見た目は青年、心はアラサー、異世界に降り立つ! ~チートスキル「ストレージ」で異世界を満喫中~
二十一話
「さて、それじゃあ今日の依頼は果ての洞窟のオーク討伐でいいか?」
「異議なし!」
「ああ、俺もだ」
フーリが依頼書を手に取り、俺達に確認してきたので、肯定の意を示しておいた。
食べる云々は置いておくとしても、オークの討伐は純粋に興味がある。
「じゃあさっさと受付を済ませてしまおうか」
そのまま受付まで行くと、最近専属みたいになりつつあるエレナさんが現れた。
「おはようございます。あなたの専属受付嬢、エレナでございます」
「心読んだの!?」
まさかの心を読まれた!?
「受付嬢ですから!」
なんか朝からやたらテンション高いなエレナさん!
何か良い事でもあったのか?
「まあ冗談はさておき、今日は何の依頼を受けますか?」
冗談だったのか。ビックリし……心を読まれたのは何故?
「今日は果ての洞窟でオーク討伐とミスリル採掘ですね」
フーリが一枚の依頼書をエレナさんに手渡しながら答えた。
ちなみにミスリル採掘の依頼は今の所冒険者ギルドからは出ていないとの事だった。
何でも「緊急性が低いから」らしい。確かに緊急性は薬草なんかに比べたら低いだろうけど「先を見据えたら必要なのでは?」と思うのは俺だけなのだろうか?
個人の依頼ならいくつかあるみたいだったけど、どの道自分達で使うのだからあまり関係ない事だった。
「果ての洞窟でオーク討伐ですね? はい、受領しました」
エレナさんはいつもと違い、その場で受付印を押し、依頼書を受付の引き出しにしまった。
「あれ? これで終わりですか?」
俺はつい気になってしまい、エレナさんに確認してみると。
「はい。実は今日から受付の仕様が少し変わりまして、この場で依頼の受領までやる事になったんですよ」
という答えが返ってきた。
へー、それは便利そうだ。
実は冒険者活動を始めてからずっと気になっていたんだよな。
毎回奥に引っ込まないと受領出来ないとか、面倒臭いなって。
それが改善されるみたいで何よりだ。
「はい、これで受け付けは終わりです。皆さんお気をつけて!」
心なしかいつもよりテンション高めのエレナさんに見送られ、俺達は果ての洞窟に向けて出発した。
多分エレナさんも面倒臭いって思っていたんだろうなぁ。
街を出て一時間程歩くと、それは現れた。
賢者の森の北側。そこには大きな山があり、その麓に高さ三メートル程の大きな穴が空いていた。
まさに「洞窟」という感じだ。
「これが果ての洞窟?」
「ああ、カイト君は来るのは初めてだったな。ここが果ての洞窟。今日の活動場所だ」
「そして今晩のおかずを調達する場でもあります!」
……まだそのネタ引きずるの?
俺がオークの肉が食べられるという事実に驚愕してから、マリーは定期的にそのネタで俺をからかってくるのだ。
「ふふっ、ちょっとからかい過ぎちゃいましたね。ごめんなさい、カイトさん」
口元に手を当てるマリーは、まるでいたずらっ子の様な笑みを浮かべている。
くそぅ、かわいいじゃないか。
その笑顔は、彼女いない歴=年齢の俺によく効く笑顔だ。
何でも許してしまいそうになる。ていうか許す。
「カイト君、君は何というか……いや、みなまで言うまい」
フーリが何か言いかけて、途中で言葉を止めていたが、俺はフーリが何を言いかけたか何となく分かる。
大方「お人好し」とでも言おうとしたんだろう。まあ自覚はあるけど。
「さて、それじゃあそろそろ中に入ろうか」
フーリは腰のポーチから小さなランタンの様な物を二つ取り出し、一つを俺に差し出してきた。
「カイト君、魔石ライトは知っているか?」
「魔石ライト?」
勘違いじゃなければ、初めて聞く名前だ。だが、どんな物か予想は出来る。
ライトというぐらいだから、周りを明るく照らす電球のようなものなのだろう。
「魔石ライトって言うのは……」
「純度の高い光の魔石を利用して暗い場所でも明るく照らす事が出来る、魔導具の一種です」
フーリの言葉を途中で遮り、マリーが説明してくれた。……くれたんだけど、いいのかマリー?
なんかフーリがえらい顔でマリーの事見てるんだけど、大丈夫?
