記憶をなくした超転生者:地球を追放された超能力者は、ハードモードな異世界を成りあがる!
第200話 悪魔、悪魔、悪魔
タイミングを見計らい、『縮地』で一気に跳ぶ。
「ッ!」
「っ」
刃をつばぜり合う横あいから、『精研斬り』をお見舞いし、驚く悪魔を、激震と共に地面に叩きつけた。
「今です!」
叫ぶ一声、竜はうなづく。
「よくやった、小さき者よ! ハッ!」
「い、イヤ、ちょマ、普通に卑怯じゃーー」
チェンジバースの刺突が、悪魔へ打ち込まれた。
鋭い、けどーー。
「これは効きマスネェ!」
「仕留めそこねたか」
身をよじり、片腕を落とされただけで被害を抑え、悪魔は指をはじいて、爆炎を巻きおこした。
俺はもチェンジバースも、おおきく転がって爆心地から身を逃す。
「うーむ、いささか、びっくりしシマシタネ。そっちの人間も動けたんデスカ……」
腕を押さえながら悪魔は神妙な顔つきで言った。
ここら辺がまだ狭い廊下だった時は、一目散に逃げたので、脅威とすら判定されてなかったようだ。
「小さき者よ、あの程度の悪魔なら、竜だけで十分だ。だが、助かったには、たすかった。助勢に感謝しよう。悪くない動きだ」
チェンジバースは黄金の輝剣についた、悪魔の黒い血をビシャッと床にはらいぬぐう。
「ふむ、この状態でも勝てると算段しまシタガ、すこし見通しが甘かったと言わざるオエナイ」
「後悔か。それもよい。我が友が君に殺されたとまったく信じてないが、万が一にもして仇として討たせてもらおうか」
チェンジバースは青い瞳を発光させ、輝く鋒で精巧に狙いをさだめる。
「無理デスネ。間に合いマシタカラ」
悪魔は余裕の表情で、そういった。
間に合った? 一体何のことをーー。
悪魔が言葉をつないだ訳はすぐにわかった。
彼の背後から現れる、古びた黒いローブの男。
髪は長く、ボサボサで、背は道化の悪魔と同じくらいに高い。
男は黙ったまま、ロープから手をだして、その手に握っていた大振りの黒いナイフを、悪魔へ投げ渡わたす。
あらかじめ取り決めておかれたように、ごく自然なやりとりに、不気味な息苦しさを覚えた。
なんだ、この男は?
「″あの男、間違いないィィ……エドガー・アダンですねぇえ〜。いや、懐かしいィイ〜。一応、『源泉』のなかでは最強を自称する四流悪魔ですよぉお〜″」
俺の内心の問いかけに答えるはソロモン。
あれが悪魔?
見た感じ普通の男だが。
奇抜な服も着てナイフもて遊んだり、顔を白塗りしてステッキを振り回してもない。
「というか、悪魔が2人って……」
「″この戦い無茶すぎない? 私、普通に逃げたほうがいいと思うんだけど!″」
銀髪アーカムが正論しか言わない。
わかってるんだよ、アーカム先生。
だけど、そんなことしたらーー。
「それでは、始めるか」
「やりマスカ」
「小さき者よ。今度こそ逃げたほうがよいな。竜は古代竜。相手は手負いの悪魔ともう1匹。十分に勝てる相手だ、気にするな」
チェンジバースは涼しげに笑い、黄金の刃を構える。
「″逃げちゃダメですよぉ〜。このトカゲが死にますぅう〜″」
「″ダメ、アーカム! なんかすごい嫌な予感がする、今すぐ逃げて!″」
「″やりましょうよぉ〜! トカゲを見殺しにするんですかぁあ〜?″」
「″お前黙ってりゃあ!″」
白熱する霊体会議。
俺は、自身の愚かに嫌気がさしながらも、狼姫刀を正眼にそえ、ずっしりと重く構えた。
「チェンジバースさんの攻撃が頼りです。合わせるので、好きに暴れてください」
「……物好き者め。まあ、多勢に無勢、よい。では、見事あわせて見せろ」
チェンジバースの掛け声とともに、俺は一気に踏みこんだ。
「ぁ、う!」
だが、その瞬間。
距離をつめるべき悪魔の姿がきえた。
クソ、俺の視界ではたやすく見切れないレベルに、動いてきやがる。
一手目から、相手との間に『距離』を感じ、精神的にキツくなる。
「っ、右ィッ!」
射しこまれる黒い棒。
狼姫刀をなんとか間に合わせ、悪魔アダンの初撃を受け止める。
「ぐぬぅッ、こいつ!」
「アーハハハハハッ、どうしマシタカラ〜ッ!」
となりで雷光をまとったチェンジバースが、道化の悪魔に前蹴りで豪快にふきとばされる。
見るからに上昇しているパワーに目を疑うが、もう火蓋はきられたのだ、引くことはできない。
「くっ! ウラァア!」
こちらは、こちらで気の滅入る膂力に応えなければならない。
つばぜり、火花が散る鼻先。
雄叫びをあげ、全力で気張り、アダンをなんとかどうにか押しかえす。
が、何事もないかのように今度は、アダンのほうから軽く押しかえされて、逆に俺が吹っ飛んでしまった。
「″なるほど、テレスはアダンに力を分譲してたようですねぇえ。いや、しかし、これはピンチですねぇえ〜。本気をだされたら、一瞬で我輩の計画もバァですぅう〜″」
「カホっ、ぅ」
膝つく俺を見下ろして、ソロモンは白塗りの顔を撫でつける。
「″んぅう〜、仕方ありませんねえ、我輩がでましょうか″」
