記憶をなくした超転生者:地球を追放された超能力者は、ハードモードな異世界を成りあがる!
第198話 チェンジバースのお話 その3
顎をかかえて、彼らの自信の是非をとう。
「あの、何度も本当に申し訳ないんですけど、大丈夫、ですよね?」
「何度も言わせるでない、小さき者よ。相手は所詮、闇の魔術に傾倒しただけの人間にすぎない。この世のなかを支配し、普及しているのがドラゴンの魔術を源泉とした『属性式魔術』であることが、すでに闇の魔術と、竜たちのあいだの差を決定的に示している。必ず勝てる戦い、そう、竜たち皆が考えている」
「そうですか、わかりました。それじゃ、お任せします」
うーむ。
狩人協会への報告を、頭の片隅に考えておいたほうがいいかもしれないな。
「それがよい。ここにほ暗黒魔術教団、トニー教会、いずれは竜学院も参入する。そのすべてが君たちにとっては都合が悪かろう」
チェンジバースは床に寝転がるコートニーを俺に預け、チューリとシェリーを担ぎあげる。
「それほどのリスクを負ってまで、関わりつづける必要はないだろう」
「そうですね、確かに言う通りです」
「よい。では、出口までおくろう。あの高さを3人抱えて登るのは難しいからな」
俺とチェンジバースはニコリと微笑みあい、ともに小部屋をでた。
「″あの竜、とても嘘が上手いですねぇえ〜! 本当はいっぱいいっぱい、状況への適応ができていないのに、竜としての矜持がそれを表へださせないぃい〜!″」
「″ん、つまり、あの白タキシードは嘘ついてるの?″」
「″ええ、恐らくはぁあ〜。それに、わかるでしょう? 『暗黒の亡命者』が敵にいる、ということは、必然的に″ある存在″の関与を暗示していますぅう〜″」
空中をふわふわ浮きながら、「我輩好みのかんきのうになってきましたねぇえ〜!」とソロモンは楽しげに笑う。
俺は彼の言葉を聞いて、首筋にピリピリとした感覚をえた。
「″ある存在って、なに。もったいぶると、こうだよ!″」
「痛たた……相変わらず、もう殴ってますねぇえ〜、マスター! …………ーーおや、言ってるそばから来るなんて、実に彼らしい″」
冷や汗がとまらない。
「アラぁあ〜? トカゲ狩りに来たのに、人間と吸血鬼まで見つけてしまいマシタカ〜! いや、偶然偶然ダース!」
「ッ」
前をいくチェンジバースと同じタイミングで、ふりかえり、狭い廊下のさきに人影を見つける。
廊下の天井スレスレの高身長。
薄暗いなかでもわかる、黄色とピンク色と水色のチカチカと目の痛くなるような奇抜な道化服。
そいつは、三日月のように裂ける口で、凶悪な笑顔をたたえていた。
「なんと、間の悪い……小さき者よ、上まで送る約束は果たせそうにない。彼らを連れて行きたまへ」
「あ、あれはーー」
神妙な顔つきでチェンジバースは俺より前へでる。
ーービジィッィ
一瞬、通電するような空気の焼ける音が聞こえ、青い雷光がほとばしったかと思うと、目の前の青年はその手のなかに『黄金の輝剣』を握っていた。
チェンジバースが臨戦態勢にはいった?
「あれは、″悪魔″と呼ばれる存在。小さき者よ、宣教師を退けることは出来ても、あれは無理だ。君には荷が重すぎる、はやく逃げなさい」
「さっきはしてやられましたが、ワタクシは慎重ゆえ、片方ずつ片付けることにキメマシタヨ。あ、ちなみに黒いのは、さっき1匹になったところを、ちゃんと擦り潰して殺したことを報告シマース!」
「っ」
黒いのって、まさか、ゲートヘヴェン、が……?
最強のドラゴンが、悪魔に遅れをとったって?
足元が沼にかわったように、状況の恐ろしさを理解させられる。
俺は自らで意思で、底無しの悪夢にもぐろうとしていたのではないかーー?
「″どうしましたぁあ〜? アーカム・アルドレア、悪魔くらい、案外いるものですよぉお〜!″」
「″アーカム、だめだよ、あれは聖遺物がないと、勝ち目なんて……″」
「ダメだ、逃げなくちゃ……!」
俺はこの時、ようやくハッキリと理解した。
容易く足を踏みいれてよい場所などではなかったと。
震える足を必死に動かし、俺はチューリとシェリーを抱えて駆け出した。
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