S級スキル【竜化】持ちの俺、トカゲと間違われて実家を追放されるが、覚醒し竜王に見初められる。今さら戻れと言われてももう遅い。お前たちは、俺たちの属国として面倒を見てやるよ

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

49話 本当のことを言え。次は殺す

 ミルカを襲っていた盗賊の男二人を撃破した。
 一人は気絶しているが、もう一人は無事だ。
 彼が這って逃げようとする。

「おい、待てよ」

 俺はそう言いつつ、男の前に回り込む。

「た、頼む! 命だけは!」

 男は土下座してそう懇願する。
 みっともないな。
 プライドはないのかね。

「盗賊風情が何を言う。今までに散々罪を犯してきただろう?」

 俺は冷たい目を向ける。

「あ……う……」

 それを見た男が、言葉を失う。

「だがまあ、お前の態度次第では考えてやらんでもない。お前には聞きたいことがある。アジトの構造とか、仲間の数とか」

「そ、それは言えん! 言ったら殺される!」

「ほう。言えないか」

 俺は男の髪を掴んで持ち上げる。

「い、痛い! やめてぐれぇ!!」

 男が悲鳴を上げる。

「言わないなら、死ね」

 ボウッ!
 俺は火魔法を発動させ、男の右腕を焼却する。

「ああああああ!!!」

 男が絶叫をあげる。

「や、止めでくれ!! 言うから! 何でも話すから!!」

「ふうん。どんなことを話すって?」

「だから、仲間の数と、アジトの構造だよ! 全部教えっ! 教える!!」

「なるほど。じゃあ、話せ」

「うっ……ぐ……。俺たちは全部で十人くらいの集団だ……。アジトは一本道だから迷うことはない……」

「嘘をつくんじゃねえよ」

 俺は男の左腕を焼却する。

「あああ!!!」

 男が苦痛に顔を歪める。
 実際のところ、俺の探知能力により大まかな人数やアジトの構造は分かっている。
 あくまで念の為に尋問しているだけだ。

「本当のことを言え。次は殺す」

「ア、アジトはこの洞窟を左手に沿って歩いていけば着く! 最奥部には、30人ぐらいの仲間がいる!」

「他に仲間は?」

「裏口に数人配置されているぐらいだ! 後はいねえ。俺が知っているのはこれで全てだ! 信じてくれよぉ」

 泣き顔になる男。
 まあ、これでも充分情報は得られたが……。

「ライルさま!」

 俺の背後に控えていたミルカが声をかけてくる。
 囮作戦は終えたが、まだ全裸のままだ。
 そういえば、服を持ってくるのを忘れたな。

「ミルカか。こいつを尋問して情報を得られたぞ」

「さすがでございます! ……それでその男たちはどういたします?」

 ミルカが男たちを一人ずつ見て尋ねる。
 片方は、俺が両腕を焼却して尋問しているところだ。
 もう一人は、俺の初撃で泡を吹いて気絶している。

「そうだな。まあ、この場で殺しても構わないんだが、生け捕りにしておいた方が今後何かに役立つかもしれんな」

「では、アタシにお任せいただけないでしょうか?」

 ミルカが提案してくる。

「お前にか? ふむ。いいだろう。やってみろ」

「ありがとうございます!」

 そう言って、ミルカは男に近づく。
 いったい何をしようというのか。
 見守ることにしよう。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品