ぼくとこうえん

味噌村 幸太郎

1




ぼくのなまえは、たけし!
ことしで5さい。
ぼくはね、まがったことが、だいきらいなんだ。



いつものように、ぼくはようちえんにきた。
ようちえんで、ともだちのひろしくんにあった。
ぼくとひろしくんは、だいのなかよし!
いっつもふたりで『たけうま』とか、『おにごっこ』してあそんでいるんだ。
でもね、ひとつだけ、かなしいことがあるの。



それはね、ひろしくんはぼくとしかあそばないんだ。
ぼくはみんなともっとなかよくなりたい。
だれとでもいっしょにあそびたい。
なのに、ひろしくんはぼくとしかあそばないの……。



 あるひ、クラスでいちばんつよいおとこのこ、まさるくんがいったんだ。
「ねぇ、たけしくん、きょう、ようちえんおわったら、あそぼうよ」
「いいよ、じゃあ『ロケットこうえん』でね」
「あとでね」
 となりのひろしくんはすごくこわがっていた。
 ひろしくんとまさるくんはあんまりなかがよくないの。



 ぼくはあそびにいくとき、とちゅうでひろしくんにであった。
「あれ、ひろしくん。またひとりぼっち?」
「うん、たけしくんはどこかにいくの?」
「いまから、まさるくんと『ロケットこうえん』にいくの」
「そうなんだ……」
「ひろしくんもいっしょにいこうよ!」
「うん!」
 ぼくはとってもうれしかった。
 ひろしくんが、ほかのおともだちといっしょにあそべることがね。



 『ロケットこうえん』につくと、まさるくんがまっていた。
「あれ? たけしくん。なんでひろしくんがいるの?」
 まさるくんはとってもおこったかおしている。なぜなんだろ。
「ねぇ、ひろしくんもいっしょにあそばせてよ」
「ダメッ! ひろしくんがいっしょならおれはあそばない!」
「もういいよ、たけしくん」
「だって……」
 そんなのまちがってるもん。



 ぼくたちがにらめっこしていると、となりのブランコがぎーこぎーこ、きこえる。
「ねぇ、きみたち。これたのしいよ?」
 おんなのこが、かわったブランコにのっている。
 くるまいすにのったまま、ブランコであそんでいる。
 なんだろ、あれ。
「あんなブランコなんかあったけ?」
 ひろしくんが、ふしぎそうにおんなのこにちかづいた。
「ねぇねぇ、きみたちもいっしょにあそぼうよ」
「きみはなんで、くるまいすなんかであそんでいるの?」
「え、これ? わたしはうまれてからずっとあるけないの」
「そうなんだ、ボクがおしてあげよっか?」
「いいの? じゃあおねがい」
 ひろしくんはかわったおんなのことあそびだした。



「なんだよ、ひろしくんだけあそんで!」
 まさるくんはとってもおこっている。
「いいじゃん、まさるくんとはあそんでないだろ?」
「なんかムカつく!」
 そういって、まさるくんは、じめんをけった。
 でも、ぼくもすごくあのブランコがきになる。



「わ~い! すごいたか~い!」
「そ~れ! もっとつぎはすごいよ~」
「あ~たのしい。ねぇ、きみのなまえは?」
「ボクはひろし」
「わたしはゆみ」
 ふたりはとってもたのしそう。
「ねぇ、そこのきみもおいでよ」
「ぼくのこと?」
「うん!」
「いくいく! ぼくはたけし」
「たけしくんはとなりのであそびなよ」


10
 ぼくはとなりのふつうのブランコにのった。
 ゆみちゃんはとってもうれしそう。
「ねぇ、あしはいたくない?」
「あし、いたくないよ。だってうまれつきだから」
「なんかかわいそう」
 ひろしくんはなきそうな、かおしている。
 でも、ぼくもゆみちゃんをみているとかなしくなっちゃう。


11
「ぜんぜん! かわいそうじゃないよ! このブランコ。わたしのパパがつくったんだ」
「ええ! すごい!」
 ひろしくんは、はくしゅしてよろこんでいる。
「うん、ぼくもすごいとおもう!」
「だって、きみたちとおともだちになれそうだもん!」
「ふふふ」
「あはは」
「ははは」
 ぼくたちがわらっていると、まさるくんはかおをまっかにしていた。


12
「ねぇ、ひろしくん、あのこも、きみのおともだち?」
「え?」
 ひろしくんはゆみちゃんのしつもんにこまっていた。
「ともだちだよ!」
 ぼくがかわりに、こたえてあげる。
「そっか! あのこのなまえは?」
「あのこはまさるくん」
「まさるく~ん、きみもこっちにおいでよ~!」
 ゆみちゃんが、まさるくんをよぶけど、なかなかこない。
 まだおこっているのかな。


13
「お、おれもなかまにはいっていいの?」
 まさるくんはすこし、はずかしそうなかおでブランコにちかづいた。
「もちろんだよ。じゃあこんどはまさるくんがわたしのブランコをおして!」
「うん、まかせて!」
 きがつくと、ぼくたち4にんはわらって、おひさまがくらくなるまであそんだ。


14
 ゆみちゃんはくるまいすをおしながらかえっていった。
 ぼくとひろしくんも、いっしょにかえろうとしたときだった。
「なあ、あしたもあそぼうよ」
 まさるくんは、はずかしそうにいった。
「え? いいけど……」
「ボク、あしたはやめておくよ」
 ひろしくんはえんりょしているようにみえた。
「ダメだ! ひろしくんもきて!」
「だって……」
「おれたち3にんはもうともだち! ゆみちゃんもともだち!」
「うれしい」
 そのばで、ひろしくんはないていた。
 でも、とってもうれしそうにわらっている。
「じゃあ、あしたはぼくとひろしくん、それにまさるくんとゆみちゃんもいっしょだね」
 
 ぼくたち3にんは、あしたがたのしみたのしみでしかたなかった。
 みんなでてをつないで、いっしょにかえった。
 とってもうれしいな。
                            
                          


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