見た目は青年、心はアラサー、異世界に降り立つ! ~チートスキル「ストレージ」で異世界を満喫中~
二十六話
「ふぅ、旨かった。ごちそーさんっと」
お好み焼き一枚を平らげ、その旨さに満足した俺は、次は何をしようかとのんびり出店を眺めながら考える。
「あれ? 一枚だけなんですか?」
「ん? ああ、まあな。お好み焼きだけで満腹になるなんて勿体ないだろ?」
確かに十個買ったけど、何も今すぐ食べるなんて言ってない。
ストレージに入れとけば腐る心配もしなくていいしな。
「そうなのか。量が多いとは思っていたんだが、流石に今すぐ食べる訳じゃなかったんだな」
「いやいや、二人共俺の事フードファイターか何かだと思ってないか? 流石にあの量を一人で食べるなんて無理だって」
確かに俺は同年代なら食べる方ではあるけど、あれを一人でなんて到底無理だ。ただでさえアレは一枚一枚が大きめだったんだから。
「腹が減った時にでも適当につまめばいいだろ? どうせ腐らないんだし」
「まあそれは確かに。本当便利ですよね、それ」
「ああ、全くだ」
確かに、こういう時便利だよな、ストレージって。旨い物を好きなだけ、しかも腐らせずに保管出来るんだから。
未だ完全に使いこなせている気はしないが、それでも破格の性能なんだから恐れ入る。使いこなしたら一体どれ程の力になるのか。
いつかは完全に自分の物として使いこなしたい物だ。
「それにしても、大分人が増えてきましたね」
「ああ、いつの間にかな」
確かに。俺達がお好み焼きを食べてる間に、随分と人が増えたものだ。
さっきまでまばらにしか人がいなかったのに、今では肩と肩がぶつかりそうな距離に人がいる程だ。
それはつまり、そろそろパレードが始まる時間帯だという事を意味している訳で。
「いよいよ召喚勇者ってのが拝めるのか」
そう、召喚勇者だ。俺と同郷であろう三人の勇者。それが一体どんな人物なのか。
大人なのか、それとも子供なのか。漫画なんかでは高校生から大学生ぐらいっていうのが定番だけど、それがこの世界でもそうなのかは分からない。
下手すると小学生ぐらいの子供だったり、逆にご老人という事だってあり得る。
まあ「勇者」っていうぐらいだから、まともに戦える年齢であるだろうとは思うけど、可能性はゼロではない。
「まあ、そういうのも含めて、一度見てみたいんだけどな」
仮に子供やご老人だったとしても、俺に出来る事はほとんどないだろう。精々が応援する事ぐらいか。
「やっぱり召喚勇者が気になりますか?」
「ん? それはまあ、そうだな」
俺が召喚勇者の事を考えていると、それが伝わったのか、マリーから気になるか尋ねられた。
「やはりカイト君も、同じ世界の人間として気になるのだな」
「そりゃあ、色々とね」
むしろ気にならない方がどうかしてると思う。
実際に話が出来れば、とは思うけど、それは難しいだろうな。俺の素性を明かして話すっていうのも考えたけど、リスクが大きすぎる。
信じて貰えなかった場合、最悪勇者を語る偽者として認識される可能性もあるのだし、仮に信じて貰えてとしても「はいそうですか」となるとは考えにくい。
下手をすると、ペコライにも帰れなくなるかもしれない。そんなのは論外だ。俺には果ての洞窟踏破という目標があるのだから。
気にはなるけど、遠くから見守るだけにするのが一番だな。自ら面倒事に首を突っ込んでいく必要もない。
はいそこ、行動と矛盾してるとか言わない。
自分がやりたい事は別だ。孤児院の件は面倒だなんて思ってないから面倒事には含まれない。
誰が何と言っても含まれないのだ。
「あくまで見るだけだ。話なんかはしなくてもいい」
そこの所勘違いしない様に、二人にはあらかじめ話しておかないとな。
「まあ召喚勇者と関わっても、カイトさんにとっては面倒毎が増えるだけでしょうしね」
「そうだな。それでもカイト君が話したいと言うのであれば、止めるつもりはなかったが」
と思ったが、どうやら説明の必要はなかった様だ。二人の察しが良くて助かる。
「まさか。面倒事はごめんだよ」
「自分がやりたくない面倒事は、でしょう?」
「でないと、孤児院の件に首を突っ込もうとはしないだろうからな」
そんな所までお見通しですか。本当に察しが良い事で。
その後も三人で色んな出店を回る事数十分。
「いやあ、大量大量」
王都の出店は、ペコライには無い出店が沢山あった。
たこ焼き、焼きそば、綿あめに人形焼きと、他にも沢山。何というか、ここって本当に異世界か? そう思う程、日本の祭りを彷彿とさせる物が多かった。
ていうか、綿あめなんてザラメが無いと作れない筈だろ? つまり、この世界にはザラメが存在しているって事か?
