今まで俺に冷たくしていた美少女が席替えで隣の席になった途端優しくしてくるんだが

時雨古鷹

第24話  辛かったんだな

「ようやく終わったぁー!」

教室に入った瞬間霧斗はそう叫んだ。すると教室が笑いに包まれた。見ると梨華や茨乃、瞬が霧斗の方を見ていた。さらにはクラスメイトまで……。

「霧斗くん、お疲れ様」

「お疲れ様。瞬……今からちょっと話そうか。聞きたいことがある」

「いいぜーどうせSHRまで時間あるし」

霧斗は瞬をトイレまで連れていくと思っいっきり肩を掴んだ。

「あれって本当なのか?」

「あれって?なんの事だ?」

「俺と一緒に楽器をしていきたいってこと」

「本当だよ。俺、将来の夢ってバンド組むことだったんだ。それで今霧斗に楽器を習ってるんだよ」

「そうなのか。よし瞬今日放課後お前のチャンネル開設するぞ。俺も出て少しは有名にしてやる。まずはそこからだ」

「何をするのか分からんが分かった」

「早く教室に戻ろう。まだ時間はあるが茨乃と梨華にも聞きたいことがあるんでね」

そういいながら霧斗は瞬と教室戻った。廊下に出ると隣のクラスの男子から肩を掴まれた。

「どうしたの?いきなり」

「辛かったんだな」

「えーっと……とりあえず話が見えてこないから一組の教室に入ってから話さない?まだ時間はあるんだし」

いきなり言われて話が見えてこない霧斗は男子と共に教室に入り席に戻った。

「えーっと……ごめん、名前知らないや」

「星櫓だ。もう一度お礼を言う。俺たちを気づかせてくれてありがとう。そして辛かったんだな」

「あー……あの両親が小二の時に亡くなったってこと?」

「そうだ。そして俺たちを気づかせてくれてありがとう」

「気づかせるって?」

「夢を叶えるのに失敗は付き物って事だ」

「それね。別に気にしないでもいいよ」

「ありがとう。それで……放課後二組の皆にピアノを弾いてくれないか?」

「分かった。音楽室に来ればいいかな?」

「ああ。またな」

そう言って星櫓は教室に戻って行った。
本当になんだったのだろう。

「あーっ忘れてた。梨華と茨乃、ちょっと来てくれる?話したいことが」

「いいよー。瞬くんはどうするのー?」

「瞬には話した。そして決まった」

「そうなのね。霧斗君、話ってなんなの?」

「ここではちょっと……屋上行こうか」

霧斗は二人を連れて屋上に行くとベンチに座った。

「あの話って本当なのか?」

「あの話って言われても分からないよ」

「俺と一緒に楽器をしたいってことだよ」

「本当よ」

「本当だよ」

「なら決まりだな。放課後あることをする。さっさと教室に戻ろう」

そう言って二人は教室に戻っていた。

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