冥界からの帰還者
8話 世界樹の大森林
世界樹はカース大陸最大の樹であると同時に最古の樹とも言われている。
頂上は雲を突き抜け、大陸全土を見渡す事ができる高さがあり、その根は大陸中に張り巡らされている。
世界樹は樹と言うよりは大精霊に近い存在であり、意思を持っている。
膨大な魔力と生命力を内包しており、その力は神々にすら匹敵する。
世界樹の生命力は周囲の土地にも影響を与えており、世界樹を中心に広大な森を形成している。
その豊穣な土地には、精霊やエルフ達、更には様々な動植物達が集まり共生していた。
ティターニア王国の首都ハープニカは、世界樹の麓に在った。
蔓が編み込まれた様な美しい家が木々にぶら下がっており、まるで自然の中にいるかの様な街並みが続いている。
木々の上に建てられた街の奥にある一際大きな木の上には木そのものが巨大な宮殿の様な形になっており、そこにエルフの女王エルミア・ティターニアは居た。
美しい艶やかな金髪は光の精霊の明かりに照らされて輝きを放っており、エメラルドグリーンに光る目は思慮深さを感じられる。
エルミアの目の前にいるのは1人の老女の姿をした半透明の精霊だった。
「不吉な存在がこの土地に向かって来ています」
老女の言葉は直接エルミアの頭の中に響く。
「不吉な存在ですか?」
「この世に在らざる力を持つ存在は、世界に災いを降り注ぐでしょう」
老女の言葉に、エルミアの表情が強張る。
「では、直ちに討伐隊を編成し、その者を打ちましょう!」
エルミアは即座に敵を排除する為の準備に取り掛かろうとする。
「なりません!」
しかし、老女は強い口調でそれを止めた。
「何故ですか?世界樹様の土地に脅威が迫っているのなら、それを排除するのが私達の役目です!」
「彼に関わってはいけません。彼に手を出せば、この森は消滅するでしょう」
「そ、それ程の存在なのですか?」
「彼がこの森を抜けようとしているのなら、行かせてあげなさい。決して彼の行く手を邪魔してはいけません。良いですか?」
老女の有無を言わさない迫力に、エルミアはごくりと唾を飲む。
老女からは僅かに焦燥と畏怖の感情が漏れ出ていた。
世界樹は神々と並ぶ大精霊だ。
そんな存在が恐る相手とは一体?
エルミアは、事の重大さを理解した。
「かしこまりました。警備隊には即刻、手を出さない様に手配致します」
エルフの女王エルミアは、深々と頭を下げて、部屋を後にした。
「ふぅ、貴方は、この世界で何をしようと言うのですか?魔導王」
〜世界樹の大森林〜
そこは深い森の中だった。
青々しい草花が茂り、木は天を突く勢いで伸びている。
まるで自分が小さくなってしまったのかと錯覚してしまいそうな巨大な森の中を2人の男女が歩いていた。
「ここが世界樹の大森林か」
ジン・クロードは、千年前よりかなり大きくなった世界樹の大森林を見上げる様に眺める。
「気をつけて下さい。ここから先はティターニア王国の領土です」
スノウ・ブリザベートは周囲を警戒しながら後ろを歩いている。
「ティターニア王国って事はエルフ族の縄張りか」
「そうです。彼等は保守的で、侵入者には容赦がありません。接触を避け、気付かれない様に抜けましょう」
スノウの提案には賛成だが、既に手遅れの様だ。
エルフは耳が良く、精霊や植物の声を聴くことができる。
2人の侵入は既に木々を通してエルフ達に伝わっていた。
ヒュンッ!
