見た目は青年、心はアラサー、異世界に降り立つ! ~チートスキル「ストレージ」で異世界を満喫中~
四話
「カイトさん、この魔導具には剛力と水魔法が付与されてるんですよね?」
「ああ、その筈だけど」
鑑定で確認したから間違いない筈だ。
「私は水魔法は持ってるんで、剛力の方を試してみますね。姉さん、手伝って」
「……そういう事か。分かった」
マリーがそう言うと、フーリはそれだけで何をすればいいか理解したのか、腰の剣を抜いてマリーに向けて構えた。
あー、なるほどそういう事か。俺にも理解出来た。
フーリは確か既に剛力の魔道具を持ってる筈だから、単純に力比べをしようって事だろう。
これでもし、どちらか片方が一方的に押し負けたら、俺の魔道具、もしくはフーリの魔道具が不良品という事になる。が、フーリは既に何度も実戦で魔導具を使ってる筈だから、可能性があるとしたら俺が作った魔導具の方になる。
なるほど、いい実験方法だ。
マリーは杖を持つ両手をギュッと握りしめる。
対してフーリは、剣を持つ両手を、同じくギュッと握りしめる。
「それじゃあ、いくよ」
「ああ、いつでも来い」
その言葉が合図となり、マリーがフーリに向かって一直線に飛び出した。
小細工も何もない、上段からの振り下ろし。それを剣の腹で迎え撃つフーリ。
両者の武器がぶつかり合い、僅かに火花を散らす。
想像以上に威力があったのか、僅かにフーリの体勢が崩れるが、それも一瞬。フーリはすぐに態勢を立て直し、そこからは互いに拮抗し始める。
ていうか、マリーって後衛だったよな? なのにフーリと拮抗出来るとは。
これも剛力スキルのおかげか? そうだよな? うん、きっとそうだ。お願い、そうだと言って。
「ぐっ、流石だなマリー。単純な力比べなら互角か」
「し、失礼な! 私はか弱い女の子だよ!」
……どうやらマリーは力だけなら前衛のフーリと互角らしい。
いや、なんとなく分かっていたけどね。ロックリザードを殴り殺すぐらいだし。
でも、そっか……。
「マリー! ナイス剛力!」
「なっ! カイトさん!? これは、その、違うんです! 誤解ですから!」
「お、おいマリー!?」
俺がマリーにエールを送ったら、慌てて俺に詰め寄ってくるマリー。突然マリーが離れた事で、フーリが若干つんのめったが、何とか踏ん張って耐えていた。
「カイトさん、誤解しないで下さいね! これは剛力のスキルの所為で、私自身はそんなに力は強くないですからね!」
「ああ、分かっている。ちゃんと分かっているから」
力持ちだって思われるのが恥ずかしいんだよな。でも大丈夫。
「俺はマリーが力持ちでも、全然気にしないから!」
「ブフッ!?」
マリーを気遣って、出来るだけ爽やかな笑顔で応える。俺は乙女心が理解出来る男だからな。
だというのに、何故かフーリが吹き出しているが気にしない。
「カイトさん!? 全然分かってないですよね!?」
「大丈夫、ちゃんと分かっているから」
まったく、マリーは心配性だなぁ。
「だから、違うんですってばぁ!!」
マリーの悲痛な叫びが賢者の森に木霊した。
「はあ、とりあえず魔導具は普通に使えるみたいですね」
マリーが必死に「私はか弱い女の子なんです!」と言って来るので、とりあえずは納得して話を進める事にした。
ちなみにフーリは終始笑いっぱなしだった。姉妹とは。
「あ、ああ。ふふっ。私が剛力を使っても……ぷっ。拮抗していたしな」
「姉さん!」
いや、未だに笑いっぱなしだったわ。
ウケすぎだろフーリ。
「すぅ……はぁ。すまない、もう大丈夫だ。問題ない」
一度深呼吸をし、呼吸を整えるフーリ。
その表情はさっきまでとは違い、凛々しさが戻っていた。
「さて、カイト君が作った魔導具だが、どうやら本物みたいだな。本物の、剛力の、魔導具……」
あれ? 気の所為か? なんだかフーリの言葉尻が段々と弱くなっていっている様な気が……。
「ま、まあまあ姉さん。この魔導具には水魔法も付与されているし、姉さんにも」
「……ああ、そうだったな。それは水魔法「も」付与されているんだったな。私の魔導具と違って」
「「……」」
やべぇ、なんも言えねえ。どうすんだよこの気まずい空気。
