話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

名無しの(仮)ヒーロー

海月三五

待てば海路の日和あり 3

 
 夕飯は、朝倉先生が手料理を振舞ってくれると言って、キッチンに入っていった。エプロンを付けた朝倉先生もまた魅力的。袖をまくりシャツから出ている腕がセクシーに見えて、ちょっとした事にドキドキしている。
「作っている間にお風呂入ってくれば?」
 と言われ、ひゃー。と思ったが、美優が眠くならないうちにお風呂に入った方が良いとの配慮。
 考えすぎの自分が恥ずかしい。

 自分の家のお風呂よりゆったりとしたバスルームに入ると、男性ならではシャンプーやアメニティーにもドキドキして、これは、これで、もう、落ち着かない。
 どうしたって、意識してしまう。

 しかし、いざ、美優とお風呂に入っていると危なっかしくて目が離せないし、自宅と違って幼児用のベルトが付いたお風呂椅子もない。
 転んで頭でも打ったら大事になってしまうから、手も目も離すことが出来ず、邪な考えも浮かばないほど、洗い場では必死で美優の体を洗い、広いバスタブの中で支えた。

 大急ぎで自分の体を洗って、美優がのぼせないうちにお風呂から上がった。ベビー用のお風呂イスがない状態でお風呂に入れるのが、こんなに大変だとは思わなかった。
 脱衣場で美優をバスタオルで包み。パジャマを着せる。自分もこの日のために買ったルームウエアで、いつものスエット姿より少しは可愛く見えたらいいな。

「お先に、お風呂ありがとうございます」
 
「ちょうど、出来たよ」

 朝倉先生の笑顔で迎えられた。
 テーブルの上には、ベーコンとキャベツのクリームパスタ、サラダ、白身魚のカルパッチョが並んでいた。

「美味しそう。お料理まで出来るなんてすごい」

「簡単なものならね」

 朝倉先生は謙遜するけど
 イケメン・イケボ・才能・そして、料理まで

 尊い……。

「美優ちゃんには、ミルクのキャベツとジャガイモのパスタだよ」

 なんと、離乳食まで用意してくれるとは
 神か?
 尊すぎる……。

 乳幼児がいると食事もままならない。ベビーチェアがあれば、ソコに子供座らせどうにか食事も出来るが、家庭用のダイニングテーブルとチェアでは抱えて食べさせるしか無い。
 美優を抱えテーブルに付くと朝倉先生が手を差し伸べる。
「美優ちゃん預かるから食事どうぞ」

「とんでもない、翔也さんこそ先に召し上がって下さい」
 食事まで作ってもらって、先に食べるなんて事出来ない!
 
「じゃあ、食べたら交代だよ」
朝倉先生は少し困った顔をして、食事を始めてくれた。ホッとして美優に離乳食を食べさせ始める。
 野菜もホロリと崩れる柔らかさ、パスタも短く軽く潰されて食べやすくなっていた。

 その朝倉先生の手作りのパスタがよほど美味しいのか、美優はペロリと食べて満足したのかウトウトと船を漕ぎ始めた。

 

「名無しの(仮)ヒーロー」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く