喧嘩部屋
一ノ三話「覚悟」
彼女の勧誘にまんまと引っかかってしまった俺だが、それなりの覚悟はある。
普通の喧嘩だってリスクはあるのだ。通常の格闘技でも、絞め技や殺人技は応用されるわけだから、絶対に安全だということは保証されない。だから契約書を挟むのだ。
とりあえず、喧嘩部屋という場所に彼女に案内してもらい、見学することにした。
「こんな狭いところでダラダラと長話しても窮屈なだけだし、見学してもらった方が早いね」
そう言って彼女は背伸びをした。
そのあと、まだ彼女に名前を聞いていなかったので聞くことにした。
彼女の名前は『佐々木麗夢』中学一年生。俺より一つ年下だ。その年で女の子なのに怪しい格闘技の勧誘とか性に合わない。
「さて、そろそろ行くよ」
「あぁ」
俺は、狭い裏路地から出ようとしたが、彼女が急に引き止めてきた。
「ちょっと待って!」
「なんだよ?」
「そっちじゃない」
そっちじゃないって言ったって、逆方向は店舗の塀で行き止まりだ。左右も壁で狭まっている。
「行き止まりじゃねえかよ。どこだよ」
「ちょっと待ってね」
麗夢はそう言って、近くにあるプロパンガスに自分の掌をかざし目を瞑る。
すると、驚くことにプロパンガスと掌の間の空間から歪みが生じ、紫に覆われた歪んだひし形のような穴が現れる。
「おいおい、なんだこれ!?見てはいけないものを見ているような気がするんだが!?」
彼女の超能力らしき能力に少年は唖然とする。
「ふふ。驚くよね。この世ではまだ確立されてない未知の力だからね」
彼女は続けて話す。
「これは異空間の扉というものよ。喧嘩部屋ってのは、この異空間の扉の先に存在する世界にある。君たちの世界でもよく魔界だとか天界だとか、異世界とか超越した話をよく本とかオカルト番組とかで耳にしない?」
「あぁ、確かに聞いたことあるな!って、納得いかんわ!そんなもんいきなり見せられてはいそうですか!なんて言えねえ、なにかのトリックだろこれは!やっぱお前手品師かどこぞの新興宗教の教徒だろ!?」
今、ありえないことが目の前で起こっているのにも関わらず、信じられなかった。急にとんでもないものを見せられて驚かない人間はいない。平凡な日常の中で生きてきたのだから、非日常のことなんて受け入れられないだろう。一種の防衛反応である。
疑う少年に、彼女はため息をついて少年の手を掴んだ。
「はいはい、これだからこの世界は......いいから早く行くよ。」
異空間の扉は次第に大きくなり、中学生の身長でも入れるぐらいのサイズにまでなった。
そのまま彼女は少年の掴んだ手を引っ張って異空間の扉の中に入り込んだ。
普通の喧嘩だってリスクはあるのだ。通常の格闘技でも、絞め技や殺人技は応用されるわけだから、絶対に安全だということは保証されない。だから契約書を挟むのだ。
とりあえず、喧嘩部屋という場所に彼女に案内してもらい、見学することにした。
「こんな狭いところでダラダラと長話しても窮屈なだけだし、見学してもらった方が早いね」
そう言って彼女は背伸びをした。
そのあと、まだ彼女に名前を聞いていなかったので聞くことにした。
彼女の名前は『佐々木麗夢』中学一年生。俺より一つ年下だ。その年で女の子なのに怪しい格闘技の勧誘とか性に合わない。
「さて、そろそろ行くよ」
「あぁ」
俺は、狭い裏路地から出ようとしたが、彼女が急に引き止めてきた。
「ちょっと待って!」
「なんだよ?」
「そっちじゃない」
そっちじゃないって言ったって、逆方向は店舗の塀で行き止まりだ。左右も壁で狭まっている。
「行き止まりじゃねえかよ。どこだよ」
「ちょっと待ってね」
麗夢はそう言って、近くにあるプロパンガスに自分の掌をかざし目を瞑る。
すると、驚くことにプロパンガスと掌の間の空間から歪みが生じ、紫に覆われた歪んだひし形のような穴が現れる。
「おいおい、なんだこれ!?見てはいけないものを見ているような気がするんだが!?」
彼女の超能力らしき能力に少年は唖然とする。
「ふふ。驚くよね。この世ではまだ確立されてない未知の力だからね」
彼女は続けて話す。
「これは異空間の扉というものよ。喧嘩部屋ってのは、この異空間の扉の先に存在する世界にある。君たちの世界でもよく魔界だとか天界だとか、異世界とか超越した話をよく本とかオカルト番組とかで耳にしない?」
「あぁ、確かに聞いたことあるな!って、納得いかんわ!そんなもんいきなり見せられてはいそうですか!なんて言えねえ、なにかのトリックだろこれは!やっぱお前手品師かどこぞの新興宗教の教徒だろ!?」
今、ありえないことが目の前で起こっているのにも関わらず、信じられなかった。急にとんでもないものを見せられて驚かない人間はいない。平凡な日常の中で生きてきたのだから、非日常のことなんて受け入れられないだろう。一種の防衛反応である。
疑う少年に、彼女はため息をついて少年の手を掴んだ。
「はいはい、これだからこの世界は......いいから早く行くよ。」
異空間の扉は次第に大きくなり、中学生の身長でも入れるぐらいのサイズにまでなった。
そのまま彼女は少年の掴んだ手を引っ張って異空間の扉の中に入り込んだ。
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