羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。
4章:あの事件ととんでもない告白(6)
「……はい?」
「まぁ、つまり不能」
「ふ、ふのう……」
私は繰り返す。すると先輩は楽しそうに頷いた。
不能ってあれですよね。あれがアレできないあれですよね……。
あれって言いすぎて私もよくわかっていないけど……。
完全に戸惑う私に、先輩は続ける。
「で、うちはね……。まぁ、ちょっと色々あって、俺には子どもが必要でさ。あ、もちろん今すぐじゃないよ? 将来的に、って話」
「……子ども」
自然にごくりと唾をのむ。
「なのに俺はまったく女性に反応しなくなった。心理カウンセリングとか病院とか、怪しげなおまじないとか、催眠とかね。とにかくこの12年間、ありとあらゆるものを試したわけ。でもだめだった」
「そ、そうなのですか……」
私が言うと、場がしーんと静まる。
やっぱそれって私の『飛び蹴り』が原因ってことだよね……。
女の子、しかも後輩に飛び蹴りされて入院したことが、先輩の心の傷として残り、だから、あれがアレできないのだろうか……? ってそもそも、私にもそのあたりはよくわからないけど……。
「でもね、あの日、ホウオウビルで、みゆに会って」
先輩は私の目を捉える。「みゆにすごく欲情した自分に気づいた」
そんなことをはっきり言われて、私は戸惑うしかない。
そもそも今、私は、一体何の告白を聞いているのだろうか? 不思議で仕方ない。
「……え、ええっと……」
でもつまりは、私に反応したってこと?
アレできない、あれが。
「それでも、やっぱり、みゆ以外の女性には反応しないんだよ。みゆの匂いとか、声とか、その中でも、特に涙目で睨んでくる目とか……反応すごくてさ」
そんなこと真顔で言わないでよぅ!
しかも内容は残念でも、顔面はイケメンだ……! 超絶イケメンだ……!
「私と会ってから他の女性は…… 」
「一度、高級クラブの女性に接近してもらったのだけど」
「で……?」
「だめだった」
先輩はあっさり言う。
「……お、おう……」
私は戸惑いながら頷く。なんだか頭痛くなってきた……。
「でも、夜に家で、みゆのあの目を想像してたら……」
「ちょ、もう、もう、やめてください……! わかりましたから!」
私は慌てて話をうち切った。どうしていいかわからないけど、とんでもない話なのは間違いない。
「とにかく俺はみゆにしか反応しない身体になったんだ」
「なんですか、その話。ファンタジーですか……」
私は思わずツッコむ。いや、ほんと、そんなことある?
ファンタジーとしか言いようがない。
でも、もし本当だったら……それは大変なことかもしれない。
だってさっき、『子どもが必要だ』って言ってたから……。ってそれも理由はよくわからないけど。
私が足を引くと、先輩は笑って私の髪を撫でる。
「でも、みゆもまだ俺のこと、好きだよね?」
「ひっ……」
私はぶんぶんと首を横に振った。「き、嫌いですって! 金曜も言いましたよね 」
「本当は最後まで試したいんだけど」
「絶対いやです!」
泣きそうに、いや、泣きながら叫ぶ。
(なんでそんなお試しで、先輩に私のハジメテを捧げなきゃなんないのよーーー!)
先輩は不思議そうに首をかしげると、
「でもそもそもこの現象の原因って、『みゆの飛び蹴り』だよね?」
「関係あります? ほんとに? ほんとに飛び蹴り関係あります 」
「そうに決まってるでしょう」
先輩はやけにきっぱりと言った。なぜ急に強気になるんだ。
そう思った瞬間、腕を引かれて、先輩の胸の中に押し込められる。
こんな変な話、誰が信じるのだろう。
でも、先輩が嘘を言っているようにも見えなくて……私はその場に固まっていた。
「だから、みゆ。諦めて俺と結婚してくれない?」
(のぉぉおおおおおおおーーーーーーーー!)