風を切る音と共にジン・クロードへと矢が飛んできた。
しかし、矢はジンに触れる寸前で消え去ってしまう。
「囲まれているな」
森の中には複数のエルフ達が身を潜めており、こちらへ矢を向けていた。
「不味いですね」
スノウは全身から魔力を放ち戦闘態勢に入ろうとしていた。
「止まれ!ここはエルフの領土、貴様達を不法侵入の罪で逮捕する!」
エルフ警備隊のリーダーの女性が警告してきた。
エルフだけあって美しい。
あんな彼女と付き合えたら魔術大学でも青春ライフを送れんだろうな。
「害意は無い。人間の領土に行くために通り過ぎたいだけだ」
ジン・クロードは両手を上げて敵意が無い事を説明する。
「信じられんな!連れの女からは強大な魔力を感じる。何が目的で我らの領土に来たか捕まえて尋問する!」
エルフは全く聴く耳持たないって感じだ。
あんな綺麗なお姉さんなら尋問して貰いたい気もするが、今は先を急いでいる。
ここで時間を潰すわけにもいかない。
「すまないが、先を急いでいるんだ。捕まるわけにはいかない」
その瞬間、5人のエルフ警備隊が木の上から降下し、ジンとスノウを取り囲んで矢を構えた。
「抵抗すれば、即座に殺す!」
面倒な事になった。
頂上は雲を突き抜け、大陸全土を見渡す事ができる高さがあり、その根は大陸中に張り巡らされている。
世界樹は樹と言うよりは大精霊に近い存在であり、意思を持っている。
膨大な魔力と生命力を内包しており、その力は神々にすら匹敵する。
世界樹の生命力は周囲の土地にも影響を与えており、世界樹を中心に広大な森を形成している。
その豊穣な土地には、精霊やエルフ達、更には様々な動植物達が集まり共生していた。
ティターニア王国の首都ハープニカは、世界樹の麓に在った。
蔓が編み込まれた様な美しい家が木々にぶら下がっており、まるで自然の中にいるかの様な街並みが続いている。
木々の上に建てられた街の奥にある一際大きな木の上には木そのものが巨大な宮殿の様な形になっており、そこにエルフの女王エルミア・ティターニアは居た。
美しい艶やかな金髪は光の精霊の明かりに照らされて輝きを放っており、エメラルドグリーンに光る目は思慮深さを感じられる。
エルミアの目の前にいるのは1人の老女の姿をした半透明の精霊だった。
「不吉な存在がこの土地に向かって来ています」
老女の言葉は直接エルミアの頭の中に響く。
「不吉な存在ですか?」
「この世に在らざる力を持つ存在は、世界に災いを降り注ぐでしょう」
老女の言葉に、エルミアの表情が強張る。
「では、直ちに討伐隊を編成し、その者を打ちましょう!」
エルミアは即座に敵を排除する為の準備に取り掛かろうとする。
「なりません!」
しかし、老女は強い口調でそれを止めた。
「何故ですか?世界樹様の土地に脅威が迫っているのなら、それを排除するのが私達の役目です!」
「彼に関わってはいけません。彼に手を出せば、この森は消滅するでしょう」
「そ、それ程の存在なのですか?」
「彼がこの森を抜けようとしているのなら、行かせてあげなさい。決して彼の行く手を邪魔してはいけません。良いですか?」
老女の有無を言わさない迫力に、エルミアはごくりと唾を飲む。
老女からは僅かに焦燥と畏怖の感情が漏れ出ていた。
世界樹は神々と並ぶ大精霊だ。
そんな存在が恐る相手とは一体?
エルミアは、事の重大さを理解した。
「かしこまりました。警備隊には即刻、手を出さない様に手配致します」
エルフの女王エルミアは、深々と頭を下げて、部屋を後にした。
「ふぅ、貴方は、この世界で何をしようと言うのですか?魔導王」
〜世界樹の大森林〜
そこは深い森の中だった。
青々しい草花が茂り、木は天を突く勢いで伸びている。
まるで自分が小さくなってしまったのかと錯覚してしまいそうな巨大な森の中を2人の男女が歩いていた。
「ここが世界樹の大森林か」
ジン・クロードは、千年前よりかなり大きくなった世界樹の大森林を見上げる様に眺める。
「気をつけて下さい。ここから先はティターニア王国の領土です」
スノウ・ブリザベートは周囲を警戒しながら後ろを歩いている。
「ティターニア王国って事はエルフ族の縄張りか」
「そうです。彼等は保守的で、侵入者には容赦がありません。接触を避け、気付かれない様に抜けましょう」
スノウの提案には賛成だが、既に手遅れの様だ。
エルフは耳が良く、精霊や植物の声を聴くことができる。
2人の侵入は既に木々を通してエルフ達に伝わっていた。
ヒュンッ!
風を切る音と共にジン・クロードへと矢が飛んできた。
しかし、矢はジンに触れる寸前で消え去ってしまう。
「囲まれているな」
森の中には複数のエルフ達が身を潜めており、こちらへ矢を向けていた。
「不味いですね」
スノウは全身から魔力を放ち戦闘態勢に入ろうとしていた。
「止まれ!ここはエルフの領土、貴様達を不法侵入の罪で逮捕する!」
エルフ警備隊のリーダーの女性が警告してきた。
エルフだけあって美しい。
あんな彼女と付き合えたら魔術大学でも青春ライフを送れんだろうな。
「害意は無い。人間の領土に行くために通り過ぎたいだけだ」
ジン・クロードは両手を上げて敵意が無い事を説明する。
「信じられんな!連れの女からは強大な魔力を感じる。何が目的で我らの領土に来たか捕まえて尋問する!」
エルフは全く聴く耳持たないって感じだ。
あんな綺麗なお姉さんなら尋問して貰いたい気もするが、今は先を急いでいる。
ここで時間を潰すわけにもいかない。
「すまないが、先を急いでいるんだ。捕まるわけにはいかない」
その瞬間、5人のエルフ警備隊が木の上から降下し、ジンとスノウを取り囲んで矢を構えた。
「抵抗すれば、即座に殺す!」
面倒な事になった。
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