「……まあいい。マリーが言った通り、それは光の魔石を利用した魔導具の一種だと思って貰えばいい」
「ふむ、つまりこの光の魔石が発光して、周囲を明るく照らしてくれるって事か?」
「ああ、そうなるな。理解が早くて助かる」
まあ向こうにも携帯ランタンって物があったしな。
「洞窟の中は三層までは所々に明かりが設置されているんですけど、四層からは設置されていませんからね。持っていると便利ですよ」
「ん? 三層までは明かりがあるのか?」
ていうか果ての洞窟って階層とかあるのか。
まるでダンジョンみたいだな。
で、三層までは明かりが設置されている、と。
「ありますよ。三層まではある程度ギルドの手が入っていますから。なので、魔石ライトを使うのは四層以降という事になりますね」
「なるほどね、四層以降……て事は、今日は少なくとも四層までは潜る予定なのか?」
「いい所に気付いたなカイト君。今の所、もしも予定通りにいけば四層以降に潜る事はないから、この魔石ライトを使う事はないだろう」
予定通りにいけば。それはつまり、言い換えれば「予定通り」に行かない可能性があるという事だ。
で、洞窟に潜る前からこれを渡すという事は、そうなると考えて間違いないだろう。
「まあ三層でミスリル鉱石なんてほとんど見つかりませんからね。十中八九もっと下層まで潜る事になると思います」
「やっぱりそういう事か」
つまり、運が良ければ三層で入手できるけど、まずそれはないだろうという事らしい。
まあ、そりゃそうか。そんな簡単に手に入るなら苦労しないわな。
「まあ気長に探すさ。もしも嫌になったら言ってくれ。無理に付き合わせる気はないからな」
「嫌だなんてとんでもない。これでも結構楽しみにしてるんだぞ」
何と言ってもミスリルだからな。
生で見てみたいというのもあるけど、実はミスリルを使って何が作れるのかの方が気になっている。
ていうかそろそろ武器を棍棒からグレードアップさせたい。
今の所ストレージで作れるから棍棒を使っているが、もしこれ以外作れないのなら、ガンツさんの所で武器を手に入れる必要があるだろう。
俺もいい加減まともな武器が欲しい。
棍棒かオーガの金棒しか使えないとか絶対嫌だぞ。
「そう言ってくれると助かる。カイト君のストレージがあれば鉱石を運ぶのもグッと楽になるからな。頼りにしているぞ」
「ああ、任せてくれ」
見つけた端から全部ストレージに収納していくぐらいの気持ちでいないとな。
「それじゃあ、そろそろ潜ろうか姉さん」
「そうだな、行こう」
「果ての洞窟探索は初めてだな。さて、どうなる事か」
俺は初めての洞窟探索に心躍らせながら、二人の後に付いて行った。
「異議なし!」
「ああ、俺もだ」
フーリが依頼書を手に取り、俺達に確認してきたので、肯定の意を示しておいた。
食べる云々は置いておくとしても、オークの討伐は純粋に興味がある。
「じゃあさっさと受付を済ませてしまおうか」
そのまま受付まで行くと、最近専属みたいになりつつあるエレナさんが現れた。
「おはようございます。あなたの専属受付嬢、エレナでございます」
「心読んだの!?」
まさかの心を読まれた!?
「受付嬢ですから!」
なんか朝からやたらテンション高いなエレナさん!
何か良い事でもあったのか?
「まあ冗談はさておき、今日は何の依頼を受けますか?」
冗談だったのか。ビックリし……心を読まれたのは何故?
「今日は果ての洞窟でオーク討伐とミスリル採掘ですね」
フーリが一枚の依頼書をエレナさんに手渡しながら答えた。
ちなみにミスリル採掘の依頼は今の所冒険者ギルドからは出ていないとの事だった。
何でも「緊急性が低いから」らしい。確かに緊急性は薬草なんかに比べたら低いだろうけど「先を見据えたら必要なのでは?」と思うのは俺だけなのだろうか?
個人の依頼ならいくつかあるみたいだったけど、どの道自分達で使うのだからあまり関係ない事だった。
「果ての洞窟でオーク討伐ですね? はい、受領しました」
エレナさんはいつもと違い、その場で受付印を押し、依頼書を受付の引き出しにしまった。
「あれ? これで終わりですか?」
俺はつい気になってしまい、エレナさんに確認してみると。
「はい。実は今日から受付の仕様が少し変わりまして、この場で依頼の受領までやる事になったんですよ」
という答えが返ってきた。
へー、それは便利そうだ。
実は冒険者活動を始めてからずっと気になっていたんだよな。
毎回奥に引っ込まないと受領出来ないとか、面倒臭いなって。
それが改善されるみたいで何よりだ。
「はい、これで受け付けは終わりです。皆さんお気をつけて!」
心なしかいつもよりテンション高めのエレナさんに見送られ、俺達は果ての洞窟に向けて出発した。
多分エレナさんも面倒臭いって思っていたんだろうなぁ。
街を出て一時間程歩くと、それは現れた。
賢者の森の北側。そこには大きな山があり、その麓に高さ三メートル程の大きな穴が空いていた。
まさに「洞窟」という感じだ。
「これが果ての洞窟?」
「ああ、カイト君は来るのは初めてだったな。ここが果ての洞窟。今日の活動場所だ」
「そして今晩のおかずを調達する場でもあります!」
……まだそのネタ引きずるの?
