怪獣対巨人!赤灼鋼帝レッドカイザー 始まりの炎と無限の宇宙

牧名もぐら

試行回数x-1

 巨人の消えた後しばらくして、付近にいた巨獣もすべて土塊へと還った。巨人のいた場所に女が向かうと、男が一人横たわっているのに気付いた。
 一見して女の愛した男そのものに見えたが、特別な目を持つ女はすぐにそうではないと見抜いた。目を開けてゆっくりと起き上がる男は、女を見て、それから虚空をぼうっと見つめた。
「彼は、行ってしまったな」
 男が誰のことを言っているのか、女はすぐに理解した。そして、愛した男の体を誰の意識が支配しているのかも。
「彼は、いつか帰ってきますか」
「わからない。だがおそらく……すまない」
 呆然とする女に、男はそう言うことしかできなかった。
「君の前で言うことではないんだろうが、私は今なんというか、とても清々しい気分でいる。本来あるべき姿に戻ったようだ」
「これから、どうするんですか」
 男は女から目を外し、少し考えた。
「うむ……旅をしようかと思う。こんなに自由なことはかつてなかったからな」
「私もついていきます」
 男は驚いた顔で振り返った。
「君も? なぜ」
「彼が帰ってくるとしたら、その体にだと思うので。野垂れ死なれても困りますし」
 そうか、と男は小さく返事をした。それも悪くないだろうと思い、今一度太陽を仰いで土砂をあとにしようとした。
「待って下さい。彼はそんなふうに歩きません」
「なに?」
「体を労って下さい。絶対に無理はさせませんよ。我が物面されると不快です。彼は私を守りたいと願っていました、それは知っています。だから、あなたには私を守ってもらいます。これで一対一の関係成立です」
「お、おいおい」
「まずは私の家へ。旅の前に腹ごしらえです」
 男はきょとんとしながら、女に手を引かれるままでいた。自由どころかとんだ束縛だと心中で嘆きながら、これが自分に与えられた罰なのかも知れないと、なされるがままでいた。

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