それに他にも色々と「材料どうした?」と問いたくなる様な物ばかり。
まあたこ焼きは「クラーケン焼き」焼きそばは「焼き麺」という名前で売られてたから、完全に同じ物という訳ではなさそうだけど。
ただ、人形焼きは見た目と名前。そして味もほぼ同じだったな。
それに、人形焼きを買っている最中、光が祭りで必ず人形焼きを買っていたのを思い出した。
祭りに行くと、最初は必ず人形焼きを買うのが定番だったな。一度光に「好きなのか?」って聞いたら「かわいいから好き」って言ってたっけ?
そんな事を思い出したからか、人形焼きは他のよりも沢山買ってしまった。
「随分と買ってましたね」
「まあな。こういう時はケチケチしないって決めてるんだ」
祭りは楽しむものだ。変に出し渋って、後で後悔なんてしたくない。
まあだからと言って無駄に使い過ぎるつもりもないけど
「気持ちはよく分かるぞ、カイト君。こういう時は思う存分楽しんだほうがいいからな。無論、無駄遣いは良くないが」
「ああ、それはもちろん」
いくら楽しむためとはいえ、無駄遣いをしようとは思わない。
俺の場合ストレージがあるからこんなに爆買いしてるけど、これが無かったら普通に人数分しか買うつもりはなかった。
「ちなみにですけど、今の段階でいくらぐらい使ったんですか?」
「今か? えーっと……銀貨八枚だな」
ちなみに内訳は、クラーケン焼き十個で大銅貨五枚。焼き麺十個で同じく大銅貨五枚。綿あめも十個で大銅貨五枚。人形焼が銀貨五枚分。その他大銅貨五枚分で、最初のお好み焼きが銀貨一枚だから、丁度銀貨八枚だ。
「ぎ、銀貨八枚ですか」
「パレードはまだ始まったばかりだというのに、随分ハイペースで買い物をしているな」
二人が若干引き気味な視線を俺に向けて来るが、そこはあまり気にしないでおく。
正直それは予想通りだったから。
だが、先を考えれば、これでもまだ足りないぐらいだけどな。
「まだまだ祭りは始まったばかりだからな。ささ、次の出店に」
向かおう、という俺の言葉は、突然周囲から上がった歓声に掻き消された。
な、何だ、いきなり?