チラッとマリーを見ると、マリーも首を横に振っていた。
ダメか。どうしたもんか。
「いや、すまない。変な空気になってしまったな。私はもう大丈夫だ。気にしないでくれ」
「え? ま、まあフーリがそう言うなら」
まだ気にしてるように見えるけど。まあ本人がそう言うなら気にしないでおくけどさ。
「さて、カイト君。この魔導具だが、本当に魔石から作ったのだな?」
「ああ、そうだな。オーガの魔石と青の髪飾りを合成して作った」
他にも作り方はありそうだけど、現状だとこの作り方だけしかないし。
「オーガの魔石と水の魔石から剛力と水魔法の魔導具が作れる、か。という事は、魔核から作る魔導具と性能は変わらないと見てよさそうだな」
「そうだな。それは間違いないと思う」
現状魔核と魔石で付与されているスキルに違いは見られない。だとしたら、普通の魔道具と大差ない性能とみていいだろう。
「だとしたら、これから魔石はあまり買い取りに出さない方がいいか。討伐証明に必要な最低限だけ納品して、残りは保管しておいた方が良さそうだな」
「そうだね姉さん。こんなに簡単に魔導具が作れるなら、その方が良いかも。材料の魔石は多いに越した事はないし」
それは確かにそうだ。
正直今まで見てきた魔物の魔石って、便利なスキル多いんだよな。ゴブリン以外。
俺も出来る事なら取っておきたい。
「カイトさんはどうですか? 魔石、取っておいた方が良いと思いますか?」
「そうだな。俺も出来れば取っておきたい。魔物の魔石って便利なスキル多いし」
俺がそう答えると、フーリは一度手をパンっと叩き。
「決まりだな。これからは討伐証明に必要な魔石以外は、カイト君に預けておく。そして余裕があれば、魔石を魔導具にして貰う。これでいいか?」
「俺はそれで問題なし」
「私もそれでいいよ」
こうして、これからは俺が魔石を預かる事になった。そしてそれは同時に、俺にとっても願ったり叶ったりの状況になった訳だ。
その後俺達は賢者の森でしばらく狩りを続け、日が落ちる前にペコライの街に戻った。
ちなみに初めてこの世界に来た時と違って、賢者の森にはそれなりの数の魔物がいた。
何でだ?
「ああ、その筈だけど」
鑑定で確認したから間違いない筈だ。
「私は水魔法は持ってるんで、剛力の方を試してみますね。姉さん、手伝って」
「……そういう事か。分かった」
マリーがそう言うと、フーリはそれだけで何をすればいいか理解したのか、腰の剣を抜いてマリーに向けて構えた。
あー、なるほどそういう事か。俺にも理解出来た。
フーリは確か既に剛力の魔道具を持ってる筈だから、単純に力比べをしようって事だろう。
これでもし、どちらか片方が一方的に押し負けたら、俺の魔道具、もしくはフーリの魔道具が不良品という事になる。が、フーリは既に何度も実戦で魔導具を使ってる筈だから、可能性があるとしたら俺が作った魔導具の方になる。
なるほど、いい実験方法だ。
マリーは杖を持つ両手をギュッと握りしめる。
対してフーリは、剣を持つ両手を、同じくギュッと握りしめる。
「それじゃあ、いくよ」
「ああ、いつでも来い」
その言葉が合図となり、マリーがフーリに向かって一直線に飛び出した。
小細工も何もない、上段からの振り下ろし。それを剣の腹で迎え撃つフーリ。
両者の武器がぶつかり合い、僅かに火花を散らす。
想像以上に威力があったのか、僅かにフーリの体勢が崩れるが、それも一瞬。フーリはすぐに態勢を立て直し、そこからは互いに拮抗し始める。
ていうか、マリーって後衛だったよな? なのにフーリと拮抗出来るとは。
これも剛力スキルのおかげか? そうだよな? うん、きっとそうだ。お願い、そうだと言って。
「ぐっ、流石だなマリー。単純な力比べなら互角か」
「し、失礼な! 私はか弱い女の子だよ!」
……どうやらマリーは力だけなら前衛のフーリと互角らしい。
いや、なんとなく分かっていたけどね。ロックリザードを殴り殺すぐらいだし。
でも、そっか……。
「マリー! ナイス剛力!」
「なっ! カイトさん!? これは、その、違うんです! 誤解ですから!」
「お、おいマリー!?」
俺がマリーにエールを送ったら、慌てて俺に詰め寄ってくるマリー。突然マリーが離れた事で、フーリが若干つんのめったが、何とか踏ん張って耐えていた。
