羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。
6章:突然訪れた夜(6)
先輩は優しく私の髪をなでると、
「みゆは、あれから誰かとつきあったりした?」
と言い出した。私の心臓の音はまた大きくなる。
「できるはず……ないでしょう」
私は続ける。「好きになれそうな人はいたけど、あれから恋愛すらまともにできなかったですから。あの事故の後悔のせいで」
そう言うと、先輩は嬉しそうに笑う。
「そう、良かった」
「なにが」
「みゆのハジメテは俺がもらえるってことでしょう」
(なにを急に言いだしたーーーー )
「だれがあげるって言いましたかぁああああああ 」
叫んでも、先輩は心底不思議そうな顔で、
「え? なんで?」
と問うてくる。
「むしろその質問がなんでなんですか」
「だって、みゆは、俺が忘れられなくて恋愛できなかったんでしょう」
「そうですけど、ちょっとニュアンスが違う気がします」
「なら、恋愛するなら俺でないと無理ってことだよね」
「……せ、先輩とだって」
無理です、と言うより先、
「俺もみゆしか無理だよ。みゆにしか反応しないって言ったでしょう?」
思わず先輩の顔を見た。
(どうしよう……)
初めて聞いたときは、悪夢だと思った。
でも今は……同じそのセリフで、こんなにキュンときてしまっている!
泣きそうになると先輩は私の唇を撫でる。
先ほどの中途半端なキスも相まって、私の身体はなんだかおかしいほど熱くなっていた。
「ここにいるのは俺とみゆだけだよ。誰も見てない」
「……誰もって……」
「みゆ、ごめん」
その時、ぎゅう、と強く抱きしめられる。
そして耳元で、「やっぱみゆの匂い、予想以上に……くるな」
そう言われて耳朶を甘噛みされた。
「ひゃぁっ……!」
自分から聞いたこともない、変に甘い声が出て、またそれにも泣きそうになる。
先輩はそんな私の頬を困ったように撫でると、
「ごめん、これ以上すると、止まれないかもしれない」
と言った。
その意味は、私にもわかる。
初めてだし怖い、どうしたらいいかわからない。
でも……。
私が固まっていると、先輩は私の髪をなで、私の額に自分の額を合わせた。
そのしぐさに安心している自分がいる。
「……みゆ? ほんとにいいの?」
そのまま口づけられる。
それがまた軽いキスで、まだもっと、と思ったところで先輩の唇は離れた。
「先輩っ……もっと……」
そうつぶやいてしまって、激しく動揺する。「い、今のは……!」
なのに先輩は楽しそうに笑うと、また私に口づけ、そして唇を離すと、まっすぐな目で私の目を捉えた。
「絶対に優しくする。だからね、みゆのハジメテの相手が俺だってこと、ちゃんと見てて。覚えてない、なんて言わせないから」
どういう意味、と問おうとしたところで先輩の唇が首筋に埋まる。
太ももを撫でる手に、あの時のことを思い出して一瞬身体を固くしたけど、あの時のような嫌悪感もなく、ただ、触れられる部分が全部熱を持ったみたいに、もっと触ってほしい、と不埒なことが頭をよぎった。
「私……」
「みゆ、どうしても無理なら言って」
先輩が自分のネクタイを少し乱暴に引き抜く。そしてまっすぐ私を見つめると、
「逃げるなら、今だよ」
と低い、切羽詰まった声で言った。
私はどうしていいのかわからずに一瞬固まったのに、私の手だけは勝手に動いて、先輩の背中のシャツを掴んでいた。
「みゆは、あれから誰かとつきあったりした?」
と言い出した。私の心臓の音はまた大きくなる。
「できるはず……ないでしょう」
私は続ける。「好きになれそうな人はいたけど、あれから恋愛すらまともにできなかったですから。あの事故の後悔のせいで」
そう言うと、先輩は嬉しそうに笑う。
「そう、良かった」
「なにが」
「みゆのハジメテは俺がもらえるってことでしょう」
(なにを急に言いだしたーーーー )
「だれがあげるって言いましたかぁああああああ 」
叫んでも、先輩は心底不思議そうな顔で、
「え? なんで?」
と問うてくる。
「むしろその質問がなんでなんですか」
「だって、みゆは、俺が忘れられなくて恋愛できなかったんでしょう」
「そうですけど、ちょっとニュアンスが違う気がします」
「なら、恋愛するなら俺でないと無理ってことだよね」
「……せ、先輩とだって」
無理です、と言うより先、
「俺もみゆしか無理だよ。みゆにしか反応しないって言ったでしょう?」
思わず先輩の顔を見た。
(どうしよう……)
初めて聞いたときは、悪夢だと思った。
でも今は……同じそのセリフで、こんなにキュンときてしまっている!
泣きそうになると先輩は私の唇を撫でる。
先ほどの中途半端なキスも相まって、私の身体はなんだかおかしいほど熱くなっていた。
「ここにいるのは俺とみゆだけだよ。誰も見てない」
「……誰もって……」
「みゆ、ごめん」
その時、ぎゅう、と強く抱きしめられる。
そして耳元で、「やっぱみゆの匂い、予想以上に……くるな」
そう言われて耳朶を甘噛みされた。
「ひゃぁっ……!」
自分から聞いたこともない、変に甘い声が出て、またそれにも泣きそうになる。
先輩はそんな私の頬を困ったように撫でると、
「ごめん、これ以上すると、止まれないかもしれない」
と言った。
その意味は、私にもわかる。
初めてだし怖い、どうしたらいいかわからない。
でも……。
私が固まっていると、先輩は私の髪をなで、私の額に自分の額を合わせた。
そのしぐさに安心している自分がいる。
「……みゆ? ほんとにいいの?」
そのまま口づけられる。
それがまた軽いキスで、まだもっと、と思ったところで先輩の唇は離れた。
「先輩っ……もっと……」
そうつぶやいてしまって、激しく動揺する。「い、今のは……!」
なのに先輩は楽しそうに笑うと、また私に口づけ、そして唇を離すと、まっすぐな目で私の目を捉えた。
「絶対に優しくする。だからね、みゆのハジメテの相手が俺だってこと、ちゃんと見てて。覚えてない、なんて言わせないから」
どういう意味、と問おうとしたところで先輩の唇が首筋に埋まる。
太ももを撫でる手に、あの時のことを思い出して一瞬身体を固くしたけど、あの時のような嫌悪感もなく、ただ、触れられる部分が全部熱を持ったみたいに、もっと触ってほしい、と不埒なことが頭をよぎった。
「私……」
「みゆ、どうしても無理なら言って」
先輩が自分のネクタイを少し乱暴に引き抜く。そしてまっすぐ私を見つめると、
「逃げるなら、今だよ」
と低い、切羽詰まった声で言った。
私はどうしていいのかわからずに一瞬固まったのに、私の手だけは勝手に動いて、先輩の背中のシャツを掴んでいた。
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