「カイトさん、来ましたよ、召喚勇者を乗せた馬車です!」
「コレが今回の目的だからな。どれ、私達も一目拝むとしようじゃないか」
二人が俺の手を握り、道を出店側から車道側へと移動していく。当たり前みたいに手を握って来るんだな。
ていうか、マリーは割とよくある事だけど(慣れたかどうかは別として)、フーリがこんな事をするなんて珍しい。
まあ召喚勇者なんてそうそうお目にかかれる存在じゃないだろうから「一目見てみたい」という興味が勝ったんだろうな。
俺は二人に手を引かれながら、召喚勇者を乗せているという馬車を見るべく場所を移動した。
お好み焼き一枚を平らげ、その旨さに満足した俺は、次は何をしようかとのんびり出店を眺めながら考える。
「あれ? 一枚だけなんですか?」
「ん? ああ、まあな。お好み焼きだけで満腹になるなんて勿体ないだろ?」
確かに十個買ったけど、何も今すぐ食べるなんて言ってない。
ストレージに入れとけば腐る心配もしなくていいしな。
「そうなのか。量が多いとは思っていたんだが、流石に今すぐ食べる訳じゃなかったんだな」
「いやいや、二人共俺の事フードファイターか何かだと思ってないか? 流石にあの量を一人で食べるなんて無理だって」
確かに俺は同年代なら食べる方ではあるけど、あれを一人でなんて到底無理だ。ただでさえアレは一枚一枚が大きめだったんだから。
「腹が減った時にでも適当につまめばいいだろ? どうせ腐らないんだし」
「まあそれは確かに。本当便利ですよね、それ」
「ああ、全くだ」
確かに、こういう時便利だよな、ストレージって。旨い物を好きなだけ、しかも腐らせずに保管出来るんだから。
未だ完全に使いこなせている気はしないが、それでも破格の性能なんだから恐れ入る。使いこなしたら一体どれ程の力になるのか。
いつかは完全に自分の物として使いこなしたい物だ。
「それにしても、大分人が増えてきましたね」
「ああ、いつの間にかな」
確かに。俺達がお好み焼きを食べてる間に、随分と人が増えたものだ。
さっきまでまばらにしか人がいなかったのに、今では肩と肩がぶつかりそうな距離に人がいる程だ。
それはつまり、そろそろパレードが始まる時間帯だという事を意味している訳で。
「いよいよ召喚勇者ってのが拝めるのか」
そう、召喚勇者だ。俺と同郷であろう三人の勇者。それが一体どんな人物なのか。
大人なのか、それとも子供なのか。漫画なんかでは高校生から大学生ぐらいっていうのが定番だけど、それがこの世界でもそうなのかは分からない。
下手すると小学生ぐらいの子供だったり、逆にご老人という事だってあり得る。
まあ「勇者」っていうぐらいだから、まともに戦える年齢であるだろうとは思うけど、可能性はゼロではない。
「まあ、そういうのも含めて、一度見てみたいんだけどな」
仮に子供やご老人だったとしても、俺に出来る事はほとんどないだろう。精々が応援する事ぐらいか。
「やっぱり召喚勇者が気になりますか?」
「ん? それはまあ、そうだな」
俺が召喚勇者の事を考えていると、それが伝わったのか、マリーから気になるか尋ねられた。
「やはりカイト君も、同じ世界の人間として気になるのだな」
「そりゃあ、色々とね」
むしろ気にならない方がどうかしてると思う。
実際に話が出来れば、とは思うけど、それは難しいだろうな。俺の素性を明かして話すっていうのも考えたけど、リスクが大きすぎる。
信じて貰えなかった場合、最悪勇者を語る偽者として認識される可能性もあるのだし、仮に信じて貰えてとしても「はいそうですか」となるとは考えにくい。
下手をすると、ペコライにも帰れなくなるかもしれない。そんなのは論外だ。俺には果ての洞窟踏破という目標があるのだから。
気にはなるけど、遠くから見守るだけにするのが一番だな。自ら面倒事に首を突っ込んでいく必要もない。
はいそこ、行動と矛盾してるとか言わない。
自分がやりたい事は別だ。孤児院の件は面倒だなんて思ってないから面倒事には含まれない。
誰が何と言っても含まれないのだ。
「あくまで見るだけだ。話なんかはしなくてもいい」
そこの所勘違いしない様に、二人にはあらかじめ話しておかないとな。
「まあ召喚勇者と関わっても、カイトさんにとっては面倒毎が増えるだけでしょうしね」
「そうだな。それでもカイト君が話したいと言うのであれば、止めるつもりはなかったが」
と思ったが、どうやら説明の必要はなかった様だ。二人の察しが良くて助かる。
「まさか。面倒事はごめんだよ」
「自分がやりたくない面倒事は、でしょう?」
「でないと、孤児院の件に首を突っ込もうとはしないだろうからな」
そんな所までお見通しですか。本当に察しが良い事で。
その後も三人で色んな出店を回る事数十分。
「いやあ、大量大量」
王都の出店は、ペコライには無い出店が沢山あった。
たこ焼き、焼きそば、綿あめに人形焼きと、他にも沢山。何というか、ここって本当に異世界か? そう思う程、日本の祭りを彷彿とさせる物が多かった。
ていうか、綿あめなんてザラメが無いと作れない筈だろ? つまり、この世界にはザラメが存在しているって事か?
