見た目は青年、心はアラサー、異世界に降り立つ! ~チートスキル「ストレージ」で異世界を満喫中~
三十二話
「って、そういえばユキはどこ行った?」
確か出掛ける時は部屋にいた気がするんだけど。
いやまあ一日中この部屋にいたら、それはそれで問題が……いや、ないのか? よく考えたらユキは一応俺のペット(?)だったんだ。
飼い主(?)の部屋にいるのは間違ってない様な気もするけど……。
「考えるだけ不毛だな」
「何の話?」
「いや、何でもない」
ボソッと呟いたつもりだったが、アミィには聞こえていたらしく、何の話か聞かれたが、適当にはぐらかしておいた。
ペットだとか飼い主だとか、今のユキの姿を考えれば、どう考えてもアウトな話題だろう。主に俺が
どう考えても、良くて変態性癖。悪くて性犯罪者だ。そんな事態、絶対に避けなければならない。
「そう?」
だからアミィには悪いが、ここは誤魔化されて貰おう。
「はぁ、散々な目にあった」
「いい加減少しは学習したらどうなんだ? お前は……」
アミィを誤魔化し切った丁度そのタイミングで、俺の部屋の扉を開き、そこからフーリとマリーが姿を現した。
え、どういう事? 何当たり前みたいに入って来てんの? ここ俺の部屋なんだけど? せめてノックぐらいしない?
俺のプライバシーどこ行った? もしかして家出した?
「あ、カイトさん、アミィちゃん。もう帰ってたんですね、おかえりなさい」
「おかえり、カイト君」
「え? あ、ああ、ただい、ま?」
二人は部屋の中に俺がいる事に気付くと、俺に向かって一言声をかけてきた。つい条件反射で返事を返してしまったが、この状況どう考えても変だよな?
「どうかしましたか?」
俺の疑問が伝わったのか。はたまた俺が訝しげな表情をしていたからか、マリーが俺に尋ねてきた。
「あー、言いたい事は何となく分かるのだが、言い訳をさせて貰えないだろうか?」
だが、俺がマリーに答える前に。フーリが何かを察したのか、言い訳をさせて欲しいという。
言い訳がしたいという事は、少なくともフーリはこの状況がおかしいと自覚しているという事だよな。
「うん、別にいいけど」
「ありがとう。何故勇者ヒカリがここにいるのかは、今は置いておくとして」
「ユキがまだここに泊まってるからですよ!」
うん、それはさっきも聞いた。で、色々と察した。
フーリも光の言葉を聞いて何かを察したのか「なるほど、そういう事か」と少し感心した様な表情を見せた。
そして、光の方に向き直り。
「だが、今は私の言い訳を優先させて欲しいのだが?」
と、フーリは光の謎のテンションにも全く動じる事はなく、冷静に返した。流石はフーリといった所か。
光はそんなフーリを見て。
「ええ、大丈夫ですよ。私はその間にユキを連れて来るんで」
特に文句を言う事もなく、ユキを連れて来ると言って部屋を出て行ってしまった。
ていうか、ユキの居場所知ってるのか。さっき帰って来たばっかりの筈なのに、何で知ってるんだ?
「さて、気を取り直して――と言っても、別に大した言い訳なんて無いんだが」
「そうなのか?」
あれだけハッキリと「言い訳をさせて欲しい」と言ったのに、実は大した言い訳がないとはこれ如何に。
「ああ、ただ単に勇者ヒカリがカイト君の部屋に入って行くのが見えてな。もしかしてカイト君達も帰って来てるのかと思って来てみただけなんだ」
言い訳も何も、普通に訪ねてきただけだった様だ。
確かに、今朝帰った筈の光がいたら、気になって様子の一つでも見に来ても変じゃない。その可能性を考えてなかった。
でも、それでもノックぐらいはすると思うけど……まあいいか。
「いい訳でも何でもなく、ただ普通に訪ねてきただけだったのか」
「まあそういう事になるな。紛らわしい言い方をして悪かった」
「いや、大丈夫」
別に二人が俺の部屋に来た事を怒ってる訳じゃない。ちょっと驚いただけって話だ。理由さえ分かれば問題ない。
「それで、カイトさん。私を見捨ててお出かけしたパレードは楽しかったですか?」
フーリの説明に納得していると、今度はマリーから少々棘のある言葉で話しかけられた。いや、あれは仕方がなくない?
だが、ただそう言っても納得はしないだろう。
ここは上手い事話をはぐらかさないと……せやっ!
「宅配サービスとやらはもう届いたのか?」
「ブフッ!?」
「……」
フーリは吹き出し、マリーは無言。あれ? 小粋なジョークのつもりだったんだが?
