【完結】ロリコンなせいで追放された魔術師、可愛い愛弟子をとって隣国で自由気ままに成りあがるスローライフ!
第19話 恐ろしき噂
「皆さん! この人たちが勝手に森に入らないように見ていてくださいっ!」
受付嬢の白い指が、奥の席の俺たちへ指を突きつけられる。
「「うぇーいっ! 任せとけ嬢ちゃんっ!」」
答えるは荒くれ者の声。
なんてことだ、冒険者の巣窟に拘束されてしまった。
クルクマの男たちが協力して、冒険者ギルドから出してくれない。
「ねぇねぇ、レティスお腹すいちゃったー」
「そうですね。すこしお腹が空きましたね」
呑気な2人は、ちかくのウェイターに何かを注文しだす。
やれやれ、それなりに異常な状態だと思うのだが……まぁいい今やれることをやろう。
「なあ、そこの兄ちゃん」
「絶対そとに出たらダメだぞっ!」
近くの冒険者に話しかけるなり、そっこく見当違いな大声がかえってくる。
「わかってる、出ない、出ないから。どうして侵食樹海が封鎖されてるのかだけ教えてくれないか?
王都の掲示板には、そんなこと書かれてなかったんだが」
「っ、王都からわざわざ来たんか!? うわぁ〜……そらぁ、可哀想に」
いっきに憐むものを見る目にかわる冒険者たち。
「実は、今、ドレッディナの浅部に出てきてるポルタは恐ろしく強ぇんだ。1週間前にクルクマの英雄たるポルタ級パーティが、こいつを倒しにいったが、いまだに誰も帰ってないんだ」
ポルタ級冒険者パーティが負けたポルタ?」
みなが息を呑み、ギルドの酒場を緊張がつつみこむ。
古代の文献から、たびたびその姿を模した絵が見つけられる魔物ポルタ。
その脅威性はかつて「古代列強種」とよばれ、ギルドでは討伐が危険すぎるという理由から、その対処はほかの組織に任せていたほど。
だが、だんだんと冒険者の質があがっていくに連れて、冒険者には猫級、熊級、オーガ級のほかに、
さらなる高位等級としてポルタとドラゴンが開放されたのだ。
近々新しく、柴犬という極めて強大な魔物を倒した英雄をたたえて、
最高位の「柴犬級」というランクが作られるとゲオニエス帝国では噂がたっていたが、その真偽はさだかではない。
話をもどそう。
ポルタ級、それはぞくにポルタ、あるいはそれと同等なランクの魔物を倒せば獲得できる、冒険者にとってこのうえない名誉だ。
「だが、時としてポルタを倒しにいった冒険者が帰ってこない事がある。そういう時は決まって、こんな噂も同時に流れるんだよな……」
締めきっていて暗い酒場。俺は指をたてて、ろうそくを明かりを囲む荒くれ者たちの顔を見わたす。
額に冷や汗をうかべる男。
生唾を飲みこむ音。
ろうそくの火が誰かの吐息でゆれる、ゆれる、ゆれる……。
「そのポルタは……白かったんだぁぁあーっ!」
「「「うわぁァァァァァッ!」」」
「きゃー!」
俺の声に触発され、大の大人たちがいっせいに叫びだした。
楽しそうにはしゃぐレティスと、口もとを上品に押さえて微笑むアヤノ。
恐いのか、興奮したのかわからい男たちでごった返す酒場。
「さぁ、今のうちにいこう。レティスお嬢様、手を」
「サリィったら吟遊詩人みたいねっ、みんなをあんなに感動させちゃうなんてーっ」
レティスとアヤノの手をひいて、こっそり冒険者ギルドの入り口へ。
ーーバタンッ
外から勢いよく両開きの扉が押し開けられた。
「待たせたなっ! 王都よりポルタ級冒険者『千歳の雫』が来たぜっ!
色違いのポルタだがなんだか知らないが、英雄予備軍っ、この俺たちにかかれば不可能はないっ!」
あちゃー……。
「ん、お前たち、なんでそんなところでコソコソなにしてるだっ!」
「……ちょっと失礼しますよッ!」
レティスとアヤノを両脇にかかえて、出口をふさぐポルタ級冒険者パーティを押しのける。
「アアーッ! いつのまにか魔法屋と女の子たちが消えてるぅうー! おい、そこのポルタ級! 来たところ悪いが、まずはあの兄ちゃんたちを捕まえてくれぇー!」
「えっ、えっ? ポルタ、は?」
「私たちはポルタを倒しに来たです。人捕まえるなんて騎士団の仕事です」
「人を捕まえるなんてーー」
「うだうだ言ってないで、さっさと捕まえてくんだよ! これがクルクマのルールだっぺ、オラっ!」
背後でなにやら揉めているらしい。
このまま言い争ってくれてればいいが……。
「おいコラ待てぇぇえーっ! そこの白ローブ止まれぇえーっ!」
ああ、ダメだ。
酒場から蹴りだされたあのポルタ級たちの目、完全にやる気になっちゃっているじゃん。
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