それに他にも色々と「材料どうした?」と問いたくなる様な物ばかり。
まあたこ焼きは「クラーケン焼き」焼きそばは「焼き麺」という名前で売られてたから、完全に同じ物という訳ではなさそうだけど。
ただ、人形焼きは見た目と名前。そして味もほぼ同じだったな。
それに、人形焼きを買っている最中、光が祭りで必ず人形焼きを買っていたのを思い出した。
祭りに行くと、最初は必ず人形焼きを買うのが定番だったな。一度光に「好きなのか?」って聞いたら「かわいいから好き」って言ってたっけ?
そんな事を思い出したからか、人形焼きは他のよりも沢山買ってしまった。
「随分と買ってましたね」
「まあな。こういう時はケチケチしないって決めてるんだ」
祭りは楽しむものだ。変に出し渋って、後で後悔なんてしたくない。
まあだからと言って無駄に使い過ぎるつもりもないけど
「気持ちはよく分かるぞ、カイト君。こういう時は思う存分楽しんだほうがいいからな。無論、無駄遣いは良くないが」
「ああ、それはもちろん」
いくら楽しむためとはいえ、無駄遣いをしようとは思わない。
俺の場合ストレージがあるからこんなに爆買いしてるけど、これが無かったら普通に人数分しか買うつもりはなかった。
「ちなみにですけど、今の段階でいくらぐらい使ったんですか?」
「今か? えーっと……銀貨八枚だな」
ちなみに内訳は、クラーケン焼き十個で大銅貨五枚。焼き麺十個で同じく大銅貨五枚。綿あめも十個で大銅貨五枚。人形焼が銀貨五枚分。その他大銅貨五枚分で、最初のお好み焼きが銀貨一枚だから、丁度銀貨八枚だ。
「ぎ、銀貨八枚ですか」
「パレードはまだ始まったばかりだというのに、随分ハイペースで買い物をしているな」
二人が若干引き気味な視線を俺に向けて来るが、そこはあまり気にしないでおく。
正直それは予想通りだったから。
だが、先を考えれば、これでもまだ足りないぐらいだけどな。
「まだまだ祭りは始まったばかりだからな。ささ、次の出店に」
向かおう、という俺の言葉は、突然周囲から上がった歓声に掻き消された。
な、何だ、いきなり?
「カイトさん、来ましたよ、召喚勇者を乗せた馬車です!」
「コレが今回の目的だからな。どれ、私達も一目拝むとしようじゃないか」
二人が俺の手を握り、道を出店側から車道側へと移動していく。当たり前みたいに手を握って来るんだな。
ていうか、マリーは割とよくある事だけど(慣れたかどうかは別として)、フーリがこんな事をするなんて珍しい。
まあ召喚勇者なんてそうそうお目にかかれる存在じゃないだろうから「一目見てみたい」という興味が勝ったんだろうな。
俺は二人に手を引かれながら、召喚勇者を乗せているという馬車を見るべく場所を移動した。
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