S級スキル【竜化】持ちの俺、トカゲと間違われて実家を追放されるが、覚醒し竜王に見初められる。今さら戻れと言われてももう遅い。お前たちは、俺たちの属国として面倒を見てやるよ

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

40話 村に到着

 しばらく歩き、村に到着した。
 空から見たときも思ったが、やはりこの村は寂れている。
 村人たちは皆痩せ細っており、活気がない。

「村長はいるか?」

 俺は村人の一人に声をかける。

「あ、あんたたちは一体……」

 村人たちが警戒心をあらわにする。

(ふむ……。まあ、無理もないな)

 いきなりやってきた人間が、自分たちに話しかけてきたのだ。
 怪しく思われても仕方ない。
 だが、今は少しでも情報が欲しい。

「俺たちは冒険者だ。依頼があってこの地に来た。村長と話をさせてくれ」

 俺の言葉を聞いて、男の顔色が少し変わった。

「冒険者の方々ですか……。わかりました。すぐに呼んできましょう」

 ちょうどその言葉を合図にしたかのように、一人の老人が現れた。

「私がこの村の長です。遠路はるばるようこそおいで下さいました」

「おう。俺はライルというものだ。こちらは仲間の……」

 俺がそこまで言ったところで、後ろから声がした。

「我はリリアじゃ。よしなに頼むのじゃ」

「私はアイシャと申します。ストレアの冒険者ギルドの所属です」

 今さらだが、この女の名前はアイシャか。
 始めて知った。
 いや、今までも会話の節々で出ていたような気もするが……。
 あまり興味がないので意識の外にあった。
 今は、従順なペットとしての愛情は感じている。
 名前ぐらいは覚えてやってもいいだろう。

「三名様で全員でしょうか?」

「ああ。そうだ」

「ええっと。依頼書に不備があったのでしょうか……。相手は数十人の盗賊団なのですが……」

 村長が困惑した表情を見せる。

「いや、人数は問題ではない。俺たちにかかれば、盗賊団など相手にならないからな。むしろ少人数の方が好都合だ」

「そ、そうなのですか。念のため、冒険者ランクを伺っても?」

「俺はCランクだ」

「我はDランクじゃの」

「私にランクはありません。しかし、Cランク相当の認定を受けています」

 俺、リリア、アイシャがそれぞれそう答える。

「なるほど……。CランクとDランク。それに、アイシャ殿は冒険者ギルド直属の職員でしたか……。しかしそれでも、相手は数十人の盗賊団です。厳しいように思えるのですが……」

 村長がなおも懸念を示す。

「問題ない。俺がCランクにとどまっているのは、冒険者ギルドに登録して間もないからだ」

「我も似たようなものじゃな」

 俺とリリアがそう言う。

「このお二方がおっしゃっていることは本当です。ストレアの冒険者ギルドの職員として、それは保証します。おそらくはBランク……いえ、Aランク以上の実力があると見ています」

 アイシャがそう補足する。
 Aランクといえば、各国に数人しかいないと言われる実力者だ。
 俺の弟ガルドも、冒険者ランクで言えばAランク相当だったはずである。

「なんと! Bランク以上とは……。失礼しました。それなら問題はなさそうですね」

 村長はあっさりと信じてくれた。

「それなら、さっそく……」

 盗賊団の情報を話してもらおう。
 俺はそう思った。
 しかし……。

「おうおう! ちょっと待てや! 黙って聞いてりゃ、デタラメばかり言いやがってよぉ!!」

 そんな大声と共に、一人の少女が現れた。
 ずいぶんとガラの悪い少女だな?
 やれやれ。
 どうなることやら。

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