「カイトさん、誤解しないで下さいね! これは剛力のスキルの所為で、私自身はそんなに力は強くないですからね!」
「ああ、分かっている。ちゃんと分かっているから」
力持ちだって思われるのが恥ずかしいんだよな。でも大丈夫。
「俺はマリーが力持ちでも、全然気にしないから!」
「ブフッ!?」
マリーを気遣って、出来るだけ爽やかな笑顔で応える。俺は乙女心が理解出来る男だからな。
だというのに、何故かフーリが吹き出しているが気にしない。
「カイトさん!? 全然分かってないですよね!?」
「大丈夫、ちゃんと分かっているから」
まったく、マリーは心配性だなぁ。
「だから、違うんですってばぁ!!」
マリーの悲痛な叫びが賢者の森に木霊した。
「はあ、とりあえず魔導具は普通に使えるみたいですね」
マリーが必死に「私はか弱い女の子なんです!」と言って来るので、とりあえずは納得して話を進める事にした。
ちなみにフーリは終始笑いっぱなしだった。姉妹とは。
「あ、ああ。ふふっ。私が剛力を使っても……ぷっ。拮抗していたしな」
「姉さん!」
いや、未だに笑いっぱなしだったわ。
ウケすぎだろフーリ。
「すぅ……はぁ。すまない、もう大丈夫だ。問題ない」
一度深呼吸をし、呼吸を整えるフーリ。
その表情はさっきまでとは違い、凛々しさが戻っていた。
「さて、カイト君が作った魔導具だが、どうやら本物みたいだな。本物の、剛力の、魔導具……」
あれ? 気の所為か? なんだかフーリの言葉尻が段々と弱くなっていっている様な気が……。
「ま、まあまあ姉さん。この魔導具には水魔法も付与されているし、姉さんにも」
「……ああ、そうだったな。それは水魔法「も」付与されているんだったな。私の魔導具と違って」
「「……」」
やべぇ、なんも言えねえ。どうすんだよこの気まずい空気。
チラッとマリーを見ると、マリーも首を横に振っていた。
ダメか。どうしたもんか。
「いや、すまない。変な空気になってしまったな。私はもう大丈夫だ。気にしないでくれ」
「え? ま、まあフーリがそう言うなら」
まだ気にしてるように見えるけど。まあ本人がそう言うなら気にしないでおくけどさ。
「さて、カイト君。この魔導具だが、本当に魔石から作ったのだな?」
「ああ、そうだな。オーガの魔石と青の髪飾りを合成して作った」
他にも作り方はありそうだけど、現状だとこの作り方だけしかないし。
「オーガの魔石と水の魔石から剛力と水魔法の魔導具が作れる、か。という事は、魔核から作る魔導具と性能は変わらないと見てよさそうだな」
「そうだな。それは間違いないと思う」
現状魔核と魔石で付与されているスキルに違いは見られない。だとしたら、普通の魔道具と大差ない性能とみていいだろう。
「だとしたら、これから魔石はあまり買い取りに出さない方がいいか。討伐証明に必要な最低限だけ納品して、残りは保管しておいた方が良さそうだな」
「そうだね姉さん。こんなに簡単に魔導具が作れるなら、その方が良いかも。材料の魔石は多いに越した事はないし」
それは確かにそうだ。
正直今まで見てきた魔物の魔石って、便利なスキル多いんだよな。ゴブリン以外。
俺も出来る事なら取っておきたい。
「カイトさんはどうですか? 魔石、取っておいた方が良いと思いますか?」
「そうだな。俺も出来れば取っておきたい。魔物の魔石って便利なスキル多いし」
俺がそう答えると、フーリは一度手をパンっと叩き。
「決まりだな。これからは討伐証明に必要な魔石以外は、カイト君に預けておく。そして余裕があれば、魔石を魔導具にして貰う。これでいいか?」
「俺はそれで問題なし」
「私もそれでいいよ」
こうして、これからは俺が魔石を預かる事になった。そしてそれは同時に、俺にとっても願ったり叶ったりの状況になった訳だ。
その後俺達は賢者の森でしばらく狩りを続け、日が落ちる前にペコライの街に戻った。
ちなみに初めてこの世界に来た時と違って、賢者の森にはそれなりの数の魔物がいた。
何でだ?
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