悔しい、本当に悔しい。
しかし、今は願ってもない申し出だ。
「くそ……ッ、絶対に、勝て」
「″んぅう〜、あーはははっ、あーははははははははッ、最高に無様ですねぇえ〜ッ!″」
体を悪魔にあけわたし、足りない戦力を埋めあわせることでしか、この力の差を克服できないなんて。
俺は……弱い。
「さて、では、アダン、すこしお話しをしましょうかねぇえ〜!」
「″絶対、絶対、絶対勝て、負けるなよ″」
「″もう死にそうになってら、適当に≪最後の場所≫ぶっ放して終わるよ!″」
「″いや、それは、いろいろダメだ。チェンジバースも、コートニー達も巻きこむ。それに、あの形態……″」
「はぁーい、外野は黙っててくださいねぇえ〜」
ソロモンは陽気に笑い飛ばし、一本締めのごとく手を叩き合わせると、黒いステッキを召喚した。
鈍く、淀んでながらも輝く暗澹。
ソロモンは俺の顔で、三日月のように口を裂いて、悪意のその先端を、悪魔アダンへと突きつけた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「面白い!」「面白くなりそう!」
「続きが気になる!「更新してくれ!」
そう思ってくれたら、広告の下にある評価の星「☆☆☆」を「★★★」にしてフィードバックしてほしいです!
ほんとうに大事なポイントです!
評価してもらえると、続きを書くモチベがめっちゃ上がるので最高の応援になります!
「記憶をなくした超転生者:地球を追放された超能力者は、ハードモードな異世界を成りあがる!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
1,392
-
1,160
-
-
6,681
-
2.9万
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
450
-
727
-
-
5,217
-
2.6万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
8,191
-
5.5万
-
-
2,534
-
6,825
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
27
-
2
-
-
3,548
-
5,228
-
-
6,199
-
2.6万
-
-
3万
-
4.9万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
2,860
-
4,949
-
-
1,000
-
1,512
-
-
6,044
-
2.9万
-
-
344
-
843
-
-
398
-
3,087
-
-
6,237
-
3.1万
-
-
65
-
390
-
-
215
-
969
-
-
3,653
-
9,436
-
-
10
-
46
-
-
3
-
2
-
-
104
-
158
-
-
14
-
8
-
-
187
-
610
-
-
2,629
-
7,284
-
-
71
-
63
-
-
86
-
288
-
-
23
-
3
-
-
86
-
893
-
-
477
-
3,004
-
-
33
-
48
-
-
83
-
250
-
-
4
-
1
-
-
10
-
72
-
-
218
-
165
-
-
3,224
-
1.5万
-
-
6
-
45
-
-
47
-
515
-
-
614
-
221
-
-
7
-
10
-
-
4
-
4
-
-
2,799
-
1万
-
-
17
-
14
-
-
9
-
23
-
-
18
-
60
-
-
9,173
-
2.3万
-
-
265
-
1,847
-
-
2,430
-
9,370
-
-
408
-
439
-
-
29
-
52
-
-
7,474
-
1.5万
-
-
220
-
516
-
-
1,301
-
8,782
-
-
83
-
2,915
-
-
213
-
937
-
-
116
-
17
-
-
614
-
1,144
-
-
5,039
-
1万
-
-
42
-
14
-
-
88
-
150
-
-
4,922
-
1.7万
-
-
51
-
163
-
-
34
-
83
-
-
164
-
253
「ファンタジー」の人気作品
-
-
3万
-
4.9万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
1万
-
2.3万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
9,545
-
1.1万
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
9,173
-
2.3万
コメント