて鼻をヒクヒクさせている。
犬の嗅覚で臭いを探っているのだろう。
「どうした、ハートジャック?」
空を見上げたままハートジャックが答える。
「ゴブリンの臭いが風に乗って漂って来ます~。ですが、ゴブリンの遺跡までは、まだ距離があるはずですから、おそらく巡回のゴブリンではないでしょうかね~」
臭いだけで、そこまで分かるとはコボルトの嗅覚も舐めたもんでもないな。
もしかして警察犬並みなのかな?
何せ頭はシベリアンハスキーだもの。
てか、これも狩人の能力なのだろうか?
俺はハートジャックの背中に向かって訊いてみた。
「どっちにゴブリンたちは居るんだ?」
ハートジャックは指で森の奥を指しながら答えた。
「私の前方20メートルほど先を右から左に移動中ですね~」
「なるほど」
それじゃあゴブリンとのファーストコンタクトは俺の輝かしい奇襲からスタートしちゃおうかな。
まずは奇襲で度肝を抜かせて、それから続いて本体を襲撃だ。
プラン的にはコボルトと同じだな。
パターンは単純だが、まだ二回目だもの、まあ、いいだろう。
俺はハートジャックの肩に手を乗せると彼女に言った。
「ハートジャック、お前はあとからついて来い。俺はゴブリンを襲って驚かせてくるからよ」
俺は悪ガキっぽく微笑んだ。
するとハートジャックも嫌らしく微笑み返す。
「私のときと同じパターンですね~!」
「ああ、そうだよ……」
こいつ、状況の把握が正確だな……。
ちょっと悔しさを感じますがな。
ワンパターンだと言われているような気がしてならない。
「分かりました~。私は後ろから慌てるゴブリンを眺めながら微笑ましく見守っていますよ~!」
「おまえ、いい性格してるな……」
「そうですかぁ~?」
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