「お兄ちゃん、今のはいくら何でも」
アミィは若干呆れ顔で俺の事を見ていた。いやだって、場を――ていうかマリーを和ませないとって思ったから。
あ、もしかして。
「まだ届いてないのか?」
「……」
まだ届いてないからマリーはこんな顔をしているのかと思って尋ねてみたのだが、何故か更に険しくなるマリーの表情。そして。
「ぷっ……あっはっはっはっはっ! も、もう限界だ。マリー、これが日頃のお、行い、だ! くふふっ」
「もう、姉さん笑い過ぎ! カイトさん、私本当に頼んでませんよ!」
「マジで!?」
「一緒にいましたよね!?」
マリーの信じられない言葉に、俺は衝撃を受けた。まさかあのマリーが、宅配サービスがあるのにも係わらず、オイ椎茸を買わないなんて。
「お兄ちゃん、流石にマリーさんが可哀そうだよ……」
「うぅっ……私の味方はアミィちゃんだけだよ」
アミィだけがマリーの事を気遣い、マリーがそれに感動したようにアミィに抱き着く。
いや、別にイジメてる訳じゃないんだけど。ていうか、日頃のマリーの行動を見てると、それぐらいはやりそうなんだよな。
だって。
「ワイルドボアとオイ椎茸を取り合うぐらいだし」
「カイトさん!? シーッ!」
俺がボソッと呟くと、慌ててマリーが俺の口を塞ごうとしてきたが、時既に遅し。
「え、ワイルドボアと?」
俺の言葉を聞き逃さなかったアミィが、信じられない物を見る目でマリーを見ていた。
「ア、 アミィ、ちゃん? ご、誤解なの」
マリーが何とか誤解を解こうとしている様だったが、別に誤解でも何でもない。純然たる事実だ。
「お待たせ……って、どうしたの、この状況?」
するとそこへ、先程ユキを迎えに行って来ると言って部屋を出て行った光が姿を現した。
光がここに現れるって事は、ユキは見つかったのか。
「にいたん、おかえり! ごはん食べよ!」
光の後ろからひょっこりと顔を出し、いきなり飯の催促をしてくるユキ。
いや、いきなり飯?
「ああ、ただいま。飯はもう少し待ってくれ。準備しないとだから」
「はーい!」
俺がユキに待つように言うと、ユキは片手を上げて素直に返事をした。
随分素直だな。ユキの事だから「ゴーハーン!」とか言って催促してくるかと思ったのに。
まあ俺としては助かるけど。
それよりも気になるのは。
「むぅー」
突然の乱入者に、話の腰を折られてしまったマリーがむくれてしまった事だ。
確かに今回は最初から宅配サービスをしていると決めつけてかかった俺が悪かった。多分フーリも俺と同じ事を思っているのだろう。だからこそ、いつまでも笑い続ける様な事もしなかったのだろうし。
……仕方ない。
「マリー、悪かった。お詫びに今夜はキノコ鍋にするから」
「……キノコナベ? それってどんな料理ですか?」
キノコ鍋という未知の食べ物に、マリーの興味が逸れた瞬間だった。
確か出掛ける時は部屋にいた気がするんだけど。
いやまあ一日中この部屋にいたら、それはそれで問題が……いや、ないのか? よく考えたらユキは一応俺のペット(?)だったんだ。
飼い主(?)の部屋にいるのは間違ってない様な気もするけど……。
「考えるだけ不毛だな」
「何の話?」
「いや、何でもない」
ボソッと呟いたつもりだったが、アミィには聞こえていたらしく、何の話か聞かれたが、適当にはぐらかしておいた。
ペットだとか飼い主だとか、今のユキの姿を考えれば、どう考えてもアウトな話題だろう。主に俺が
どう考えても、良くて変態性癖。悪くて性犯罪者だ。そんな事態、絶対に避けなければならない。
「そう?」
だからアミィには悪いが、ここは誤魔化されて貰おう。
「はぁ、散々な目にあった」
「いい加減少しは学習したらどうなんだ? お前は……」
アミィを誤魔化し切った丁度そのタイミングで、俺の部屋の扉を開き、そこからフーリとマリーが姿を現した。
え、どういう事? 何当たり前みたいに入って来てんの? ここ俺の部屋なんだけど? せめてノックぐらいしない?
俺のプライバシーどこ行った? もしかして家出した?
「あ、カイトさん、アミィちゃん。もう帰ってたんですね、おかえりなさい」
「おかえり、カイト君」
「え? あ、ああ、ただい、ま?」
二人は部屋の中に俺がいる事に気付くと、俺に向かって一言声をかけてきた。つい条件反射で返事を返してしまったが、この状況どう考えても変だよな?
「どうかしましたか?」
俺の疑問が伝わったのか。はたまた俺が訝しげな表情をしていたからか、マリーが俺に尋ねてきた。
「あー、言いたい事は何となく分かるのだが、言い訳をさせて貰えないだろうか?」
だが、俺がマリーに答える前に。フーリが何かを察したのか、言い訳をさせて欲しいという。
言い訳がしたいという事は、少なくともフーリはこの状況がおかしいと自覚しているという事だよな。
「うん、別にいいけど」
「ありがとう。何故勇者ヒカリがここにいるのかは、今は置いておくとして」
「ユキがまだここに泊まってるからですよ!」
うん、それはさっきも聞いた。で、色々と察した。
フーリも光の言葉を聞いて何かを察したのか「なるほど、そういう事か」と少し感心した様な表情を見せた。
そして、光の方に向き直り。
「だが、今は私の言い訳を優先させて欲しいのだが?」
と、フーリは光の謎のテンションにも全く動じる事はなく、冷静に返した。流石はフーリといった所か。
光はそんなフーリを見て。
「ええ、大丈夫ですよ。私はその間にユキを連れて来るんで」
特に文句を言う事もなく、ユキを連れて来ると言って部屋を出て行ってしまった。
ていうか、ユキの居場所知ってるのか。さっき帰って来たばっかりの筈なのに、何で知ってるんだ?
