記憶をなくした超転生者:地球を追放された超能力者は、ハードモードな異世界を成りあがる!

ノベルバユーザー542862

第200話 悪魔、悪魔、悪魔


タイミングを見計らい、『縮地しゅくち』で一気に跳ぶ。

「ッ!」
「っ」

刃をつばぜり合う横あいから、『精研斬り』をお見舞いし、驚く悪魔を、激震と共に地面に叩きつけた。

「今です!」

叫ぶ一声、竜はうなづく。

「よくやった、小さき者よ! ハッ!」
「い、イヤ、ちょマ、普通に卑怯じゃーー」

チェンジバースの刺突が、悪魔へ打ち込まれた。

鋭い、けどーー。

「これは効きマスネェ!」
「仕留めそこねたか」

身をよじり、片腕を落とされただけで被害を抑え、悪魔は指をはじいて、爆炎を巻きおこした。

俺はもチェンジバースも、おおきく転がって爆心地から身を逃す。

「うーむ、いささか、びっくりしシマシタネ。そっちの人間も動けたんデスカ……」

腕を押さえながら悪魔は神妙な顔つきで言った。

ここら辺がまだ狭い廊下だった時は、一目散に逃げたので、脅威とすら判定されてなかったようだ。

「小さき者よ、あの程度の悪魔なら、わたしだけで十分だ。だが、助かったには、たすかった。助勢に感謝しよう。悪くない動きだ」

チェンジバースは黄金の輝剣についた、悪魔の黒い血をビシャッと床にはらいぬぐう。

「ふむ、この状態でも勝てると算段しまシタガ、すこし見通しが甘かったと言わざるオエナイ」
「後悔か。それもよい。我が友が君に殺されたとまったく信じてないが、万が一にもして仇として討たせてもらおうか」

チェンジバースは青い瞳を発光させ、輝くきっさきで精巧に狙いをさだめる。

「無理デスネ。間に合いマシタカラ」

悪魔は余裕の表情で、そういった。

間に合った? 一体何のことをーー。

悪魔が言葉をつないだ訳はすぐにわかった。

彼の背後から現れる、古びた黒いローブの男。
髪は長く、ボサボサで、背は道化の悪魔と同じくらいに高い。

男は黙ったまま、ロープから手をだして、その手に握っていた大振りの黒いナイフを、悪魔へ投げ渡わたす。

あらかじめ取り決めておかれたように、ごく自然なやりとりに、不気味な息苦しさを覚えた。

なんだ、この男は?

「″あの男、間違いないィィ……エドガー・アダンですねぇえ〜。いや、懐かしいィイ〜。一応、『源泉』のなかではを自称する四流悪魔ですよぉお〜″」

俺の内心の問いかけに答えるはソロモン。

あれが悪魔?
見た感じ普通の男だが。
奇抜な服も着てナイフもて遊んだり、顔を白塗りしてステッキを振り回してもない。

「というか、悪魔が2人って……」
「″この戦い無茶すぎない? 私、普通に逃げたほうがいいと思うんだけど!″」

銀髪アーカムが正論しか言わない。
わかってるんだよ、アーカム先生。

だけど、そんなことしたらーー。

「それでは、始めるか」
「やりマスカ」

「小さき者よ。今度こそ逃げたほうがよいな。わたしは古代竜。相手は手負いの悪魔ともう1匹。十分に勝てる相手だ、気にするな」

チェンジバースは涼しげに笑い、黄金の刃を構える。

「″逃げちゃダメですよぉ〜。このトカゲが死にますぅう〜″」
「″ダメ、アーカム! なんかすごい嫌な予感がする、今すぐ逃げて!″」
「″やりましょうよぉ〜! トカゲを見殺しにするんですかぁあ〜?″」
「″お前黙ってりゃあ!″」

白熱する霊体会議。
俺は、自身の愚かに嫌気がさしながらも、狼姫刀を正眼にそえ、ずっしりと重く構えた。

「チェンジバースさんの攻撃が頼りです。合わせるので、好きに暴れてください」
「……物好き者め。まあ、多勢に無勢、よい。では、見事あわせて見せろ」

チェンジバースの掛け声とともに、俺は一気に踏みこんだ。

「ぁ、う!」

だが、その瞬間。
距離をつめるべき悪魔の姿がきえた。

クソ、俺の視界ではたやすく見切れないレベルに、動いてきやがる。

一手目から、相手との間に『距離』を感じ、精神的にキツくなる。

「っ、右ィッ!」

射しこまれる黒い棒。
狼姫刀をなんとか間に合わせ、悪魔アダンの初撃を受け止める。

「ぐぬぅッ、こいつ!」
「アーハハハハハッ、どうしマシタカラ〜ッ!」

となりで雷光をまとったチェンジバースが、道化の悪魔に前蹴りで豪快にふきとばされる。
見るからに上昇しているパワーに目を疑うが、もう火蓋はきられたのだ、引くことはできない。

「くっ! ウラァア!」

こちらは、こちらで気の滅入る膂力に応えなければならない。

つばぜり、火花が散る鼻先。
雄叫びをあげ、全力で気張り、アダンをなんとかどうにか押しかえす。

が、何事もないかのように今度は、アダンのほうから軽く押しかえされて、逆に俺が吹っ飛んでしまった。

「″なるほど、テレスはアダンに力を分譲してたようですねぇえ。いや、しかし、これはピンチですねぇえ〜。本気をだされたら、一瞬で我輩の計画もバァですぅう〜″」
「カホっ、ぅ」

膝つく俺を見下ろして、ソロモンは白塗りの顔を撫でつける。

「″んぅう〜、仕方ありませんねえ、我輩がでましょうか″」

悔しい、本当に悔しい。
しかし、今は願ってもない申し出だ。

「くそ……ッ、絶対に、勝て」
「″んぅう〜、あーはははっ、あーははははははははッ、最高に無様ですねぇえ〜ッ!″」

体を悪魔にあけわたし、足りない戦力を埋めあわせることでしか、この力の差を克服できないなんて。

俺は……弱い。

「さて、では、アダン、すこしお話しをしましょうかねぇえ〜!」
「″絶対、絶対、絶対勝て、負けるなよ″」
「″もう死にそうになってら、適当に≪最後のThe Goal場所Of All≫ぶっ放して終わるよ!″」
「″いや、それは、いろいろダメだ。チェンジバースも、コートニー達も巻きこむ。それに、あの形態……″」
「はぁーい、外野は黙っててくださいねぇえ〜」

ソロモンは陽気に笑い飛ばし、一本締めのごとく手を叩き合わせると、黒いステッキを召喚した。

鈍く、淀んでながらも輝く暗澹。
ソロモンは俺の顔で、三日月のように口を裂いて、悪意のその先端を、悪魔アダンへと突きつけた。

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