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名無しの(仮)ヒーロー

海月三五

労多くして功少なし 1

「夏希ちゃん、準備出来ている?」

 紗月の声が玄関から聞こえてきた。

「準備出来ているよ。そこに置いてあるし」

 乳幼児を連れての2泊3日の旅。車だからオムツパックを丸ごと詰んで、着替えも汚しても大丈夫なように多めに将嗣の田舎は東北だから上に羽織る物とか考えていたら結構な量になってしまった。

 その山盛りの荷物を見て紗月は特大なため息を吐いた。

「もう、バカなの? イマドキの田舎はチェーン店が進出しているんだからなんでも買えるんだよ。荷物を少し減らしなよ」

「子供の事を考えると買いに行く時間も考えちゃうの。大目にみて!」

 そう、子供が服を濡らしたら直ぐに着替えさせないと風邪を引くとか、皮膚が炎症を起こすとか、そんなの取り越し苦労だとは思いながらもつい荷物が増えてしまった。

「もうすぐ、約束の時間だし入れ直す時間もないか、しょうがないなぁ」

「そうそう、親バカだからしょうがないの」

「美優ちゃんは愛されているなぁ」
 
 美優のオムツを取り換えて準備も万端。
 
 ピンーポン 

「はーい」と玄関に一番近いところにいた紗月がドアを開けた。

「園原さん、今日はよろしくお願いします」

「いや、こちらこそよろしく、付き合わせてしまって悪いね」
と紗月に挨拶をしてから私に向かって言う。
「夏希、荷物詰むけど これでいいのか?」

「はーい、よろしく」
って、明るく返事をしたけれど、私も将嗣に付き合って仕方なく行くんですけどね。
 まあ、これも美優の為と思えば、仕方ない。

 美優がいなければ将嗣との関係も別れた時点で切れていだろう。そして、朝倉先生との運命的な出会いもなかっただろう。
 そう思うと不思議な感じがする。

 よく親は子供に育てられているとかいうけれど、確かに子供が居なけれ考えなかったことが沢山あって、子育てによって親も成長していく。
 今回の将嗣の田舎に行って御両親に会うということも美優や私にとって何かプラスの方向に向かってくれることを願った。

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