「さて、気を取り直して――と言っても、別に大した言い訳なんて無いんだが」
「そうなのか?」
あれだけハッキリと「言い訳をさせて欲しい」と言ったのに、実は大した言い訳がないとはこれ如何に。
「ああ、ただ単に勇者ヒカリがカイト君の部屋に入って行くのが見えてな。もしかしてカイト君達も帰って来てるのかと思って来てみただけなんだ」
言い訳も何も、普通に訪ねてきただけだった様だ。
確かに、今朝帰った筈の光がいたら、気になって様子の一つでも見に来ても変じゃない。その可能性を考えてなかった。
でも、それでもノックぐらいはすると思うけど……まあいいか。
「いい訳でも何でもなく、ただ普通に訪ねてきただけだったのか」
「まあそういう事になるな。紛らわしい言い方をして悪かった」
「いや、大丈夫」
別に二人が俺の部屋に来た事を怒ってる訳じゃない。ちょっと驚いただけって話だ。理由さえ分かれば問題ない。
「それで、カイトさん。私を見捨ててお出かけしたパレードは楽しかったですか?」
フーリの説明に納得していると、今度はマリーから少々棘のある言葉で話しかけられた。いや、あれは仕方がなくない?
だが、ただそう言っても納得はしないだろう。
ここは上手い事話をはぐらかさないと……せやっ!
「宅配サービスとやらはもう届いたのか?」
「ブフッ!?」
「……」
フーリは吹き出し、マリーは無言。あれ? 小粋なジョークのつもりだったんだが?
「お兄ちゃん、今のはいくら何でも」
アミィは若干呆れ顔で俺の事を見ていた。いやだって、場を――ていうかマリーを和ませないとって思ったから。
あ、もしかして。
「まだ届いてないのか?」
「……」
まだ届いてないからマリーはこんな顔をしているのかと思って尋ねてみたのだが、何故か更に険しくなるマリーの表情。そして。
「ぷっ……あっはっはっはっはっ! も、もう限界だ。マリー、これが日頃のお、行い、だ! くふふっ」
「もう、姉さん笑い過ぎ! カイトさん、私本当に頼んでませんよ!」
「マジで!?」
「一緒にいましたよね!?」
マリーの信じられない言葉に、俺は衝撃を受けた。まさかあのマリーが、宅配サービスがあるのにも係わらず、オイ椎茸を買わないなんて。
「お兄ちゃん、流石にマリーさんが可哀そうだよ……」
「うぅっ……私の味方はアミィちゃんだけだよ」
アミィだけがマリーの事を気遣い、マリーがそれに感動したようにアミィに抱き着く。
いや、別にイジメてる訳じゃないんだけど。ていうか、日頃のマリーの行動を見てると、それぐらいはやりそうなんだよな。
だって。
「ワイルドボアとオイ椎茸を取り合うぐらいだし」
「カイトさん!? シーッ!」
俺がボソッと呟くと、慌ててマリーが俺の口を塞ごうとしてきたが、時既に遅し。
「え、ワイルドボアと?」
俺の言葉を聞き逃さなかったアミィが、信じられない物を見る目でマリーを見ていた。
「ア、 アミィ、ちゃん? ご、誤解なの」
マリーが何とか誤解を解こうとしている様だったが、別に誤解でも何でもない。純然たる事実だ。
「お待たせ……って、どうしたの、この状況?」
するとそこへ、先程ユキを迎えに行って来ると言って部屋を出て行った光が姿を現した。
光がここに現れるって事は、ユキは見つかったのか。
「にいたん、おかえり! ごはん食べよ!」
光の後ろからひょっこりと顔を出し、いきなり飯の催促をしてくるユキ。
いや、いきなり飯?
「ああ、ただいま。飯はもう少し待ってくれ。準備しないとだから」
「はーい!」
俺がユキに待つように言うと、ユキは片手を上げて素直に返事をした。
随分素直だな。ユキの事だから「ゴーハーン!」とか言って催促してくるかと思ったのに。
まあ俺としては助かるけど。
それよりも気になるのは。
「むぅー」
突然の乱入者に、話の腰を折られてしまったマリーがむくれてしまった事だ。
確かに今回は最初から宅配サービスをしていると決めつけてかかった俺が悪かった。多分フーリも俺と同じ事を思っているのだろう。だからこそ、いつまでも笑い続ける様な事もしなかったのだろうし。
……仕方ない。
「マリー、悪かった。お詫びに今夜はキノコ鍋にするから」
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