俺がオークの肉が食べられるという事実に驚愕してから、マリーは定期的にそのネタで俺をからかってくるのだ。
「ふふっ、ちょっとからかい過ぎちゃいましたね。ごめんなさい、カイトさん」
口元に手を当てるマリーは、まるでいたずらっ子の様な笑みを浮かべている。
くそぅ、かわいいじゃないか。
その笑顔は、彼女いない歴=年齢の俺によく効く笑顔だ。
何でも許してしまいそうになる。ていうか許す。
「カイト君、君は何というか……いや、みなまで言うまい」
フーリが何か言いかけて、途中で言葉を止めていたが、俺はフーリが何を言いかけたか何となく分かる。
大方「お人好し」とでも言おうとしたんだろう。まあ自覚はあるけど。
「さて、それじゃあそろそろ中に入ろうか」
フーリは腰のポーチから小さなランタンの様な物を二つ取り出し、一つを俺に差し出してきた。
「カイト君、魔石ライトは知っているか?」
「魔石ライト?」
勘違いじゃなければ、初めて聞く名前だ。だが、どんな物か予想は出来る。
ライトというぐらいだから、周りを明るく照らす電球のようなものなのだろう。
「魔石ライトって言うのは……」
「純度の高い光の魔石を利用して暗い場所でも明るく照らす事が出来る、魔導具の一種です」
フーリの言葉を途中で遮り、マリーが説明してくれた。……くれたんだけど、いいのかマリー?
なんかフーリがえらい顔でマリーの事見てるんだけど、大丈夫?
「……まあいい。マリーが言った通り、それは光の魔石を利用した魔導具の一種だと思って貰えばいい」
「ふむ、つまりこの光の魔石が発光して、周囲を明るく照らしてくれるって事か?」
「ああ、そうなるな。理解が早くて助かる」
まあ向こうにも携帯ランタンって物があったしな。
「洞窟の中は三層までは所々に明かりが設置されているんですけど、四層からは設置されていませんからね。持っていると便利ですよ」
「ん? 三層までは明かりがあるのか?」
ていうか果ての洞窟って階層とかあるのか。
まるでダンジョンみたいだな。
で、三層までは明かりが設置されている、と。
「ありますよ。三層まではある程度ギルドの手が入っていますから。なので、魔石ライトを使うのは四層以降という事になりますね」
「なるほどね、四層以降……て事は、今日は少なくとも四層までは潜る予定なのか?」
「いい所に気付いたなカイト君。今の所、もしも予定通りにいけば四層以降に潜る事はないから、この魔石ライトを使う事はないだろう」
予定通りにいけば。それはつまり、言い換えれば「予定通り」に行かない可能性があるという事だ。
で、洞窟に潜る前からこれを渡すという事は、そうなると考えて間違いないだろう。
「まあ三層でミスリル鉱石なんてほとんど見つかりませんからね。十中八九もっと下層まで潜る事になると思います」
「やっぱりそういう事か」
つまり、運が良ければ三層で入手できるけど、まずそれはないだろうという事らしい。
まあ、そりゃそうか。そんな簡単に手に入るなら苦労しないわな。
「まあ気長に探すさ。もしも嫌になったら言ってくれ。無理に付き合わせる気はないからな」
「嫌だなんてとんでもない。これでも結構楽しみにしてるんだぞ」
何と言ってもミスリルだからな。
生で見てみたいというのもあるけど、実はミスリルを使って何が作れるのかの方が気になっている。
ていうかそろそろ武器を棍棒からグレードアップさせたい。
今の所ストレージで作れるから棍棒を使っているが、もしこれ以外作れないのなら、ガンツさんの所で武器を手に入れる必要があるだろう。
俺もいい加減まともな武器が欲しい。
棍棒かオーガの金棒しか使えないとか絶対嫌だぞ。
「そう言ってくれると助かる。カイト君のストレージがあれば鉱石を運ぶのもグッと楽になるからな。頼りにしているぞ」
「ああ、任せてくれ」
見つけた端から全部ストレージに収納していくぐらいの気持ちでいないとな。
「それじゃあ、そろそろ潜ろうか姉さん」
「そうだな、行こう」
「果ての洞窟探索は初めてだな。さて、どうなる事か」
俺は初めての洞窟探索に心躍らせながら、二人の後に付いて行った。
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