その時、その場で大声で叫ばなかったことだけは、その日の自分をほめてやりたいと今でも思ってる。
「まぁ、つまり不能」
「ふ、ふのう……」
私は繰り返す。すると先輩は楽しそうに頷いた。
不能ってあれですよね。あれがアレできないあれですよね……。
あれって言いすぎて私もよくわかっていないけど……。
完全に戸惑う私に、先輩は続ける。
「で、うちはね……。まぁ、ちょっと色々あって、俺には子どもが必要でさ。あ、もちろん今すぐじゃないよ? 将来的に、って話」
「……子ども」
自然にごくりと唾をのむ。
「なのに俺はまったく女性に反応しなくなった。心理カウンセリングとか病院とか、怪しげなおまじないとか、催眠とかね。とにかくこの12年間、ありとあらゆるものを試したわけ。でもだめだった」
「そ、そうなのですか……」
私が言うと、場がしーんと静まる。
やっぱそれって私の『飛び蹴り』が原因ってことだよね……。
女の子、しかも後輩に飛び蹴りされて入院したことが、先輩の心の傷として残り、だから、あれがアレできないのだろうか……? ってそもそも、私にもそのあたりはよくわからないけど……。
「でもね、あの日、ホウオウビルで、みゆに会って」
先輩は私の目を捉える。「みゆにすごく欲情した自分に気づいた」
そんなことをはっきり言われて、私は戸惑うしかない。
そもそも今、私は、一体何の告白を聞いているのだろうか? 不思議で仕方ない。
「……え、ええっと……」
でもつまりは、私に反応したってこと?
アレできない、あれが。
「それでも、やっぱり、みゆ以外の女性には反応しないんだよ。みゆの匂いとか、声とか、その中でも、特に涙目で睨んでくる目とか……反応すごくてさ」
そんなこと真顔で言わないでよぅ!
しかも内容は残念でも、顔面はイケメンだ……! 超絶イケメンだ……!
「私と会ってから他の女性は…… 」
「一度、高級クラブの女性に接近してもらったのだけど」
「で……?」
「だめだった」
先輩はあっさり言う。
「……お、おう……」
私は戸惑いながら頷く。なんだか頭痛くなってきた……。
「でも、夜に家で、みゆのあの目を想像してたら……」
「ちょ、もう、もう、やめてください……! わかりましたから!」
私は慌てて話をうち切った。どうしていいかわからないけど、とんでもない話なのは間違いない。
「とにかく俺はみゆにしか反応しない身体になったんだ」
「なんですか、その話。ファンタジーですか……」
私は思わずツッコむ。いや、ほんと、そんなことある?
ファンタジーとしか言いようがない。
でも、もし本当だったら……それは大変なことかもしれない。
だってさっき、『子どもが必要だ』って言ってたから……。ってそれも理由はよくわからないけど。
私が足を引くと、先輩は笑って私の髪を撫でる。
「でも、みゆもまだ俺のこと、好きだよね?」
「ひっ……」
私はぶんぶんと首を横に振った。「き、嫌いですって! 金曜も言いましたよね 」
「本当は最後まで試したいんだけど」
「絶対いやです!」
泣きそうに、いや、泣きながら叫ぶ。
(なんでそんなお試しで、先輩に私のハジメテを捧げなきゃなんないのよーーー!)
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「でもそもそもこの現象の原因って、『みゆの飛び蹴り』だよね?」
「関係あります? ほんとに? ほんとに飛び蹴り関係あります 」
「そうに決まってるでしょう」
先輩はやけにきっぱりと言った。なぜ急に強気になるんだ。
そう思った瞬間、腕を引かれて、先輩の胸の中に押し込められる。
こんな変な話、誰が信じるのだろう。
でも、先輩が嘘を言っているようにも見えなくて……私はその場に固まっていた。
「だから、みゆ。諦めて俺と結婚してくれない?」
(のぉぉおおおおおおおーーーーーーーー!)
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