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名無しの(仮)ヒーロー

海月三五

和を持って貴しとなす 1

 
 スマホが短い音楽を鳴らし、画面に視線を落とす。メールが届いたお知らせだった。表示を見てワクワクしながらタップして画面開くと、朝倉先生からお誘いで、お宅に遊びに行く事になった。
 『はい、伺います』と返事をしたものの緊張する。

 早速、支度をして美優を連れて車に乗り込んだ。途中お土産を買いにちょっと高級なスーパーに寄った。
 一人暮らしの男性のお宅に行くのに何を持って行ったら良いのか、迷いに迷って、結局、お店の人のオススメの「クレマン・ダルザス・ブリュット・キュヴェ・マネキネコ」という猫の絵のラベルがかわいいスパーリングワインを持って行く事にした。これで、手土産はカンペキ!

 教えてもらったマンションの部屋番号をエントランスホールで入力すると
「いらっしゃっい。開けたよ」と朝倉先生のイケボがインターフォン越しに聞こえ、エントランスの扉が開いた。

 ピカピカに磨き上げられた大理石の床をコツコツと歩き、エレベーターのスイッチを押すと、待ち構えていたようにスッとドアが開く。高級マンションの雰囲気に飲まれたのかドキドキして来た。

 美優は、只今腕の中で、すやすやお昼寝タイムで気持ち良さそう寝息を立てている。
 指定の階に到着し、部屋の部屋の前に着くと大きく深呼吸をした。

 インターフォンを押すと、ドアが開く。 
「いらっしゃい。夏希さん」
 見目麗しい朝倉先生が優しい笑顔で出迎えてくれた。

「こんにちは、朝倉先生」

「呼び方が、戻っているよ」
 と言われ、焦って呼び直す

「翔也……先生」

 改めて意識して呼ぶと、こそばゆい感じがする。

「美優ちゃん、眠っているんだね。預かるよ」

 朝倉先生に美優を抱いてもらい。おじゃましますと上がり込んだ。
 案内されて通されたリビングは、20畳ぐらいの広さで、アジアンテイストのセンスのよいソファーセットとグリーンがおしゃれに配置され落ち着いた空間になっていた。その空間の端にベビーベッドが置かれていて、美優が寝かされた。

 まさか、美優のためにベビーベッドを用意して置いてくれるなんて思いもよらず、朝倉先生の優しさに驚くばかり。

「翔也先生、美優にベッドを用意してくださったんですか?」

「使ってないベッドがあったから組み立てておいたんだ。それより、今日はプライベートで会っているんだよ」

 私は、もちろんそのつもりで来たから朝倉先生が念押しした意味が解らず、
頭の中は「?」でいっぱいになった。

「名前に先生は、いらないよね」
 と言われ、「あっ!」と思ったけれど、いざ、名前を呼ぶのが恥ずかしい。

「し、翔也さん」
 

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