体験奇談猫又日記

猫又

吉祥寺体験その二

吉祥寺の風俗街の一角にそのキャバクラは有った。

箱もそこそこ大きく、若い店長を抜擢しキャストも若返り繁盛していた。

店は二階で階段下でボーイが呼び込みしていた。

終電近くになると社長がお出まし、階段下に椅子を置き呼び込みする。

自身は何故か社長に気に入られており、よく社長の隣に座らされ世間話に付き合っていた。

社長のシャツの裾からはモンモンが飛び出し、高い声で優しい口調、いらっしゃ~い!

うちは安心だから~!

といつも声を掛けていた。

誰がどう見ても危ない店なのだが、その一角の名物社長として存在していた為、人気が有った。勿論お客様にもで有る。

因みに、危険地帯だった頃は最悪の象徴の様な社長だったそうだ。(他店の社長談)

そのお店も勿論以前はボッタクリであった。

ただ、スタッフの女性は年齢の割には綺麗な方が多かったそうで、常連客も存在したそうです。

店内の壁は、総鏡張り、薄暗いと言うよりも暗い!
ボーイを呼ぶ際は腕を上げライターの火を付ける昔のキャバレーの流儀を継承していた。

ボッタクリから普通?のお店にシフトチェンジして直ぐの頃。

店内にはボーイ一人、スタッフ二人、客一人。

社長は何時もの階段下で客引き。

深夜にボーイが社長のお使いで出掛けてから突然店内で悲鳴が起こり、女性とお客様が階段を転げ落ちて来た。

何事かと社長が事情を聞くと、女性がボーイを呼ぼうとライターに火を付け手を上げた、中々ボーイが来ない。
お客様とぶつぶつ文句を言い始めた時気が付いた。

ボーイは近くに立っていたのだ。

軽く文句を言いながら用件を伝えるも、軽く頭を下げて立ったまま、その場を動かない。

女性がイラつき強く要求するも動かない。

お客様もイラつき立ち上がり怒鳴り掛けた時、ボーイの脇に別の女性が立っている事に
二人同時に気が付いたそうだ。

あれ?さっきは誰も居なかったのに?
お客様からしたら知らない女性だったそうだ。

二人ほぼ同時に違和感に気が付いた。

そう!その二人は鏡の中に立っているのだ!

恐怖の余り二人同時に店内を飛び出し少し急な階段を転げ落ちた。

事情を聞いた社長はお金を取らずお客様を帰し、戻って来たボーイと三人で店内に。

店内に居たもう一人の女性は膝を抱え泣きながらガタガタ震えていたそう。

店内を明るくし女性二人に再度事情を聞こうとすると、店内に居た女性、実は古株の方で、鏡の二人を知って居ると。

その二人は店内恋愛をした後駆け落ちし二人で無理心中してしまった。

間違いないと。

その後、どんどん人が入れ替わり、店内もそこそこ明るくなり若いスタッフばかりになった。
内装は変わらず、たまに知らない女性を見たと聞く事も有ったが、騒ぎになる事は無かった。

何故駆け落ちし心中した二人が死後、店内に出たのか理由は不明である。

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